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第290話 教会の現状


◆スカーレットの視点


「スカーレットさん何してるのよ!放して下さい!」

「は!?スカーレットさんダメです!」


 アーチが私の腕に掴まり私を止め、その声に反応してティアが慌てて止めに来る。少し面倒ね。私はつい説明を省いてしまうから、効率的な様で結局余計な時間を使ってしまう。



「二人共落ち着きなさいな。これは人ではないわ!」



「「へぇ?」」

 二人共言っている意味が分かってないのか、口を大きく開けて変な顔をして面白い……私って結構人を驚くのが好きなのよね。もっとびっくりさせようかしら。



『フレアサークル』


 地面に円が描かれると「ゴォォォォ」と炎が燃え盛り司教が炎に包まれる。


「「キャーーー」」

 二人は当然びっくりするわよね。でもちょっとやり過ぎたかも、二人共放心状態で動かないわね。


「安心しなさい。さっきも言ったけど、これは人ではないは、魔法かスキルかは分からないけど、ミルキーさんどこに居るか分かるわよね」


「えぇ…分かるわよ。引っ張り出せば良いの?」


「そうしてくれる」


 ミルキーの目が鋭くなった時……


「ちょっと待ってくれ!今行くから……」

 部屋に両手を上げて二十代後半くらいのメガネをかけた男が入って来る。




「はぁ〜酷いな〜、普通いきなり燃やします?もう少し尋問とかやることあると思うんだけど」


 ヘラヘラとこんな状況で笑う男、なかなかの胆力の持ち主か、それとも鈍感なだけの男ね。


「そうかしら?失礼な男には当然の処置だと思うわよ」


 私は自分の周辺に火球をいくつも浮かせて、相手を威圧する。


「ま〜ま〜落ち着いて良く見てよ!僕は手を挙げて降参しているんだよ!超友好的ではないのかな〜」


「そうかしら?ま〜良いわ。今度はちゃんと席についてお話をしましょうか」


 

……………▽


 メガネをかけた男が席につき改めて話をすることになったのだけど、さっきの件が分かっていないアーチが教えてほしいとせがむので仕方なく説明する。



「簡単に言えばさっきのコイツは偽物、詳しくはあなたから説明して頂戴」


「あぁ、そうか、僕が説明しないと、でもその前に自己紹介させてくれるかい。僕はこの教会で司教をさせて頂いているポーランと言う者です。宜しく」


「そう宜しく。説明をお願い」

 私は淡白に答える。


「ああ…うん…分かっているよ。見てもらった方が早いかな」


 ポーランの姿がダブって見えたと思ったら、スーッとそれはズレた。


「へー……驚いたわ。それは分身かしら?」

 目の前に座っていたポーランが二人座っていた。


「スキル…ドッペルゲンガー、もう一人の自分を作るスキル、普通の分身とは違い高性能で本物と全く変わらないはずなのになぜバレたのやら?」


 ポーランと分身は全く同じ動きで頭をかいて悩んでいる。確かに普通に見たら全く分からない。魔力で作った分身体は魔力感知が出来るものならすぐに見分けがつくのに、このドッペルゲンガーではそれが出来ない。だけど私には周囲温度を感知する能力がある。ドッペルゲンガーは体温が高過ぎる。普通の人ではないと感じた。だけどそれだけでは確信を持てなかったからミルキーに気配を探らせたら全く同じ存在が居たのだから偽物と判断した。


「それはもちろん秘密よ。それでなんでこんな回りくどいことをするのかしら!」


「それは君達が見知らぬ者達だったから、警戒したんだよ」


「それは聖女候補生であるティアが居るのにかしら?」


「僕と一緒さ、彼女が本物のティアとは限らない。僕は常に周りを疑うようにしている。特に今のような状況では仲間ですら信用は出来ないさ」


 ふ〜っと大きなため息を吐く。


「その状況を詳しく教えて貰えるかしら!」

 

「う〜ん……どうしようかな〜って言える状況じゃないよね」


 ポーランと分身の後ろにいつの間にかミルキーが現れ、二人の首元を掴む。


「あなたはきっと賢い判断が出来ると思うけど、分かりやすく説明しないと命を失うより辛い目に遭うかも知らないから、注意しておくわね」


「アハハ……ご親切にどうも、時間もあることだし、説明するし分からないことがあったらどんどん質問してほしい」


 ポーランと分身はミルキーの殺気でぶるぶると震えている。話が聞こえづらいからミルキーには殺気を緩めるように言った。


 

「もう怖いな。君達が何を知りたいのか知らないけど、この教会の現状が知りたいで良かったかな」


「それで構わないわ。あとはこちらで判断します」


「そうですか、シスターから聞いたと思うけどゼーラント大司教は今不在でね。聖都マーリンに聖魂を貰いに言っているよ。いつもならそろそろ戻ってくるんだけれど?」


「それはいいわ。話を進めて」

 私は無駄な話が嫌い、それは知っている。さっさと進めろ。


「うん、それで今代わりを務めているのが僕なわけで、全く大変な時に行ってくれたよ。あのおっさん、

あなた達も知っていると思うけど国王軍と住民とで大きな小競り合いがあってさ〜」


「あなた!あれを小競り合いで済ませるつもりてすか!」

 今の言葉は聖女見習いとしては聞き捨てならなかったみたいね。ティアが立ち上がり怒っている。


「ん?あ〜悪かった。それでその事件の後、教会は大忙しだよ!怪我人が居ても治療師が足りない。戦争が

でもないのに、ここは野戦病院になったよ。それでやっと落ち着いたと思って聖騎士団を町に出そうとしたらなぜか国からの命令で止めるように言われた。こちらとしてはそうもいかないと思ったけど国に逆らうわけにもいかないと思ってね。僕は止めたんだけど、聖騎士団のメーデ団長は言うことを聞いてくれなかったようで密かに町を巡回していたようだけど、先日見つかってね。メーデ団長を含む百人の団員が国王軍に捕縛されたよ。全く困ったもんだよ」


 はぁぁ〜とため息をつくポーラン司教、大変なのは分かるけど、こんなのが王都の司教だと思いやられるわね。


 でもなぜ聖騎士団が町に居ないのかは分かった。でもこのままだとまずいわね。話によれば死の商人がこの町に潜伏している。悪魔が吹き出すように暴れまわるわよ。


「それでポーラン司教は何もしないつもり?この国が滅ぶわよ」


「ん〜それなんだよな〜、ホント国の上層部は何を考えているのやら困っちゃいますよね〜」


「…………あなた、まさか何も考えていないんじゃないわよね」


 ギロッと私が睨むと「そんな訳ないじゃないですか、アハハ」と誤魔化すような言い方で言い、続きを喋る。


「僕もまだ迷っているんですが、アレを使おうと思っています。アレをね!」


 ポーラン司教が勿体振る様な言い方をするので、無駄な時間を使わせるわね。


「ミルキーさん、喋れる程度に軽くお願い」


「分かったわ」と言ったミルキーはスキル『ペイン』を使い二人は叫び声をあげる。その声を聞いたシスターが集まり結局余計無駄な時間を使ってしまう。

 


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