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第363話 肉を切らせて骨を断つ



「何か身体が無茶苦茶気だるいけど何でだ?誰か知らんか?記憶がやや曖昧でよ〜戦っていたのは間違いないんだが……」


 

 教皇はミルキーのペインとブラックの暴行を受けた精神ダメージが残っており疲れていた。普通なら意識が戻らないほどの負荷がかかったはずなのに、それがダルいだけならマシなほうだ。


 ブラックは……黙っておくことにした。

 

「教皇様回復魔法は使えますね」

「もちろんだ!ヴォルフの治療だな」

「はいよろしくお願い致します。私は聖女様達の援護に向かいます」

「あぁ任せとけ!それにしてもあの野郎いつの間にあんなところに」


 惑わされいた教皇からするとバエルが瞬間移動したように感じているが、実際は聖女とアイリスが戦っていた。バエルは糸を飛ばしそれをアイリスが剣で斬り

聖女を守る。聖女は光の矢を遠隔操作しバエルを攻撃、バエルは自分の周辺に蜘蛛の巣のような形で糸を張り光の矢を防ぐ。



………………▽


◆アイリスの視点


 なの〜!メリダが危ないなの!

 ラキとティアにも言われたなの!

 メリダは絶対守るなのーー!


 なの!なの!なの!

 飛んで来る糸を斬る。

 

(アイリスの嬢ちゃん、その糸は真正面から斬るな!それと俺にしっかり魔力を込めろ!油断すると絡め取られる)


「分かったなの!けんちゃん頑張るなの」

 小さい身体で立ち向かって行く。


 糸は速くはあるが剣で防ぎながら移動すれば当たらない。問題はバエルの周りにある蜘蛛の巣、あれはけんちゃんが言うには飛ばして来る糸とは違って硬いらしい。ワタシだと大振りなら斬れるかもしれないけど、それだけの隙はなさそう。どうしようなの。


「かわいいお嬢さんですね。私と遊んでくれるんですか?」

「ムなの!ピエロさんは悪い人だから遊ばないなの!メリダをイジメるのは許さないなの!」

「う〜ん!残念、お嬢さんもとても楽しそうなのに……残念、では殺し合いといきますか!」


 バエルは手から糸を出し、アイリスに向かって飛ばす。


(アイリスの嬢ちゃんさっきまでとは違う。気をつけろ!)


 飛んで来る糸を斬る。

「キーン」金属がぶつかる高い音が聞こえた。


 弾くことは出来たが糸が斬れなかった。

 糸の硬度が上がっている。


「ほらほら、他所事を考えている時間はありませんよ」


 バエルは両手を動かし巧みに糸を動かす、糸の先端は槍のように尖り、まともに当たればアイリスの身体を貫通する威力がある。


「キーン、カンカン」

 迫りくる糸、アイリスは糸を剣で弾きながら回避する。攻撃は休むことを許さない。連続で来る糸はアイリスの体力を削った。


「はぁっ!はぁっ!はぁっ!」

 アイリスの息があがり始めた。

 まだ子供のアイリスにはあまりにも過酷な戦いだった。


(チッ…アイリスこのままだと持たん!ダーマちゃんを呼べ!)


「ハァ~ハァ~分かったなの!」

 アイリスはけんちゃんを鞘に戻す。


 けんちゃんと友達で聖なる盾ダーマちゃんを召喚する。

 アイリスの小さな身体には不釣り合いな大きな丸い盾を両手で持ち、そして発動した。


「重くな〜れなの〜!(過重力魔法)」

 アイリスの周りに魔法陣が展開され、糸がその領域に入ると急激に地面に落下し突き刺さる。


 バエルはほぉ〜と少し驚いた表情をした。


「アイリス良くやりました」

 

 聖女メリダはアイリスの横をすり抜けバエルに接近し腕を振り上げた。

 

「あまりオススメしませんよ!その糸触れると溶けますよ」


 糸が形状を変え液化、ドロっと粘り気のある糸に変異する。


「心外です!この程度で私が止まるとでも……」

 聖女メリダは躊躇なく腕を振り糸の守りを貫通しバエルを殴る。


「ウベベベ……本当にやりますかね!この糸を殴ると言うことは硫酸に手を突っ込むようなものなのに……」


「ふぅ〜……そんなの知りません、歯を食いしばってください」


 はぁーー!と気合の入った声をあげると、聖女メリダの連続バンチがバエルを襲う。年齢からは想像できない力と速さの攻撃、バエルの身体は浮き、そして最後にアッパーがアゴに突き刺さる。


 空中に吹き飛ぶバエル、大ダメージ必至の攻撃だったが、バエルは数回回転し見事に地面に着地する。


「ハハッ………肉を切らせて骨を断つですか?無茶しますね〜聖女様、痛みはあるのでしょ」


 聖女メリダの両腕は酷い火傷を負い煙っていたが、教皇と同じく一騎当千不滅の闘気により腕は徐々に再生していった。


「えぇ…とても痛かった!ですがあなたが行った所業を思えば、この心の痛みに比べれば!何と言うこともありません。これから私はあなたを千回殴ります!」


 聖女メリダは拳を握り締め戦闘態勢の構えをした。



「んーーーーーどうしたものですかね。そのやる気に満ち溢れたいい顔。その顔が歪みのが見てみたい。我慢するのもそろそろ限界かもしれませんね」


 バエルは人差し指をクイッと軽く動かす。


 なの!?………アイリスは驚く!


 アイリスの身体は突然何かの力によりバエルに引き寄せられた。


「なのーーー!」

 アイリスはバエルに抱き抱えられ捕まってしまった。


 聖女メリダは咄嗟に近づくが、アイリスが捕らえられ足を止めた。


「かわいいお嬢さん遊びましょう〜」

 歌を歌うように楽しそうに笑うバエル。

 その顔は不気味でアイリスは恐怖する。


 なの〜〜〜助けてなの〜!!!

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