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第355話 VS ゴエティア72柱 アミー②


「シャーー!確かに手応えあり」

 ガッツポーズをとるアポロン。


「アポロン良いパンチだったな。でもどうやらアイツには物足りなかったようだ」


 二人が見た先では、アミーが土砂からゆっくりと這い出ていた。ダメージはあるように見えない。




「ははーん!いいぜ!もう一度土まみれにしてやる!親父頼んだ!」

「おいおい人頼みか、でもアポロン同じ手は通じないと思うぞ」

「なんだよ!親父じゃ〜どうするんだよ」

「ん?今から考える」

「そんなこと言っているとすぐ来ちまうよ!」


 二人は拳を構え相手の動きを見る。


「お前達……面白い。久々に喧嘩をしたくなった」

 アミーが突然喋りだし二人はやや動揺する。

 なんでそんなことでと思うかもしれないが、この男名乗ってから何度か声をかけているのになんの反応も示さなかったからだ。


「へぇーどうしたんだ?やっと返事をしてくれる気になったのか?」


「あぁ、俺は喋るのが苦手だ。だからあまり喋りたくない。だから言葉ではなく拳で語りたい」


 アミーはそう言うと、大柄だった身体がふた周りも小さくなり、纏っていた炎を消した。


「ん?どう言うおつもりですかな?降参していただけるなら、それなりの対応はさせて頂きますが……」


「いや……降参はしない。今度はお互い拳で語ろう」

 

 アミーの身体から湯気が上がり肌の色が赤みがかっていく。次の瞬間アポロンとセルギウスはアミーを見失った。


 二人は驚きながらも気配を感じ両腕をクロスさせガードする。ズーン……ガードしたにも関わらず身体の芯にまで伝わる衝撃、二人は殴られていた。


「痛ってぇ〜!やりやがったな!」

 痛みと痺れに耐えながら立ち上がるアポロン。

 しかし頭の中ではあまりの速さに戦慄していた。


 アミーは湯気を上げながらアポロンに向かって走って来る。さっきと違い見失うことはなかったが、速さが格段に上がったことに変わりはない。受け止めようと腕を上げようとしたが、まだ痺れて上手く動かなかった。


「ヤバい!?」……アポロンの顔面に拳が接近。

「フン!」……力強い声と同時にアミーが吹っ飛んだ!



「……………親父」

「危なかったな。アポロン気をつけろよ」

 そう言ってゼルギウスはアボロンの頭をガシッと掴み。ワシャワシャと揺らして離す。


「おい!なにする」

「今のは………死んでたぞ!」

 セルギウスの言葉の意味を考え、アポロンは冷や汗をかく。


「親父わるい…………助かった」

「礼はいい。今は相手をしっかり見ろ。アイツは私達より速くなった」




 アミーのスキル『ヒートプラス』

 熱気を自在に操れる能力、闘いの当初は身体の外側に熱気を纏い相手を焼き尽くす戦闘スタイルを取っていたが、今はその逆、身体の内側で熱気を使い身体を活性化身体能力を飛躍的に上げる。




「そうだ!親父腕は大丈夫なのかよ!」

「お、おう。なんともないな〜」

 セルギウスは腕を動かしたり手を動かしたりと確認しているが痛みはなかった。


「親父まさか……」

「仕方ないだろ!考えてる暇はなかったんだ!でもま〜良かったんじゃないか……今ならヤツを殴れる」


 なるほどとアポロンは理解した。

 今なら近づいても火傷を負わない。……それは助かる。

 だけどあの速さと力は脅威、なんとしても攻略してやる。


「親父悪いんだけど時間稼いでくれ」

「ん!アボロンあれをやるのか?ん〜時間はどのくらいだ?」

「最低一分、出来れば三分ほしい」

「フン!分かった!三分だな。ただ私がそれまでに倒してしまうかも知れんがな」

 セルギウスは不敵に笑うとアミーに向かって行った。


 アポロンはそれを見送るとすぐに片膝を着き手を組み祈りを捧げる。


 アポロンのスキル『祈りの闘気』

 信仰心が強いアポロンらしいスキルと言える。

 信仰する対処に祈りを捧げることで闘気を大幅に高めることが出来る。アポロンに関してはイリス様に祈りを捧げるのだが集中した祈りが必要となり、自身が無防備になると言う欠点がある。今回はセルギウスがアポロンの守り手となり時間を稼いでいた。


「うおーらららららー!」

「ヌオーーーーーーー!」

 

 激しい拳と拳のぶつけ合い!アミーの身体強化に対しセルギウスはガントレットの風の力を使い拳を加速、連打に対応していた。


 しかしセルギウスは殴り合いが始まり、直ぐにこの状況が危険だと判断した。このアミーと言う男は死をまるで恐れていない。


 接近して気づくことが出来た。

 アミーの身体はすでに限界に達している。

 全身から血が噴き出している。

 身体が赤かったことと、身体の熱で血が蒸発していたことで気づきにくかった。


 私には分からないが、この男は死ぬまで拳を止めることはないだろう。


 セルギウスは耐えることしか叶わないと知る。

 

 連打する拳がゼルギウスの精神をガリガリと削る。

 一撃でも喰らえば雪崩のような連打を受け殺されると分かる狂気の拳が頬を掠る。


(………アポロン〜早くしてくれ〜死ぬ〜!)

 セルギウスは心の中で何度も叫んていた。




 くそ!そろそろ限界だぞ!


 一向に勢いが落ちない連打にセルギウスの体力が追いつかなくなった。徐々に押され、とうとうその時が来る。


 いかん!顔面一直線コース!

 

 セルギウスの拳をすり抜けクロスカウンターパンチが襲いかかる。


 死………その瞬間頭によぎる。

 だがその時は来なかった。


「はぁ〜はぁ〜はぁ〜………危なかったぞアポロン」

「そうだな。親父お待たせ」


 セルギウスの顔面を捉えた拳をアポロンが平手で受け止めた。セルギウスはそのまま後ろに倒れ大の字になって寝転がる。


「あとは任せる」

「おう!任せておけ」


 それは短いやり取りではあったが、もちろん殴る時間はあった。アポロンはセルギウスと話しながらアローの攻撃を捌いていた。



『祈りの闘気』


 アポロンはアローの身体強化を上回る闘気を身に纏いアローを拳の連打でぶっ飛ばした。


 地面を転がりながらもアローは身を震わせて立ち上がる。


「いい根性だ!だが悪魔に囚われるのは許せねぇー!アローお前には強烈な一発をくれてやるよ!」


 アポロンが拳を握り締めると白銀の炎が灯った。


「ユニークスキル『裁く者』」


 地面を踏み抜くような力強いダッシュでアローに接近し拳を振った。………『裁きの一撃』



『裁きの一撃』

アポロンの裁く者のスキルを使ったパンチで闇属性の魔法もしくは悪魔に対して通常の五倍の力を発揮する。

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