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第337話 ルナさんは友達思い①


「なぁ〜ルナ、そろそろ教えて欲しいんだけど、なんでここにボクを連れてきたんだい」


「う…うん、ちょっとね。ごめんもう少し待ってて」

 

 ルナは申し訳なさそうな顔で謝る。ん〜?何か俺はルナに謝られるようなことでもしたのだろうか、全然覚えはないけど。



…………▽


◆時は少し遡りルナの視点


「どうしたのよ!ラキ、らしくないわよ!」


 ズーッと重い空気を纏い体育座りで壁際に座るラキ、一体何があったのか?


「ねぇー……なんで私って素直になれないんだろう〜ガサツだし、最低よね……」


 ラキはガクッと頭を下げる。


「ほんと、どうしたのよ。確かにラキは素直じゃないところはあると思うけど、ガサツではないんじゃないの?むしろ細かい方よ!それで何があったのよ」


 私はいつになく落ち込んでいる友人を元気付けるため、まずは話を聞くことにする。



「うん……笑わないでよ!……実は私さ、……………」


 ラキの話を聞く。要約するとラキはタクトに家族とも言える教会のみんなを助けてくれたことを感謝したいらしいのだが、素直になれず未だに言えておらず、へこんでいた。


 ラキって昔からそう言うところがあるのよね。でもそんなに落ち込んでいる姿は初めてだな〜。


「ねぇールナ、ワタシ……どうしたらいいと思う」


 えーー……どうしたらって……ありがとうって言えばいいんじゃないの!って私なら思うけど、ラキにはそれをすることのハードルが高いらしい。


「んーーどうすれば良いかって、やっぱり感謝していることをしっかりと思い出して、それで相手の顔を見れば自然と言えるようになるんじゃないかな〜?」


「う〜ん、それは………」

 ラキは教会の子供達を助けてもらい。神父さま、シスターに会わせてもらったことを思い出す。


 ズーーーン……ラキは四つん這いになり重苦しいオーラに包まれた。


「ちょっとどうしたのよ!なんで更に暗くなるわけ!」

 私はラキの状況変化が理解出来なかった。


「だって……だってワタシ、あんなに良くしてもらったのに、まともにお礼も言えてないの。自分の不甲斐なさに落ち込むわよ」


「あー……そういうこと」

 納得!でもそれなら言えばいいのに〜と私は思ってしまうが、それを言うと振り出しに戻るので、別のことを言わないと。



「う〜ん……良し!決めた!ラキさっさと済ましちゃおう。私がタクトを連れてくるからさ」


「えーー!?でもでも!」

 あたふたするラキ、いつもと違ったかわいい反応、そのギャップのかわいさに私はクスッと笑いタクトを呼びに行く。



………………▽


 そしてタクトを連れて今に至る。

 今ラキは教会の子供達が住んでいる住宅街に居る。ここは聖都マーリンから移住した人達が住んでいる。


「それにしてもタクト、あなたはすごいわ。うふふ」

 ここにはアパート?マンション?と言う名前の建物が多数建っている集合住宅街、これだけの建物をタクトが一人で建てたらしいけど、どうやってやったのか分からないけど、これを住むところをなくした人達に

無償であてがっているなんて、なんていい人なんだろう。この人がいつかは私の旦那さんにキャーー嬉しい。


「んーー!本当だよな。自分でやっておいてなんだけど、改めて見ると圧巻の建物の数、ま〜俺が建てたと言えるか分からないけど」


「何言ってるのよ!タクト、これは紛れもなくあなたが建てたのよ!私はこの曇りなき眼でしっかり見たんだから、胸を張っていいことをしたのよ!」


「うん、別に否定をするつもりじゃないんだ。あんまり苦労せずにやっちゃったから実感が沸かなくって、そんな風に言ってくれてありがとうルナ」


 これだけのことをやって実感が沸かないとか言ってしまうあたり、タクトの器の大きさを実感してしまう。私もタクトの隣を歩いて行くためにも、さらなる研鑽をしないと。私はグッと気合を入れる。


 でもその前にやることがあるんだったわ。目的を見失っちゃダメよ!早くラキに会いに行かないと。


 私とタクトはラキがいる部屋に向かう。ラキは5階建てのマンションの5階に以前一緒に暮らしていた教会の子供達と住んでいる。階段を登り5階に上がり表札を探す。


「えーっとこの辺だと思ったんだけど……あ!あったわ」


 部屋を見つけてドアをノックすると、中からパタパタと早足で近づいてくる小さな足音が聞こえて来た。


 バンッとドアが開き小さな子供がひょっこり顔を出す。


「どちら様ですか?」

 不思議そうな顔をしている子供は私に気づくとニッコリと笑顔になって抱き着く。


「ルナお姉ちゃんだ〜!今日はどうしたの?」

 私はドアから出て来たピスの頭を撫でる。



「ピス、ラキと話をしたいんだけど呼んでくれる」


「え!?ラキお姉ちゃん………今居ないよ〜」


 ………………はぁー!?

 私は心の中で叫んで驚いた。




 

 


 

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