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第338話 ルナさんは友達思い②


 ラキーーー!逃げたわね!


 も〜うあの子ったら、日頃は王都の貴族や上司にあたる大司教だろうが物怖じしないで意見を言えるのになんでお礼の一言が言えないのよ!本当に意味が分からない………でも不思議、別にラキは人に感謝が出来ないような人ではない。今回に限って何でなのかしら?


「ラキお姉ちゃん大丈夫?」

 心配そうな顔でピスが見上げていた。


「あ、ごめんね。ちょっと考えごとしてて、ラキ居ないみたいだけど中に入らせてもらえるかな?」


「うん!もちろん良いよ!来て来て!」

 そう言ってピスが私から離れて手を引こうとした時、タクトが居ることに気がつく。


「あ!!あの時とお兄ちゃんだ!」


 ピスはすごく嬉しそうな笑顔をタクトに向けた。


「あ…どうも、元気そうでよかった」

 タクトはポリポリと頬をかき少し照れくさそうな反応をしている。私はそんな姿のタクトを見てかわいいな〜と思うと同時に自分は何もしていないのに誇らしい気分になっていた。私はいつかこの人のお嫁さんに……グフッ……いや今はダメよ!今はそんなこと考えている場合じゃなかったわ。


 私とタクトは家の中に通してもらうと、居間にはライラとネビがおり、本を読んで過ごしていた。


「ピス、どなただったかしら?………あ!ルナさん、それにタクトさん!?」


「ネビさん、ライラさんお元気でしたか」

 二人とも笑顔で返事を返してくれた。本当に良かった。あの事件で手足を失うほどの大怪我して更に親とも言える神父様とシスターを失って、心にも身体も大きな傷を負ったはずなのに。


 うふっ、でもその怪我を難なくタクトが治してしまい、ラキを救ってくれたことで、彼女達の精神的なダメージもかなり軽減出来たのだと思う。思い返すと私も嬉しくなってしまう。



「何かありましたか?ルナさんだけじゃなくってタクトさんまで………もしかして!?私の身体をご所望ですか?」


「ちょっ!?ネビさん何言ってるんですか!」

 

 ネビさんは頬に両手をあて少し顔を赤くしてチラチラとタクトを見て恥ずかしがる。私はその発言にびっくり、すぐに間に入った。


「あ!そうですよね。タクトさんはルナさんの……」

 そう!私の旦那さんなんですから!



「う〜ん……ネビさん、そう言う冗談はもう少し食べてからですかね。ボクってもう少しふくよかなタイプが好きなんで!」


「あ……はい!いっぱい食べますね!」


「うん……ヨシ!ボク美味しいお菓子持ってるんだ〜、みんなで一緒に食べましょう」


 タクトはテーブルにいくつもの美味しそうなお菓子を並べていく。それを見たみんなは目をキラキラさせながらテーブルに集まっていく。本当なら私もきっとそうしていたけど、タクトのさっきの発言を聞いて出遅れてしまった。タクト今のはどう言うつもりで言ったわけ?


「おーいどうした?ルナも座ったら?」


「え!?あ!うん!今行くわ」


 私は頭に引っかかりながらもタクトに言われるがまま席に着く。

 

 タクトが出してくれたお菓子とつまみながらネビさん達の近況報告を聞く。ネビさん達は怪我が治ると教会の診療所から出てこのマンションに住むようになり、今は教会の食堂で働いており、毎日しっかりと食事も取れている。それにここ最近は教会が開いている学び舎で勉強をしているらしい。さっきまで二人が本を読んでいたけど勉強をしていたとのこと。



「これからは私達も働かないといけないから、その為の支援として学び舎に入れてもらえたの、これも聖女様とラキが口添えしてくれたおかげね。本当に感謝しています」


 そう言って彼女達は私達に頭を下げる。


………▽


「それにしても遅いね!ラキ姉ちゃん」

 ピスがクッキーをポリポリとリスのように食べながら呟く。


「そう言えばラキってどこに行ってるのかしら?」

 元々はここに居てっていておいたけど、一体どこに行ってるのよ!


「緊急の呼び出しと言ってましたけど、どこに行ったのかは聞いていなくって………」


「んーーそうなんだ」

 今日ラキが呼ばれるような案件あったかな?あの子揉め事に突っ込んでいくタイプだから、呼ばれたらすぐに言っちゃうだろうな。もう少し経ったら帰って来るかしら。



「御免下さい」

 玄関の方から声が聞こえてきた。


 はーいと返事をしてネビは玄関に向かう。

 誰だろう?……でもこの声聞き覚えがある。と言うかまさか!?


 私はネビを追いかけるように玄関へ向かった。

 ネビは口に手を押さえ驚いている。それはそうだろう。普通突然来るような方ではない。



「聖女様なんでこんな所に居られるんですか?」


「うふふ、こんにちは、ちょっとね!大事なお届け物があってね!」


 聖女様は笑顔で手を引いている相手を見て私は納得する。


「うふふ………おかえりなさい…ラキ」

 

 私は聖女様と同じくらいニッコリと黒いオーラを纏って笑った。


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