第340話 保全マンとしての基本装備
アタタ……酷い目にあった。
俺は身体の所々に絆創膏を貼って治療をしながら帰路へと着く。
「ただいま〜」
「おかえりなさいタクちゃん」
「おかえりタクト……ん?どうしたその格好、修業か?あんまり無茶するなよ。もうすぐ攻め込む予定だ。身体は休めておいた方が良い」
「うん!ありがとう。、…あれ?父さん、意外と早かったんだね。てっきりバロンさんと王都にどう攻め込むか計画を立てているかと思っていたけど」
「うん、もう終わったんだよ。バロンが会議の前にだいたい考えてくれていたから、あとは微調整のための話し合いだ。時間はそうかからない」
流石はバロンさん抜かりはない。これなら明日にでも城に攻め込めそうだな。
「ほらほら、ご飯が出来たから冷めないうちに食べなさ~い」
「あ!は~い」
俺と父さんは母さんに言われて急ぎ席に着く。
………▽
食事を終え部屋に戻ると。
「おーー戻ったかタクト」
「お帰りなのだ〜!タクト」
「二人とも、来ないと思っていたら飲んでいたのか?」
ローム先生とニキは顔を赤くしてベットで転がっていた。
「うむ!イグニスとセルギウス司祭とな、セルギウス司祭は途中で散歩してくると言って戻ってこなかったが、四人で飲んでおった」
先生達は余裕だな〜。これから大規模な戦いが始まるのに、でもそれだけ色々な経験を持っているから、こう言う時こそ、落ち着くのが一番重要なことを知っているのかもな。俺なんてソワソワしてしょうがないのに、すごい人達だ。
「ほれ!お前も飲めなのじゃ!」
「え!?でも先生ボクは……」
「良いではないか、もうすぐ成人であろう」
そう言えばあと数日先が誕生日だったけ?またその辺の認識が前世の記憶のせいで覚えられないんだよね。そうか俺も成人、この世界では十六歳で成人と認められる。そして一般的には成人になったら飲酒も認められる。ただそれよりも若くから飲んだからと言って罰則などの法律はないので飲んでも良いんだけど。父さん達にバレると面倒なことにならなければいいけど。
「ほれ、何をぼーっとしておる。飲めや飲め~い!」
「あ〜もう、そんなフラフラ飛んで溢してますよ!」
日本酒が入ったコップを持ってフラフラと飛んでいる先生を捕まえると、コップを受け取り先生を頭の上に乗っけた。
「う〜ん、ま!いっか前世では飲んでるし、問題ないっしょ!」
俺は一口飲む。
「お!上手い」
「そうじゃろ〜う。そうじゃろ〜う」
「タクトもっと飲むのだ〜!」
俺は先生とニキに飲めや!飲めや!と勧められ飲まされる。
「……………あれ?先生…ニキ、大丈夫か?」
二人はうぅ〜うぅ〜唸りながら床に転がっていた。完全に飲み過ぎだな。それにしてもこの世界の俺は酒豪のようだな。飲んでも飲んでも酔いが回らない。と言うか身体が速攻でアルコールが分解しているのか?
昔を思い出すな〜、あんまり俺酒に強くなかったから職場の先輩に親睦会のたんびに飲まされて、ゲ〜ゲ〜吐いていた記憶しかない。何がそんなに美味しくって楽しいか分からなかっけど、今度は酒に強過ぎて酔えねぇ〜、なんでこ〜なんるんだよ!
俺は先生とニキを見て笑う。
ただま〜、酔いつぶれて気持ち悪くなるよりかは楽しめたかな。
俺は二人に布団をかけて一緒に寝た。
朝になると唸る二人の鳴き声で目が覚める。お酒を飲み過ぎた者に起こる洗礼、二日酔いである。二人に冷たい水をコップに入れて渡し、毎日お寝坊さんのエメリアを起こしそして相棒のカンナを呼んだ。
「おはようさん!どないした?急ぎかいな」
「あぁなんだ。たぶん大きな戦いになる。その前に相棒達の調子を聞いておこうかと思ってな」
「ほぉ〜流石はタクトやん!ええ心掛けや!」
……………………………………………………………
『タクト』 Lv:78
【種族】ヒト族
【年齢】15
【職業】町長
【称号】神の使徒 悪魔の王を倒せし者
勇者を倒せし者
【加護】イリスの加護
ヘカテーの加護
【HP】2850/2850(+0)
【MP】10200/10200(+0)
【魔力】3000(+0)
【筋力】250(+0)
【耐久】340(+2)
【敏捷】380(+2)
【運】 100(+0)
【ユニークスキル】ツールボックス Lv.2(人化)
陰陽道 Lv.up2→3
【レアスキル】 地の精霊魔法 Lv.9
雷魔法 Lv.3
【コモンスキル】剣術 Lv.2 体術 Lv.up4→5
生活魔法 Lv.2 魔力操作 Lv.up6→7
言語理解 Lv.1 料理 Lv.5
掃除 Lv.2 採取 Lv.2 隠密 Lv.2
M Lv.1(ブタ野郎!)
◆ツールボックス
道具 プラスドライバー
マイナスドライバー(貫通追加)
精密ドライバー
ニッパー
絆創膏
ハンマー
メガネ
ライト
作業手袋
ヘルメット
タブレット
配管
バーナー
蛇口
エアコン
ドリル
安全靴
テスター
バッテリー
ナイフ
携行缶
作業服
◆陰陽道
術スキル 冥界への許可(凶)
天界への許可
視える人(冥層)
思念伝達(短)
予知(稀)
※各道具はレベルupしたことで能力が向上もしくは
別系統の能力が開花しています。
……………………………………………………………
「みんなええ感じや!もっと使ってくれって言うとる」
「そうか分かった。今回はイヤって言いたくなるほど働いてもらうことになると思うから覚悟しておけよ!それにMP(魔力量)が1万を超えたか……そろそろ本格的に作業服を着用しても良いかな」
「うん!せやな!今さらやけどやっと揃ぉたな!作業をする際の基本装備、ヘルメット、手袋、作業服、安全靴、これで保全マンとして本領発揮出来るやんな!」
「おう!完全復活だな!保全マン舐めると怖いことを教えてやらないとな!」
俺は久し振りに作業服に着替えると、一気に気が引き締まったような気がする。自然と仕事を始めるスイッチが入った。シャーやったるでぇ!
相棒のカンナとまずは朝飯を食べに行った。