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第319話 ☓☓☓☓☓☓☓と言えばいい


「ニキには満足してもらえてよかった。あとはあっちだな。父さん…父さん…相談に乗ってもらえるかな?」


 まな板で見た目キャベツに近い野菜マカサカを千切りにしている父さんに声をかけた。


「ん?どうしたタクト、マカサカの千切りを追加するのか?もう結構作ったぞ」

 まな板の横にあるボールに山盛りのマカサカが、作り過ぎだけど、ニキがいるから残すことはないので問題なし。


「うんん、マカサカはもう十分だよ。母さんのことなんだけど」


「あぁ……母さんのことか、タクト何を言ったんだ?あれだけ落ち込んでいる母さんを見るのは久しぶりだぞ」

 父さん気がついていたのか、それなら声かけてよ!


「父さん、母さんを元気づけてあげてくれないかな〜」

 自分のせいでああなってしまったのに、人に頼むのは申し訳ないと思うけど、どうしたら良いのかさっぱり分からない。ここは旦那である父さんに任せるのが確実。


「ん〜〜〜………それは難しいかもしれないな〜。ここはタクトに任せるよ」


 ええ!?頼んだのにあっさり返された。


「とうさ〜ん……」

「そんな顔するなタクト、私では力不足だから言っているんだよ。な〜にタクトなら私がアドバイスをすればあっさりと解決出来る。やってみよう」

「えーー……本当に?父さん母さんが怖いだけじゃないの?」

「うっ!…う〜ん……そんなことはないよ。ほらほら時間がないぞ!タクト」


 父さんは誤魔化すように俺の背中を押して母さんの方へと連れて行かれた。


「良いかタクト、別に難しい話じゃないから、テキトウなことを言ってから☓☓☓☓☓☓☓と言えばいい」


 父さんが耳打ちで言ったことはあまりにも簡単で、すぐに出来ることだった。これで上手くいくならいいけど……(心配だ〜)



「母さーん……」


(イジイジ……イジイジ……ズーン……)

 母さんはいまだに落ち込んでおられる。

 こう言うのって喋りかけづらいな〜。


 俺は母さんの肩をトントンっと叩くと、母さんはこちらを向いた。その顔はそれほど時間が経っていないのにも関わらず憔悴していた。


 うげぇ!……これって俺のせいだよな。胸が痛いです。


「母さん……あの〜え〜っと……」

 やべぇ!何に考えずに話しかけてしまった!?

 母さんの大きな瞳がうるうるし始めている。

 マズイ!このままじゃ〜母さんがまた泣いてしまう!俺はそんな姿の母さんをもう見たくない!


「泣かないで……ボクは元気な母さんが大好きなんだから」

 自然に出た言葉だった……


「だ…だいすき!?タクトは母さんのこと大好きなの!」

 ガシッと母さんに両肩を掴まれる。


「うっ!?うん!ただ元気の母さんだよ!」

「うん!それなら元気になるから、タクトはそんな母さんが良いのよね!」


 あまりの迫力にウンウンと無言で首を振って肯定する。


「やった!タクトは母さんが大好き✧◝(⁰▿⁰)◜✧」

 いや〜ん!やった〜と腕を胸の前で組んで跳ねていた。…………元気は出たようで良かった。


 ポンッと肩を叩かれ、振り向くと父さんが良くやった!と褒めてくれた。流石父さん、母さんのことがよく分かっていらっしゃる。

 


「ふぅ〜……これで諸々上に上がる準備は出来た」

 ま〜俺は体力精神共に疲弊した気がするけど………


………▽


 俺達は出口を目指して最上階に上がる階段を登る。

「コツコツコツ」……誰も喋らないから足音が響いて音がよく聞こえる。みんなこの先に待ち受けているであろう敵や罠に不安になっているのかもしれない。ここは俺がみんなを勇気づけないといけないな!


 俺とアンディが先頭を歩いており振り返る。

まずに気になったのは母さん、頬を染めてイヤンイヤンと首を振って思い耽けている。


 うん……あれは違うな。恐ている顔じゃない。次……

 

 もう一組気になっていたところがある。

 キョウカとアイリス。あそこも少しおかしい。 

 

 アイリスが暑苦しそう。

 キョウカは幸せそう。


 キョウカがアイリスを抱き締めて頬ずりしている。

 あれもどう見ても恐れているわけではない。次……


 ん〜……ここはハナから怖がっているようには見えなかった。


「ハムハムハム……うまいのだ!もう一個くれなのだ」

「ほお〜らお好み焼きだよ〜」

 父さんがオムレツ型にしたお好み焼きを空中に投げるとニキが飛び上がりキャッチ、ハムハムハムと美味しそうに食べている。


 

「あれ?もしかしてボクの勘違いか?」

 ん?……俺は疑問に思いながら隣にいるアンディーを見て思う。俺が勘違いしていたことに………


「な〜アンディー楽しそうだな?」

「ゾクゾクが止まらないよ。この先に極上の脅威がある」


「…………うん!お前はそう言うヤツだったよ!はぁ〜みんな頼もしいな〜。ボクだけかよ。心配性なのは!」


「タクトそれは良いことさ!生きて行くのに重要な感覚さ。冒険者の資質があるぞ!」


「やかましいわ!アンディーも一緒に考えてくれ!」


「もちろん、冒険は仲間と助け合って切り抜けて行くものだからね!」


 アンディーが良い顔してグッドサインをしていた。なんか納得したくなかったけど俺もその言葉には賛同したいので、グッドサインを返しておく。


「タクト最上階が見えてきた。でも上がるのは止めておけよ!」

 

 あぁ?アンディーそれはどう言う意味だ?


 

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