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第33話 ドラゴンバスターの二つ名を持つ凄腕冒険者


 大男は俺に殴られたが倒れず、怒りがこもった目をこちらに向ける。


「はぁ!大した速さだが!軽いね!オラァ!」

 大男は大剣を横に振り、それを空間障壁で防ぐ。


 どうも俺の筋力だとこの速さが加わっても、大男には大して効かない。かと言って、ニッパーやハンマーでやったら威力が高過ぎて殺してしまう。


 正直死ね!って思うところはあるけど、出来れば殺しはしたくはない。


「おら〜余所見すんな!」

 大男はその体格からは想像出来ないほど速く、そして荒々しくあるが鋭い剣捌きで斬りかかって来る。


 俺はそれを空間障壁で防ぎつつも、どうするかを考える。ヘルメットの効果により加速状態の俺は通常の60倍で動ける。ある意味では周りがスローに見え考える時間もたっぷり、なんとしても隙を見つけるぞ!


 と!思ったのだが、そこまで簡単な相手ではなかったようで、俺のステータスを遥かに上回る相手、速さでは俺が上回るが、思っていたより躱すのに力を使う。連続で攻撃されれば考える余裕がそれ程ない。


「はぁーどうしたものか………」

 やや手詰めり感を感じていたその時、大男が動きを止める。


「なんてクソガキだ!まさかこの俺様の速さについてくれるとはな………仕方ね〜本気でやってやる!」


 本気!?………俺はゴクッと喉を鳴らす。


「お前は俺様のことを知らないようだが、俺様はドラゴンバスターの二つ名を持つ凄腕冒険者、そしてこの大剣ギガントバスターは火竜の牙を軸に魔法金属ミスリルと加工し、さらに付与魔法で破壊力を強化!どんなドラゴンでも一刀両断にする。その剣技、貴様にもくれてやろう!」


「うおーー!!」

 大男のオーラが膨れ上がり、その威圧で肌がチリチリとしびれる。


「跡形も無く消えろ!『ギガントクラッシュ』」

 大男は大きく跳躍し、オーラを大剣に纏わせ、俺に向かって振り下ろす。


 どうする。速さ的には躱せるけど、この威力は躱すともしかしたら、後ろに居るお母さんとノルンが危険かも知れない。


 俺が迷っている間にも剣は振り下ろされていた。


 あ〜もう仕方な〜い!

 俺は受け止める体勢を取る。


 両腕を大男に向けて出し、空間障壁を展開!


「止まれーー」

 俺の気合が入った雄叫びも虚しく……………

 あっさりと防いだ。……あっさりと!?


 「カーン」と軽くぶつかった音で弾かれた大男はそのままショックでアゴが外れそうな顔で固まる。


「あ!チャンス、えい!ビスロック」

 俺は大男の手をビスで空間固定をする。


 あれ?俺は手しか固定してないよな〜

 大男はまったく動かない。


「おーい!起きろ〜目を開けて寝るな〜」

 あまりにも反応がないので、顔の前に手を構え、バンっと手を叩く!


「わ!?……はぁ!?俺様はどうした?」

 あちこち視線を向け、最後に俺の顔を見て……


「ありえん!ありえんぞ!俺様の必殺技が止められるなど、絶対にあり得んのだ!」

 大男は混乱して叫び続けている。

 正直そんな事は知らん!煩いから黙って欲しい。


「知らないが、お前にはしっかりと反省して貰うからな」

 

「は、反省だと?クソガキが調子に乗りやがってーお前はズタボロに……いや、そうだな〜お前の前であの女を犯してやる!ヒーヒー言わせて、お前は助けることが出来ず無力感に苛まれるのだ!」

 邪悪な顔で面白そうに最低なことをくちばし続ける。この男はまるで反省するつもりはないようだな。

それならしっかりと反省出来るようにしてやる。


「な〜あんた、この大剣はすごい力を持った名剣であんたにとっては大切な物なんだよな?」


「そう、この剣はどんな物も斬り裂く名剣よ!だからあり得んと言っている!お前がさっきの攻撃を……………」

 

 大男はこの大剣とさっきの必殺技がどれほどの優れていているのかをコンコンと喋り続けている。間違いなくこいつにとってこの大剣はこだわりがあり大切にしているのが分かった。


「おーいカンナ〜ニッパーくれ〜」

「はいな〜ニッパーやで〜」

 ツールボックスからポーンとニッパーが飛んで来たので手でキャッチする。


「あぁ!?なんだそれは、そんな小さな刃物で俺様とやろうと言うのか!笑える!やれるものならやって…………」


 あまりにも煩いのでさっさと実行。

 

 チョキン……カランコロン………


 ニッパーは何の抵抗もなく。大剣(名剣)を根本から切り落とした。


 大男は目ん玉が飛び出るほど目を見開き、大剣を見つめ。アワアワと何か言おうとして言えないほど動揺していた。


「これで少しは反省したか?お前は母さんに酷いことをしたんだ!それ相応の罰として。その大剣は破壊させてもらった!まだやるって言うなら、今度はその剣みたいにお前の腕を切り落とす!」


「なんて、なんてことをしやがった。これがどれだけ凄い物か、お前本当に分かってるのか!おい!」

 大男は身体を震わせながら涙を流している。


 なんかまだイマイチ反省しているようには見えないな〜


「分かっているさ。さっきあんたが散々説明してくれたし、それに見れば分かる。今まで見た剣でそんなに威圧を感じる剣は見たことがないからな」


「う、う、うぐーーならば貴様がやった事は万死に値する!死ね死ね死ね!」

 大男は俺を殴ろうと固定していない腕を振り殴りかかって来た。だが動けない状態での攻撃なんて当たるわけがない。


 俺はヒョイッと躱し、ため息をつく。


「全然反省してないなあんた」

「反省だとー俺様は貴族だぞ!貴様ら平民とは生きている価値が違うんだよ。お前やあの女に何をしようとも俺の勝手、平民は平民らしく俺様の言うことを聞け!」

 

 ダメだこりゃ、う〜んどうすっかな〜、このまま放置は出来ない。後で仕返しに来そうだし、ここはあれを試してみるか。


「カンナ〜今度はライトくれ〜」

「はいな〜ライトやで〜」


 ツールボックスからポーンとライトが飛んで来たので手でキャッチする。


 あんまり気が進まなかったけど、ここまでクソ野郎だとどうでも良くなるな。さて上手くいくかな?



…………………………………………

名称∶ライト

分類∶照明器具

属性∶空間 光 闇

効果∶☓☓☓☓☓

性能∶照らされた空間に対し、

   光と闇、善と悪を分離、

   または消滅が可能。

   (取り扱い注意)

…………………………………………


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