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第339話 ルナさんは友達思い③


◆ルナの視点


「このような所に聖女様が来ていただけるなんて恐縮です」


「うふふ、そんなに固くならないでネビさん、ちょ〜ど!ラキに会ってね。あなた達のことを聞いたら会いたくなってしまってラキに連れてきてもらったのよ!」


「そうだったのですね!ラキありがとう!聖女様にまたお会い出来るなんて夢のようよ!」


「うっうん……大したことじゃないわよ。アハハ」

 ラキから乾いた笑い声が出る。


 そんなラキに私は声をかけた。


「ラキ〜随分と遅かったわね〜。約束していたんだから、急ぎの用でも伝言くらいは残しておいてほしかったわ〜」


「ルナごめんなさい……急いでいたから、忘れていたのよ」

 ラキはしどろもどろ、本当かどうか怪しい〜。


「そう、それは仕方ないか、それで急ぎの用って何だったのかしら?」


「うっ!?……ちょっと、その〜………」


 ん?これはもしかして……呼ばれていない……。


「ルナさん、ラキは教皇に呼ばれていましたよ」

「え!?そうだったのですか聖女様」

 そっか、教皇様に呼ばれたら仕方がないわよね。なんて言ってもイリス教で一番偉い方なんだから。

「でも手合わせの相手が居なくって呼んだだけなんだけどね」

「ん?え!それだけですか?」

「えぇ、それだけ。ラキはいつもは断っていたからあの子も嬉しそうだったわよ!」


 私はラキの方を向くと、すぐに目線を外される。

 ラキ〜、それで良いかは別として、ラキはいつも教皇様に声をかけられても一蹴して断っている。今日に限っては明らかにおかしい。


「うふふ、それで手合わせ自体はすぐに終わったのよ。偶然セルギウス司祭が通りかかって、そこにあの子が突っ込んで行って手合わせはそのまま終わり」


「それは大変だったわねラキ」

「えぇ、ま〜そうだったかな」

 ん?また少し濁したような言い方?……気になる。


「うふふ、ラキはね。手合わせが終わった後、その辺をウロウロウロウロと歩き回っていたから気になって声をかけて連れて来たの!」


 聖女様が私にだけ聞こえるように小さな声で教えてくれた。


 へぇーーー……そう言うこと!

 再びラキを見ると頭を下げて沈黙していた。

 まったくも〜う!でも文句はあと!一応聖女様のおかげでラキは帰って来た。これでやっと話が進められる。


 この場所ならネビさん達も居るから自然と言いやすいはず、さ〜ラキ…覚悟しなさいよね!


 私はラキをじーーっと視線を送りお礼をするように促す。ラキは私の視線に気づきにモジモジし始める。う〜ん、何かきっかけがあれば……


「皆さん、身体の調子はどうですか?」


「はい!タクトさん、聖女様、ルナさんのおかげです。本当にありがとうございます」


 ネビさん達はまた深々と頭を下げる。

 聖女様……ナイスアシストです!

 ラキ、今がチャンスよ!今なら流れでお礼が言えるわ!


「…………………」

 何やってるのよ〜ラキ〜。

 ラキはモゴモゴするばかりで何も言えていない。


「私は何も出来ませんでした。すべてタクトくんのおかげですよ」

 再びチャ〜ス!聖女様実は私達がやろうとしていること知ってるんじゃないのかしら?


「タクトさん本当にありがとうございます」


「いやもういいよ!さっきも聞いたからさ」

 さ〜ラキ続いて続いて!


「タ、タクト!お前に話がある!」

 ラキがとうとう……ちょっとケンカ腰だけど……まー……良し!このまま言うのよ!


「え、えっと何かな?」

 タクトが少しビビっているように見える。


「それは……そうよ!タクト私と手合わせしなさい!」


 …………ふん?え!?ちょっとちょっとラキ何言ってるのよ!お礼を!ありがとうって一言いうだけよ!テンパって訳の分からないこと言わないでよ!


「あの〜ラキさん、なんでボクがラキさんと手合わせしないといけないのかな?」

 タクトは当然困惑、それはそうよ!ラキ〜この後どうするつもりよ!


「オホン!ちょっと不完全燃焼なのよ!」

「それって教皇様の手合わせが中断されたから?」

「そうよ!それであなた、この間の王都での戦い見ていたけど、動きは速かったけど身体の動かし方がまだまだね!軽く相手してあげるっていってるのよ!ホラ!行くわよ!」

「えーー!?ちょっとラキさんまだやるとは〜」

 タクトはズルズルとマンションの屋上に連れて行かれた。


……………▽


「お願いします!……いざ!尋常に勝負よ!」


「ラキさん!?まだやるとは……あ!ちょ!?イタ!イタタタ…………」


 

 バキ、ドカ、ボコボコボコ…………うげぇ!



 手合わせは終わった。

 ラキは直立に立ち、その前にはボコボコでボロボロになったタクトが立っていた。


「ま〜この間よりは良くなったわ。今日はこのくらいにしてあげる。礼、あ…ありがとうございました………」


「ありがとうござい、イタ、ました……」

 

 ボロボロのタクトはぶっ倒れ、ラキはスタスタと屋上から降りていく。私はすぐにラキを追いかけると、降りてすぐのところで壁に手をついているラキがいた。



「ラキ……あれでいいの?」


「ううっ……だから反省しています……」


「ダメなのが分かってて嬉しいわ」


 私はポンッとラキの肩に手を置き慰めていると、後ろから聖女様が来られて言った。「ここに迷える子羊さんがいるようですね。どうですか?お話を聞きますよ」……ラキは無言で首を縦に振り、私はラキを支えるように部屋へと戻る。


 友達として私も話を聞いてこれからも応援をしていくことを女神様に誓った。

 

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