第325話 さっさと脱げ!
「ヘル姉お久し振りです!」
ヒューンっと急いでニキはヘル姉の下に移動し頭を下げる。
「よぉ!ニキ元気そうでなによりだ!でぇ!この騒ぎはなんだオラァ!」
ヘル姉はガシッとニキを掴むと持ち上げる。
「ヘル姉!?ストップ!ストップ!まずは話を……」
ニキは前足をバタバタ動かして訴えているが相手が悪い。この人はたぶん人の話を聞かない。
「連帯責任だ!オラァ!」
「うごぉ!オェー」
痛恨の右ストレートがニキの腹部に突き刺さりぶっ飛んて行く。俺はそんな姿を見て後退りする。「ドンッ」……背中が誰かとぶつかった。見えてないけど誰かは分かった。だってもう目の前にヘル姉が居なくなっていたから。
「よぉ!久し振りだな!」
「どうも…お久し振りです。ヘル姉さん……」
真後ろから声をかけられると、俺が勝手に思っているだけか分からないけど、ものすごいプレッシャーを感じる。怖い!それて殴らないでぇーー!
「なんでここに居る?お前はここへの出入りは許可されているが、わざわざ来るような所じゃねぇ〜、死んでから来な!」
「そうですよね。早々に出て行きますんで」
良し!意外とあっさり帰してくれそうだ。針頭の横で転がっているニキを回収してさっさとずらかるぜ!
「おい!ちょっと待て!まだ話がある」
俺はビクッとして足を止めた。
「ヘル姉さん何でございましょうか?」
「何でここに居る!まだ答えてねぇぞ!」
「あぁそういうことか、実はですね………」
俺はこれまでのことをヘル姉に説明した。
ヘル姉はそれを黙って聞き、話し終わるまで一言喋らなかった。
「アーー腹が立つ!そんな野郎がいたのか!稀に入口から入って来ないヤツがいるとは思っていたが、そう言った類のスキルを持っている野郎がいたとはな!ぶっ飛ばしてやりたいが、過度に現世に干渉するのは禁じられているからな〜、死んだら私が直々に地獄を案内してやるぜ!」
ヘル姉は怒髪天のお怒りを見せる。カンデラさんご愁傷さまです。
「そう言えばヘル姉さんはなぜこちらに?」
「あぁ!どこぞのバカ共が針地獄で暴れているって連絡があったんだよ!私は地獄の統括管理者だからな!そう言うバカ共をぶん殴って黙らせる!」
「バンッと」と手のひらをぶん殴る。衝撃波が周りに広がる。あんなので殴られたら木っ端微塵だね。アハッ。
「そ…それでは説明も終わりましたので、これで御暇させてもらおっかな」
「いや待て!お前にはまだ話がある」
え!?まだあんの?何もないよ!早く出たい!
「ちょっと来い!スケジュールが狂う」
ヘル姉は俺の首根っこを掴むと持ち上げ飛び上がる。
ギャーー怖い!落ちたら死ぬ!
ヘル姉は俺を持ってどうやってかは分からないけど空中を高速移動で飛んでいった。
………………▽
「オラァ!着いたぞ!」
ヘル姉の声が聞こえたら、俺は地面にぶん投げられていた。
「アァァァー………落ちる〜」…………「バシャン」
俺は池に落ちた。
アタタタ……水のおかげで衝撃が軽減されて助かった。………いや!?これ水じゃねぇーお湯だ!?
「おい!お前もさっさと服抜げよ!あんまりおせぇとぶん殴るぞ!」
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色々な情報で頭が追いつかず呆然とする。
そこには真っ裸のヘル姉さんが居た。
なぜヘル姉は服を脱いだ?
そしてなぜ俺が服を脱がなければならないのか?
まさか!?ニキの姉さんだけにお盛んなのか?
セーラー服のような服を脱いだヘル姉さんは恥ずかしがる様子は全くなく全部丸見えだ。ハクといいコイツらは、それにしてもデカい胸だ。何となく服の上からでも分かってはいたがあれは凄い!
ヘル姉さんは髪は長く腰のあたりまで伸ばし半分が青くもう半分が赤い、それに合わせて目の色も同じように違う。奇抜ではあるが魅力的で普通にかなり美人。
ジーッとヘル姉さんを見ていると、ガシッと腕を掴まれる。「あ!やってしまった」そう思ったと同時に頭に衝撃が走る。
「痛ってぇーー!」
俺は水の中でバチャバチャと頭を押さえて悶絶する。
「だぁ!コラ!話を聞いてるのか!さっさと脱げ!風呂に入る時間が遅れる!」
風呂?…………あ!ここって温泉か!通りで温かい。
「あ!?」
ヘル姉が青筋を立てて怒ってる。納得している場合じゃなかった。
「遅いって!………言ってんだろーーー!」
「あ!ちょ!?ダメ!あ!あ!イヤ〜ン」
ヘル姉は再び俺を掴むと服を引っ剥がして服をポイポイと捨てて全裸にすると、物のように空中にぶん投げて落下、温泉が大きく波打ち俺は大の字で浮かんでいた。………………あ〜…………あったかい(*´ω`*)