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295話 ミルキーさんのお掃除


 スカーレットがペンダリーの両腕を切り落とす。


「…………………」


 ペンダリーはややフラつきながらも浮遊して体勢を整える。スカーレットは不審に思いつつ口を開く。



「その身体……痛みを感じないのかしら」


「なんだね?ボクの叫び声が聞きたかったかな」


「いいえ、あなたのようなゲスな男の悲鳴なんて聞くだけ耳障りよ。聞くんならかわいい男の子がいいわね」


『白炎の鎖』


 白い炎の鎖を放ち、ベンダリーを波状攻撃する。ペンダリー浮遊しながら『デスソウル』を使い攻撃を防いでいた。お互い引くことはせず攻撃は均衡している。


「厄介な力を持っているわ!『デスソウル』があまり効いていない」


 その言葉の意味とは、スカーレットの炎は確かに『デスソウル』を防いでいたが全てではなかった!

炎の鎖に確実に侵食されている。スカーレットは自爆の危険を感じた鎖を自ら消し新たな鎖を出し対応する。



「面倒ではあったがそろそろ限界であろう。諦めたらどうだ」


 スカーレットの炎の鎖が徐々に押されている。

 スカーレットは魔力は底をつきかけていた。


「あら!何のことかしら?まさかそれで勝ったつもり?」

 スカーレットは澄まし顔で答える。


 この男、想像以上の魔力を有していた。もしかしたら何らかの魔道具を使っているのかもしれないけど、こちらが押されているのは間違いない。そろそろ奥の手を使わないとダメかしらね。


『白炎フレアサークル』


 自身周囲に白い炎を纏いさらに竜巻のように回転、周囲まで迫っていた『デスソウル』押し返す。


『白炎フレアショット』

 白い炎がレーザービームのように高速で発射する。


「ぐぁ!?」……攻撃は見事にヒット!

 ペンダリーのアゴに突き上げる。

 

 その時、攻撃を受けたにも関わらず倒れるさなか

ベンダリーの口角が上がったのが見えた。


 

 その瞬間スカーレットは気配を察知、後方に振り向くと人魂のような物が飛んで来ていた。炎の鎖で迎撃するも弾かれてしまう。スカーレットは顔をしかめつつも手に炎を灯らせた。


「パシッ」


ミルキーが飛んで来た人魂を手で弾きかき消す。



「ミルキーさん……」

 スカーレットは険しい顔に変わる。



「どう言うつもり?今の攻撃…私は防げたわよ」

 

「えぇそうね。でもタイミングが微妙だったから、たぶんこの攻撃は掠るだけでも死にたくなると思うの……もしもスカーレットさんの炎が間に合わなかったら困るのよ」


 ミルキーは淡々と話をしていた。でもそれがスカーレットには気に障る回答であった。


「そう!でも余計よ!私にはまだ防ぐ奥の手があったのよ。余計なことをしないでくれるかしら」

 スカーレットは腕を組みムッとした顔に変わる。


「うん、ごめんなさいね。スカーレットさん……でもね!万が一でもあなたが死なれたら困るのよ。もしもあなたが死んだらきっとタクちゃんが悲しむわ」


「……………はぁ〜」

 スカーレットはため息をついた。表情も一気に元に戻る。

 


「あなたはそう言う人でしたね。私のことはなどどうでも良いですものね。……張り合っている私がバカみたいじゃない」


 ミルキーは首を傾げる。


「う〜ん………スカーレットさん、私はあなたに興味がないわけじゃないの!タクちゃんのことが大事でタクちゃんのことしか考えられないの、だからごめんなさいね」


 微笑みながら頭を下げるミルキーを見て、スカーレットはもう一度ため息をつく。



「えぇ、それがあなたなら仕方ないこと、でもあなたに手を出されてしらけてしまったの、あとのことは任せるわよ」


「分かったわ。アレはタクちゃんには害になりそう。早々にお掃除しちゃいましょう」


 ミルキーは良いことでも思いついたようにパンっと手を叩く。

 

 

 スカーレットとミルキーがやり取りをしている間、死の商人ことベンダリーは「また防がれた……」と言って『デスソウル』の大玉がミルキーに防がれたことに動揺し、わなわなと震えていた。



◆ベンダリーの視点


「こんにちは!」


「な!なんだオマエ……」


 ミルキーに突然挨拶され、戦い中に挨拶?何なんだコイツはと不思議そうな目で見る。



 しかしこの女、確かに『デスソウル』を防いだように見えたが、あのスカしたスカーレットと言う女がそう見せかけてボクの注意を向けさせたのかも知れん、となればその隙に死角から攻撃が来る!一体どこだ?


「あの〜、そろそろ戦いませんか?」


 フッ、バカめ、注意を向けさせたいからと声をかけてきおったわ。無駄よ!ボクはお前の方を向いてはいるが注意は壁を背にして紅茶を飲んでいるあの女よ!ってアイツこんな時に茶だと!?なんて奴だ!

 


「申し訳ありません。返事がありませんので攻撃させて頂きますね」…………「パシッ」


 いつの間にかミルキーと言う女に接近されていた。足音が全くしなかったぞ!まるで暗殺者かスパイのようなヤツ、ボケっとした顔をして何者だ?


 そんなことを考えていると、頬を叩かれていた。

反応が出来なかったことには驚きだったが、それ以上にゴーストとなったボクに触れられたことに驚く。


「痛ってーー!」

 軽く叩かれただけの頬に激痛が走る。あまりの痛さにボクは転げ回った。


 くぅ〜……一体なんなのだ、今の痛み……そもそもおかしいぞ!今のボクは痛みを感じはずだ。


「キサマー!喰らえ『デスソウル』」


 死に誘うオーラを放ち女はオーラに包まれた。

 フッ、さー派手に死ね!…………………ん?

 なぜ動かん?

 呪いはかかったよな?


 

「くさい……あなたの死はすごく臭う」

 女は初めて表情を変え不快な顔に変わった。


「はぁ?……なんだと?どう言う意味だ!」

 

「死が腐敗している。とっても不快よ」

 そう言うと何かに弾かれるように『デスソウル』が弾け消えて行った。


「バカな!いったい何が起こったというのだ!」

 起こったことが理解出来ず動揺していると「パン」と頬を叩かれていた。気がつくと同時に激痛が走り声が漏れる。


「パン」

「パン、パン」

「パン、パン、パン」

「パン、パン、パン、パン………………………」往復ビンタ


「痛っ!?…………イタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ………………」


(ギャーータスケテーーー)心の叫び(≧Д≦)


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