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第368話 思考を巡らすのは星の動きに似ている


 油断した。空間障壁ではメイスは防げても影は防げない。まさかこんな手を使ってくるとは……


「騙すようなことをして申し訳ありません。九王を退けてきた。あなたとまともにやるのは得策ではないと思いましてね」


 こいつ〜!メッチャクレーバーだ。

 本当にダメだな。バラク喋ってて気が緩んだか?


「それではご覚悟を」

 俺の影が鋭い槍となって真下から突き出てくる。

 空間障壁の内側だからこのままだと串刺しになる。


『空間反射』


 あっぶな!ギリギリセーフ。

 安全靴の力で影の槍を空間反射した。


 なんとか攻撃を躱すことが出来たがどうしよう。

 現状安全靴のお陰で安全は確保出来ているとは思うけど、動けないから反撃が出来ない。これは膠着状態に入ってしまう。


 そんな時間はない。

 みんなが戦っている。

 こんなところで足止めはごめんだ。


「良い目をされています。まだ諦めておられないようだ。う〜ん……あなたの魂はとても美味しそうです。でもまだ足りない。刺激スパイスが、じわじわと絶望してください」


 アロケルは美味しそうな物を見るように俺を見る。

 ジュルっとよだれまで、ライオンの顔には合うがさっきまでと違い欲望丸出しだ。


「くっ……」なんだ……力が抜けてくる。


「私の影と重なると魔力が奪われるんです」


 なに!?それはマズイ!


「さて……いつまで持ちますか?魔力が切れれば、その邪魔なスキルの壁は消えますよ。出来るだけ足掻いてください。前菜代わりになります」


 コンニャロ〜余裕かましやがって!

 

 はぁ〜すう〜……俺は息を吐き深呼吸をする。


 冷静になれ、俺の魔力は多い、すぐにはなくなりはしない。考えるんだ。打開策を、どうすれば良い。


 カンナを呼ぶか……いやダメだ!

 カンナは今父さん達と居る。

 俺が無理を言って父さん達と一緒に居て欲しいとお願いしたんだ。聖杖結界が発動するまでと、泣き言は簡単に言わないぞ!


 身体は動かない。それで今出来ること、何がある。

ハンマーやニッパーは持つことも出来ない。メガネやタブレットでは攻撃出来ない。他に他には………その時色々と考えていたらバラクのことがよぎった。


……………あ!落ちれば良いんだ!



 俺は足元に配管を設置する。

 ヒューンっと落下し、影の拘束が解けた。


 落下する間に作戦を考えることに、ヘルメットの力で思考を高速回転、作戦はすぐに決まる。


 フッフッフッ、待っていろよ!

 ひと泡吹かせてやるぜ!


 俺は元いた位置から少し離れた位置に配管の出口を設置し飛び出す。地面に着地しアロケルを見据えると反撃開始する。


 アロケルは鉄球を回し勢いよく飛ばす。

 俺は鉄球を躱すとニッパーで鉄球に繋がる鎖を切断し武器を破壊。ヘルメットで空間加速で移動、そのままハンマーで空間圧縮、ガシーンと大きな衝撃音が響く。


 …………逃げられたか、予想はしていたがな。

 影移動、影を通して別の影に移動する便利なスキル、敵が使わなければこんな面倒なことにはならないんだけどな。


 俺の影からアロケルは飛び出しメイスで突いて来た。空間反射でメイスはアロケルの顔面に当たる。かなり痛いはずだが、なんともなさそうにギロッと紅い目で睨みつけてくる。こわっ!


「やってくれましたね!」


「大して効いていなさそうですが」


「いえ、痛かったですよ。ですが思っていた以上にあなたは面倒ですね。次はもう少し本気で行こうと思います」


「本気とかいいんで、帰ってもらえませんかねぇ〜。もちろんバラクは置いて行ってください」


「それは出来かねますので、引き続きお相手お願いします」


『シャドウスターショット』


 アロケルは手を組み揉むと、手から黒い星型の物体がいくつも飛び出す。


 黒い星はジグザグと曲線を描きながらバラバラに移動する。

 


「星は描くのです。世界を!あらゆる物を生み出し誕生させる神秘の産物、星には無限の可能性があるのです………あなたは何を描くのでしょうか?」


 アロケルがなんかブツブツ言い出したぞ!なんだって?もう少し分かるように言え!


 星はランダムに動いてはいなかった。


 地を這うように高速で左前から一つ、右斜め前からもか、速いがこのくらいなら余裕で受け止めれる。そんなに甘いヤツか?絶対違うだろ!今度はなんだ?


 俺は集中力を高め感じる。

 

『空間感知』……目で見るのではない!

 空間の微細な波の動きを感じる。


 俺はまだまだ慣れていないから感知範囲が狭いが、確かに分かった。


 星と星の間を繋ぐ黒くて見にくい線があった。

 俺は傍にある瓦礫を先に向かって蹴り飛ばし飛び上がった。瓦礫は線に当たるとスパッと切れ半分になる。俺が気づかずにいたら、あの瓦礫と一緒で身体が半分にそれていたかもしれない。


 黒い星は飛び上がった俺を追いかけるように回りながら上がって来た。


 見た目では分からないが、星が他の星と線で複数繋がり、まるで見えないレーザーの刃が俺を切断しようとしているように感じた。


 なんとか空間障壁で足場を作りながら、空間感知で鋭い刃から逃れた。



「うむ!吾輩嬉しいですぞ!考え!考え!思考を巡らすのは星の動きに似ていると思いませんかな?」


 アロケルの魔力が電気が通るように星々を渡り大きな星座を描く。


『出でよ!吾輩の忠実なる下僕ザバーブ』

 

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