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第303話 インスピレーション発動!


 それからヘカテー様の戦いが始まった。初めのうちは何も話そうとはしないイリス、しかしほろ酔い状態になると話し相手が欲しくなったのか、イリスは遥か遠い昔の話をし始める。それをヘカテー様はしっかりと聞き適度に相槌取っている。ヘカテー様必死だな。俺が言ったことを忠実にこなしている。言った張本にである俺が言うことではないと思うが、女神様が人の言う事を聞いて良いのだろうか?神界とかで恥をかかなければいいが。


 さて、状況は上手く言っているように見える。しかしまだ重要なことが残っている。ここでミスれば全ては水の泡と化す。


 イリスへのプレゼントを何にすれば良いか、これは俺とイリスが関わって来た中での記憶から考察する。


考察その1


 さっきも言ったが骨董品が好きで集めている。この部屋もそうたが教会のいたるところに古い時代の品物絵画、彫刻、陶器、家具、武具、金属製品などが飾られている。以前イリスは言っていた。物には歴史があり物語を知ることで楽しむことが出来ると、何か面白いエピソードがあるものが良いだろう。


考察その2


 イリスは紅茶が好きでよく飲む。香りが好きらしい。今出しているワインもそうだけど香りをかくことでリラックス、リフレッシュなどの効果があるらしい。良い香りのする品物を渡すのも悪くない。


考察その3


 イリスは日頃は読書をして過ごしている。本が好きなのは間違いない。この部屋にある大量の本、俺はてっきり魔術に関わる本とばかり思っていたが、実は一冊もないらしい。なぜならすでに頭の中に記憶しているから置いておく必要がないとのこと、だからここに置かれているのは小説やエッセイなど、今のところ特別に好きなジャンルがあるかは聞いたことがない。


 

 今あるこの情報から最適解を出す!


 もちろん頼るのは我がスキル万能部門1位のタブレットさん、これを使って検索。


「ん……う〜ん……ビシッと来るものがなかなか見つからない」

 いかんせん情報に合う物を絞ることが出来ない。

 どうしても一人で考えていると自信もない。誰かの意見が聞きたい。


「お〜い!カンナ〜来てくれ〜」


「はいは〜い!呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ〜ン……やでぇ!」


 相棒のカンナさんが飛び出て来る。


「なんや!なんや!困った時はカンナさんにおまかせやでぇ!」


 ドンッと胸を叩くカンナ。

 ほ〜う、これは頼もしい。

 

 俺はカンナに今の状況を説明した。



「タクト〜……またえらい厄介ごとにまきこまれたやんな。こないなことばっかりやっとるといつか死んでまうで!ウチ!タクトが心配やでぇ!」


「あぁ…それはボクも心配だけど、別にボクから突っ込んで行ってる訳じゃないぞ」


「今回はちゃうけど、どっちかっちゅうと自分から行っとるように思えるけどな」


 ん?……そうか?自分ではよく分からん。




「それで!本題だけどカンナ的には何が良いと思う?」


「んーせやな〜、ウチとしてはあっちの世界の小説がええと思うんやけど……」


「うーん…確かにそうだな」

 確かにカンナの言う通り、実のところ俺も一番最初に思いついていた。まだ出していない紅茶でもいいかな〜とも思ったけど、俺の感覚だと大きな違いがなく心に与える衝撃が少ないと思えた。だから本…で……でも問題が二つ、まずはこちらの世界と言語が違うので読めない。でもこれに関しては面倒だけど訳せば良いからそれほど問題にはならない。



「カンナ、それってどんな本にする?」


「せやな〜、イリスは難しそうな本ばっかり読んでそうやし、恋愛小説なんでどや?」


「カンナ、その発想は良いと思うぞ。でもな〜ストーリーはともかく背景が伝わるかどうか」


 そう、この世界と元の世界ではあまりにも違いがあり過ぎる。一つ物をとってもきっと伝わらない。例えばやかんと言ったらPCと言ったら、いったい何を思い浮かべるのだろうか?もしかしたら魔物や町の名前かと思うかもしれない。それが分からなければ話について来れず楽しむことが出来ないかも、説明すれば分かるんじゃないの?とも思うが、きっと煩わしく感じるはず。



「ん〜そやな〜、ウチだったらイラッとする気が……しないならどうする?あと思いつくんわ。絵画とかええかな〜、この部屋にはあらへんけど、教会には何枚か飾ってあったで!」


 絵画か……悪くわない。悪くわないが、良いとも言い切れない。タブレットで絵を見て考えるのもいいけど、果たして俺達でイリスの心を打つような物を選ぶことが出来るのか………



 ん〜……ん〜……ん〜……


「な〜タクト、ちょっと考え過ぎとちゃうん〜?」

 カンナは心配そうに声を掛ける。


「いや……でも失敗するとえらいことになるぞ!もしかしたら殺されるかも……」


「ん〜せやな。それはよ〜考えんと、でも案外こう言う時は頭を空っぽにして直感で選んだ方がええんとちゃう?」


「直感……直感ね〜………」

 

 はぁ〜そうだな。まだ時間はある。考え過ぎて混乱するな。考えた中に必ずヒントはあった。ただ俺が気がついていないだけだ。


 落ち着け…落ち着け…落ち着け…


 そして頭を柔らかく柔軟な考えを呼び起こせ!


 凝り固まった決めつけをするな!


 直感を信じろ!求めているのは心に響く!


 感動のストーリーを伝える何か!


 来い来い来い!インスピレーション発動!




 ガシッ!……後ろから肩を掴まれた。

 振り向かなくても分かる。

 一気に全身の血が引いていくような感覚に陥る。


 

 どうやらタイムアップらしい。

 どうする?おれ!

 

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