第328話 落ちるアンデラ②
◆アンデラとの戦闘直前、タクトの視点
イライラする〜!喋れば喋るほど地獄での出来事を思い出し怒りが込み上げてくる。このおっさんのスカした顔、絶対に歪ましてやんよ!
ヘルメットと手袋を着用、空間加速で一気にアンデラに接近、右腕の拳を引き、殴りかかるとと同時に空間障壁で作った長方体のブロックをびよ〜んっと拳から伸ばしアンデラに向けて放つ。この攻撃は視認することの出来ないうえに拳が当たるかなり手前で当てられる。その為意外と手練ほど見極めて躱そうとするから反応が遅れるんだよね!
「…ごえ!?」
空間障壁は見事にアンデラのアゴを捕らえる。軽くふらついている。このまま追撃出来るか!
『落ちろ。天井』
天井?……んぐぁ!?
天井が落ちて来た!このままだと押し潰される。配管を足元に設置、空間転移で逃げろ〜!
『デゥデゥデゥ』配管に入る時はこの音だよね!
配管の手口はアンデラの近く。オリャー、配管から出る手前でアンデラが見えた。慌ててやったから想定していた以上に近かった。俺はアッパーカット気味でアンデラの股下を殴る。別に狙ったつもりはない。
「…アヒィ!?」
どんなにスカした野郎だとしても、男である以上当然地獄の苦しみだろう。アンデラは内股になりながらもポーカーフェイスを貫きスカした顔を続けている。う〜ん、中々やるな!なんとしてもあの顔を崩したい。
「君は…一体どこから現れるのですか?まさか!?空間転移魔法!君は魔術師だったのですか!」
コイツなんか言ってるな。変な勘違いしているようだけど、俺は魔術師ではない。ま〜そんなことはどうでも良い。コイツをどうやって倒すか、それに実は戦う前から一つ気がかりなことがある。それは父さん達のこと、一応アンデラを倒したら出られるらしいけど、もしその予想が外れていたら……父さん達は異空間の彼方にに閉じ込められるかもしれない。それは非常に困る………それならいっそこんな手はどうだろう。アンデラのスキル『ラビリンス』を精密ドライバーで調整して力を弱めてしまおう。そうすればヘルホールも弱体化し父さん達が最上階から脱出出来るかも、…………うん!そうしよう。その方が安全出しな。
『灯れ燭台、そして敵を灼き尽くすのだ!』
周りにある燭台から炎が激しく立ち、こちらに向かって伸びて来た。ヤバい!燃えカスにされる。バーナーで自分周辺1メートルに結界として空間延焼を張り炎を防ぐ。この中なら攻撃も防いで相手からも俺が見えない。少しは警戒して攻撃に躊躇するだろう。その間にどうやって精密ドライバーを当てるか考えないとな。
ヘルメットの力で頭をフル回転、アンデラにどうすれば精密ドライバーを当てられるだけの隙を作れるか考えた。この男は俺から見れば全然隙がないので、かなり意表のついたことをしないと当てるのは難しいと思った。なのでビックリして動きを鈍らせることにした。
言うのは簡単だが実行するのはかなり難しいな。………にしても思っていたより警戒されたのか?何もしてこないけど。
実はこの時タクトは猟銃で狙われており、そんなことはつゆ知らず、そしてアンデラの方はは炎が消えるのを待っていた。その為膠着状態に陥ってしまった。
「待っていても仕方ないか、どっかでは覚悟を決めて攻撃しないとな!」
大体の作戦はまとまった。行くぜ!
使う道具は貫通マイナスドライバーとハンマー、まずはこの二つで牽制する。
アンデラに向けて貫通マイナスドライバーを向けてハンマーで叩き飛ばす。アンデラは左に躱した。
「ん!左だな!」
俺はここ最近掴め始めた空間把握能力により即座にアンデラの動きに合わせてハンマーを振った。
「お!躱された」
アンデラはハンマーの攻撃を躱す。流石は常闇のリーダー、これも見えない攻撃なのに気取られたか、でも大丈夫、相手の意識は見えない何かと意識させ、全神経を周辺に向けたはず、だから内側の意識が削がれただろう。攻めどころだな。
『配管と精密ドライバー』
俺は精密ドライバーを手に持ち配管に手を突っ込んだ。出口はアンデラの腹部、配管から手を出すと即座にアンデラに当てて左に目一杯回す。これでアンデラのスキル『ラビリンス』の力は最弱状態になった。作戦は成功、油断は禁物だぜ!アンデラさんよ。
俺はバーナーを切り、炎から出るとアンデラが上から落ちて来た。そしてその表情は動揺、まだ何が分かっていなさそうだ。クックック、まだこれからだからな。簡単に折れてくれるなよ。………なんか俺悪役ぽくないか?いやいや違う!俺はあくまでもやられたからしっかりと返すだけだ。決して悪くない!うん!それで行こう。
アンデラここからは全部俺のターン!地獄に落ちるまで攻めて攻めて攻めまくることヘル姉に誓います。
「地獄に落ちろやアンデラーーー!」
俺は拳を振り上げアンデラに向かって走り出す。