表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

367/443

第367話 チェックメイト


◆バラクの視点


「な!どこから!?」

 ここには俺とタクトと言うガキしか居ない。なのに声が聞こえた。しかもかなり近い!どこだ!どこだ!どこだ!


「吾輩をお探しですかな?ここですよ。ここ……」

 

 真後ろから声が聞こえた。急ぎ振り返ると自分の影に2つの赤い目が、俺が驚くと影からゆっくりと浮上して来た。


「お前何者だ!と言うかいつから居た!」


 赤い肌をしたライオンの顔、そしてギラリと燃え盛る真紅の目をした兵士が現れる。

 

「ずっと居ましたよ。あなたの影の中に、あなたに何かあれば我が王の望みが叶わなくなる。ですがその少年は良くないと吾輩は判断しました。早急に対応しなくては、少年……ここで死んでもらいたい」


「そんなのイヤに決まってるだろ!絶対に断られるセリフだぞ!もう少し説得するつもりで言ってくれます」


 呆れた顔でタクトは断る。当たり前だ。死んでくれと言って、はいそうですか!なんてあっさり言うヤツはいない。コイツ何を考えている。


「それは残念です。出来るだけ楽に殺してあげますよ。考え直しませんか?」


「しないです!」


 タクトは端的に答えた。その姿を見て悩むような仕草をするライオン顔の男。


「そうですか、分かりました。では死んで頂きます」


「全然分かってないぞ!まったく、お前…会ったことがあるな。パイモンの部下ってところか」


「はい、そう言えばあの時は名乗っておりませんでした。吾輩アロケルと申します。今後とも宜しく……あ!申し訳ない。あなたとの今後はありませんでした」


「はぁ!言ってな!ボクは簡単には殺られはしない」


 タクトとアロケルと言う化け物から闘気オーラが放たれ、今か今かと戦闘が始まろうとしていた。が!俺はどうだ、完全に蚊帳の外だぞ!俺はどうすればいい。いや!それより今は……俺を無視すんな〜だ!



「ちょっと待ちな!俺にはまだ話がある」

 俺は二人の間に入る。するとアロケルがいやそうな顔をした。



「うむ!あなたを殺すわけには行かないのであります。ですので出来ればじっとしていてほしいのです。

あなたには手を出しませんよ」



「はぁっ!ふざけんなよ!相手してやるよ」

 このまま放っておけるかよ!それに無視されるのは我慢ならねぇ〜。


 俺は槍を構え戦闘態勢に入る。するとなぜか視線が上がる。だってライオン顔が上がっていくんだもん。これってさっきもあったわ………俺……落ちてる。


「あ!ああああ………」


 地面を動く黒い影がバラクを飲み込んだ。



◆タクトの視点


 バラクが捕まった。あの人学習しないのかねぇ〜。

 俺は少し呆れていると地面に影が伸び迫ってくる。


「さっき見たし、そこまで簡単にやらせてあげないよ!」


 影から距離をおき、プラスドライバーを片手にビスを飛ばす、ビスはアロケルの手前で影が迫り上がり、壁となって防がれる。


 やっぱり影を具現化出来るか。気をつけろ。アロケルの影はもちろん周りの影や自身の影にも注意……自身の影!?どうやっても逃げられないじゃん!


「心配しなくても大丈夫ですよ。影を操るには吾輩の魔力を込めなければ操れません。そんな心配な顔をしないでください」


「……どうして、別に教えなくてもよかったんじゃないか?思い込ませておけば、いくぶんか注意力を分散出来たのに」


 何を考えている。もしかして嘘か?そう言っておいて実はどんな状態でも影を操れるとか、それとも今のように迷わせて精神力を削ぐつもり!?なら考えたら……でも本当かも……うわぁ〜どうする!


「また変な顔をされていますね。ま〜良いでしょう。

しばらく影の中で籠もっていましたので、身体を動かしたいと思いましてな。お相手お願い出来ますかな?」


「それって拒否権ありますか?」


「ありませんね!では宜しくお願いします」


 アロケルは自分の影に手を入れると武器を引き出す。武器はメイスとモーニングスタータイプのフレイルとの複合型とかなり使い勝手の難しい武器を使う。


「それでは行きますよ!」


 ……はいっ?


 覇気のない冷静なトーンで飛んで来たのは鉄球、お!お〜い!こんなもん投げてくるならもっと気合を入れて飛ばせ!

 

 勢い良く飛んで来る鉄球を躱すと、鉄球は直角に曲がる。


 遠隔操作が出来るのか!これは躱せない。

 

 俺は手袋で空間障壁を張り受け止める。

 受け止められた鉄球を戻しながらアロケルはこちらに向かって走って来た。


 戻って来た鉄球はメイスに戻り、そのまま殴って来る。空間障壁で受け止めるも、アロケルはお構い無しでガンガンと連続で殴って来る。


 意外だ。もっと冷静なヤツだと思っていたのに、バーサーカーの様な凶暴な戦い方をする。


 ん?でもこの目……

 なりふり構わない様に武器を振り回しているのに、その目は冷たく冷静な俺を見ていた。


 いや!?待てよ!まさか!?


 俺は地面に視線を向けると自分の影にアロケルの影が重なっていた。


 アロケルの頬がほんの少しあがり笑みを浮かべる。


『シャドウロック』


 うっ!?………身体が動かない。

 ガシーンっと身体が押し付けられたようにどちらに動かしても動かない。………ヤバい!拘束された〜!


「チェックメイトで御座います」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ