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第334話 精霊と仲良くなるコツ


「ドックン」

 

 ……心臓が大きく高鳴り身体が温かくなって来る。

 身体の底から力が漲って来る。これって……



「先生これって、もしかして回復したんですか?」


「身体の疲れが吹き飛んだであろう。それは命の実と言われる伝説級の代物じゃ、一説には死者を生き返すことも出来ると言われている果実」


「それってすごいじゃないですか!先生これなら……」

 それなら今回の戦いにものすごく役に立つじゃん!


「だがそれは未完成じゃな、人を生き返らせるような効能など到底ない。せいぜい上級魔法キュアイルネスくらいなのじゃ」


 キュアイルネス、光属性の再生魔法で大怪我も一瞬で治し病気などの体調不良にも効果がある。使い手の魔術師は国にも数える程度しかいない。



「先生でも充分ですよ!これなら今回の戦いに役に立ちます」


「そうじゃな。効果はともかく数はそれなりに取れるのじゃ、モーリスに頼んでおくのじゃ」


 そうか、これはモーリスの……

 俺はモーリス(大木)に触れる。

 触れるだけで生命力を強さを感じる。先生はすごいものを育てたもんだ。


「モーリスありがとな。宜しくな。……あ!そうだ。先生ボクがモーリスに何か出来ることありませんか?」


 俺はモーリスに助けて貰うのでしっかりお礼を言う。そして俺にも何か出来ないかと先生に声をかけるのだ。


「う〜んそうじゃな〜。タクトも地の精霊が扱える。地の精霊の魔力を使い大地にエネルギーを与えるのじゃ。そうすればより多くの実をつけることが出来るであろう」


「お!なるほど、それなら……」


 俺は両手を大地につけて、地の精霊に声をかける。


(地の精霊さん、力を貸して欲しいんだ。集まってくれ〜!)


 その声に呼応するように大地がモコモコっと動き、俺の周りに集まって来てくれた。

 

(オラ達になんか用か?)


(うん!ここに居るモーリスって言う大木の力を借りたくって元気にしてあげたいんだ。協力してもらえないかな?)


(おう!モーリスの坊やか)


(ん?みんなもしかしてモーリスのこと知ってるの?)


(おうよ!モーリスとは生まれた時からの間柄だぜ!ロームにはこき使われてせっせと働かされたぞ)


(え!?もしかしてボクが頼もうとしていることかも……)


(あ〜気にすんな!オラ達はモーリスと遊ぶのも育てるのも嫌いじゃない。ただま〜ロームが細かくせっつくから面倒なんだわ。も〜う面倒いだわ)


(………なんか先生がすいません。それならボクからは細かいことを言わないのでいつも通りモーリスを元気にしてくれますか?魔力に関してはボクから提供させて頂きますんで)


(おうよ!任せておけ!お前さんはそのまま地面に手をついて魔力を流してくれ、あとはオラ達がやっておく)


(うん。宜しくね!)


 俺は地面に魔力を流し続ける。それを地の精霊が地面を通してモーリスの根に届ける。モーリスは魔力を吸収、それを栄養に命の実が大量に出来ると言うわけ

だ。


(よぉ!タクトあれもやって良いか?)


(あれ?あれってなんだ?)


(そんなん決まってるだろ!合体だぜ!)


(なに!?合体だって?)

 

 地の精霊とは今までお世話になって知っているつもりだったが、そんなことが出来るのか!?驚きである。



(行くぞー!おめえら〜、地の精霊合体、フュー……)


 あーあー……スゴい!?

 地の精霊達が次々とぶつかり結合し、まとまる君のように一つになって行く。


(こっ、これは!?)

 大きな岩が地面に転がっている。なにこれ?


 岩の動きが止まると表面からグワッと大きな瞳が二つ現れ、ニョキ!ニョキ!っと腕と足が生えた。


(これって、お、男梅じゃん!岩バージョンの!)


(ウッシ!上手くいったわ。どうよ!オラ達のスペシャル合体は?)


(合体って言うか、くっついただけのような気もするんだけど、ま!細かいことはいっか!それより合体してどうするんだ?)


(そんなん決まってんだろ!地の大精霊となったことで遥かに強い力とスキルが使えるんだぜ!)


(え!?ダイセイレイ!?まとまる君が!)


(おい!驚くところはそこかよ!分かってなかったのか、それとまとまる君じゃないからな)


 姿形に惑わされたが、これが地の大精霊か、大精霊と言えばその気になれば地震すら起こせる力があると言われているほど強い力を持っていると聞く。これは期待出来る。


「まったくお前は無茶苦茶するのう〜」

 なぜか先生が呆れている。


「なんか変でした?」


「地の精霊、厳密に言うと微精霊を集めて融合させるなどそんなの聞いたことがない。本来は年月をかけて徐々に成長する。大精霊ともなれば千年ほどじゃ」


「千年!?ながー!そんなにかかるの?」

 それを集めるだけ誕生させたわけだからびっくりなわけだ。


「それにボクがやらせたわけじゃないですよ。彼らが勝手に……」


「我はタクトより長く地の精霊と関わって来たが、そのような方法を聞いたことはないのじゃ、これは地の精霊達の中でも秘術に近いものだと思うのじゃ」


 俺が話をしている途中なのに、少し不機嫌そうな顔で入って来る先生。やきもちか?


「一応言っておきますけど、俺は普通に話をしていただけですから」


「ふん!分かっているのじゃ!さっさとやらんか!」

 先生は俺の頭に乗りガシガシと踏みつける。先生理不尽だ〜!


「イタタタ、まったく先生は!」

 俺はペチッっと先生をはたいて飛ばす。

 

(地の大精霊、この後どうするんだ?)


(ノッホッホ、大精霊となったおいのスキル『バーミキュライト』で魔力が伝わりやすいように土壌を改良し『ファーティライザー』植物に効果的な魔力を調査し栄養を与える。これで元気モリモリモーリスだで!)


(モリモリモーリス………それは結構なことで……アハッアハッアハハハ)


 地の精霊のオヤジギャグを軽く流そうとしたけど、感謝を込めて俺は笑ってやった。それが精霊と仲良くなるコツなのだ。

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