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第369話 マボロシそれともホンモノ?


 大きな青毛の馬が空中を駆ける。

 威圧感が半端ない馬だ!かなり強そう〜。

 


 アロケルの戦い方は何かしら仕掛けがある。罠に引っかからないように注意しないと。


 それにしてもこの馬は一体何なんだ?



「ブルルルル」鼻息荒く吠える。

 ザバーブと言う馬は口から青い蒸気を吐き、その蒸気は天井に上って行く。


 周りを見回すと………ゲ!?

 通路全体が蒸気で薄暗く影がかかる。

 これって……もしかして、逃げ場なし!?


 あ!あれ?


 影のことを考えていたらいつの間にか青毛の馬が前脚を両方上げ俺を踏み潰そうとしている。アカーン!ガード!ガード!


 空間障壁にドシーンと強い衝撃。

 なんとか間に合った。…………が!?


 なーーに!?


 青毛の馬が作った影からアロケルがメイスを振り上げて現れる。


 空間感知で攻撃に気づくことは出来たが、躱すには間に合わない。メイスで右脚を殴られる。


 ボキッ……足の骨が折れる音がした。

 体勢が傾き、痛みで意識が飛びそうになる。


 周りからギザギザとした影が地面から口を開けたように動いていた。このままだと身体半分に噛みちぎられる危険な状況に俺は意外にも冷静に頭が回った。


 ヘルメットの力で思考が加速させ攻撃を対処に移る。


 青い馬は空間障壁の外側にいる後回しだ。問題はメイスを振ろうとしているアロケルと地面の影、脚の骨が折れて倒れて行く。まずは精密ドライバーを地面に刺し左に回す。スキルの力を弱に変更し影の攻撃を無力化、次に目の前のアロケルにハンドライトの聖なる光を当て動きを止める。悪魔であるアロケルに効果抜群、動きが止まっている間に殴られた脚に絆創膏ばんそうこうを貼る。殴られたのは数秒前、治るのはすぐ。


 空間障壁で倒れている身体を天井に突き飛ばし上がる。腕にドリルを付けて回転させると竜巻のように渦が発生、青い蒸気が集まるとそれを配管を設置して中に突っ込んだ。これでアロケルの影の優位性はなくなった。


 まずは仕切り直しが出来た。

 俺は地面に両足で着地する。



「やってくれました。攻めきれませんでしたか、それに脚まで………完敗で御座います」


 アロケルは傍らに青い馬を引き寄せ撫でると馬に乗った。


「負けを認めるようなことを言って、次は何をしてくるつもりだ?あんたとの闘いは疲れるんでさっさと終わらせたいんだが」

 

 ハンマーとドリル、最大火力でぶっ飛ばす!


「フフッ、すいませんこちらから仕掛けておきながら、大変勝手ではありますがここまでに致しましょう」


「はぁ?……どう言うつもりだ!」


「あなたは我が王にとって障害となる判断しました。ですがこのまま闘えば私が負ける可能性もあるとも判断し、優先事項からバラクを連れ戻ることに致しました」


「おい!逃げるつもりか!」


「はい!それでは失礼致します」


 アロケルはスーッと地面の影に沈み移動して逃げた。


「これだけやっておいて逃げるかよ。それにバラクを連れて行かれた」

 

 はぁ〜これは俺の負けかもな。

 アロケル、そしてそれを従えているアトラスと言う少年、一筋縄では本当に行かなさそうだな。

 

 俺は気を引き締めエリック達が向かった謁見の間を目指す。

 

 


……………▽


◆キョウカの視点


「ホッホホホホホ、元気なお嬢さんじゃ、しかしの〜お嬢さん、年寄りには優しくせんとな!」


 タクト達と別れ、霧隠れの魔術師として名の通っている強者達を相手にしていた。


 何が年寄りよ!優しくしてほしいならもっと弱そうなところ見せなさいよね。


 ピョンピョンと飛び跳ねるように駆け回る複数のお年寄り、その辺の子供より走り回っているわよ!


 でもこれもきっと幻術魔法で見せている幻、全員で十人、同じ顔の六十歳くらいのお婆さんだ。ちょっと気持ち悪いわ。


「ウヒョヒョヒョヒョイ、こっちじゃよお嬢さん、どこを見ておる」


 ふざけないで、バラバラに動く十人を同時に見るなんて出来るわけないでしょ、でも私には魔力感知がある。大まかではあるが動きは分かる。けど問題はどのお婆さんが本物なのか?魔力感知では分からない。


 いいわよ!私には数多の魔術がある。

 もちろん幻術を見抜く魔術もね!行くわよ!


 指揮棒の様な短い杖に魔力を注ぎ魔法陣を空中に描く。魔術の名前はマジックキャンセラー、魔法、魔術を打ち消す魔術、どんな魔法、魔術にも効果があり恐ろしく強力な魔術であるが、多くの欠点がある。それは直接触れないといけないこと、そして魔法陣が複雑かつ描くのに時間がかかる。さらに込める魔力量がその魔法、魔術の量を上回らなければ効果を発揮しない。


 私は杖に魔法陣を纏わせ、風魔法で周りの霧を飛ばしながら、一人のお婆さんに一気に接近、そして杖を

当てた。


「コツン」………「痛いねぇ〜お嬢さん」


 あれ?……お婆さんが消えない……もしかして十分の一の確率を当てて本物を叩いちゃったの?


 私が驚いていると後ろからしわがれた老婆の声が聞こえ慌てて振り返る。


「コツン」………「痛いねぇ〜お嬢さん」


 振り返った拍子に杖が別のお婆さんに当たる。

 あれ?……なんで消えないの?……もしかしてお婆さんは二人居たってこと!?


「これこれミツバ、ヨツバ、遊んどらんでさっさとお嬢さんを捕まえんか」


 えぇ!?もしかしてこの人も本物!

 わらわらとお婆さんが集まって来た。


「トバそうは言ってもの〜腰が痛とうての〜」

「それなら飛び跳ねるなや!ミツバ」


 ガヤガヤと言い合いをするお年寄り。


 ミツバ?……ヨツバ?……トバァ!?

 うそ!?でしょ!

 ここに居るお婆さん達って全員ホンモノ〜!?



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