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第278話 地の精霊と遊ぼう


◆タクトの視点


 子供達の安否は確認出来た。これでバラクを追える。どこに行ったかは知らんが、このメガネからは逃れられないぞ!


「タクトちょっと良いかしら」


「え!?あ、はい、どうしました?」


「タクト……彼らは一体?」 


 あ〜あの二人、確かラウラとエリックだったか?どちらも強かった。戦い慣れているって感じではなかったけどきっと才能がある者達なんだろうな。


「油断は出来ないけど、十分勝てる相手だと思う」


「違う!そんなことを聞きたい訳じゃないわ。彼らはあの子達を守っていたんだと……私も思うの。でもここの人間には思えなかった。なんで助けたと思う?」


 そうなんだ俺も気にはなっていた。彼らは綺麗過ぎる。ここですれ違った人達は皆服装はボロく、そして匂った。身体をまともに洗えない様な環境。スラム街は貧民街でもあるんだ。だからあの仮面の二人は異質なのが分かる。そんな彼らが助ける理由。


「ま〜考えたところで分かりませんけど、助けたかったから……あの子供達と仮面の二人には損得感情みたいな物はなかった様に感じました」


「そっか……ワタシも……そう…感じた」

 ラキさんも納得がいかないところはあれど、俺と同じ様に感じている。そうなると意外なことだと思えてしまう。てっきりバラクと言う男は非道かつ恐ろしい男だと勝手に想像していた。これは調べる必要がある。


「あぁ……これは偶然だったけど想像以上の収穫がありそうだな」


 俺はニヤリと笑い、過去視で仮面を付けていた二人を追った。


 

…………▽


「エリック兄様一体いつまで我慢すれば良いのでしょうか?」


「ラウラ、その話は何度目だい?言っただろ準備には時間がかかるんだって、今は耐える時だよ」


「それは分かっていますわ!ですがその方は本当に信用出来ますの?」


「それは信じるしかないさ、私も会ったことはないんだ。バラクさんに任せよう」


「そうですわね。今のまま戻っても国王軍捕まって最悪殺されてしまうかも知れませんものね……はぁ〜早く帰ってお風呂に入りたいですわ」


「あ〜そうだな。私はステーキが食べたいかな」


「ふふっ、エリック兄様は見た目の割に良く食べますものね」


「ラウラ、見た目は関係ないだろう。仕方ないんだ!

クアンシェフの料理が美味しすぎるんだ」


「ふふっ、本当ですわね。……もう少し頑張りましょうエリック兄様」


「あぁ…やるぞ!ラウラ」



 

………ん〜この二人は兄妹なのか、仲が良さそうだな。

ま〜それは良いけど、予想通りこの二人はここの住民じゃなさそうだ。



 二人はそれからしばらく歩き町外れへ向かって行った。

 そろそろバラクと合流しないのかな?そう思い始めた頃、二人がどうやら目的地に着いたようだ。



「屋敷……結構大きいな」

 二人は屋敷の中に入っていた。周りを確認すると

人の気配はない。もう少し近づけるか。


 でも全員でとはいかないよな。


「ジェーさん、ラキさん、ちょっと中を確認してこようと思います。二人は申し訳ないですけど待っていて頂けますか」


「ワタシは良いわよ。ワタシみたいな大柄な男が隠れる場所とかあの屋敷にはないでしょし」


 ジェーさんはすぐに納得し了承してくれた。

 でも……


「待ちなさい!なんであなた一人だけなの!納得がいかないんだけど」


 うっ…やっぱりラキさんに反対される。


「あなたが行くくらいなら私が行った方が良いと思うんだけど」


「いえ、ボクは隠密スキルを持っているんで」


「私も持ってるは、隠密スキルLv.5よ」


 俺より高い……なんで聖職者がそんなスキル持ってるんだよ!


「ボクより高いですね……」


「そうでしょ!だって私より高い人見たことないもの」


 胸を張って偉そうなラキ、でも隠密スキルが高いのは聖職者としてどうなのよ?本来盗賊とか殺し屋が鍛えるスキルなんだけど?


「ん〜それでもボクの方が適任だと……」


「なんでよ!モジモジモジモジしてないではっきり言いなさいよ!」


 ラキさんは本当に気が短い。

 さっさと見せてしまった方が良いな。



「地の精霊遊ぼう。かくれんぼだ!」


(おう!オラ達と遊んでくれるのかい!)


「あ〜遊ぼうぜ!見つかったら負けだ!協力して逃げ切ろう〜」


(よっしゃ!任せとけ!)


 しかし便利になった。地の精霊スキルが急上昇した

お陰で地の精霊と会話が成り立つ。前は気配を感じたり小さな声が聞こえたりと安定感がなかったが今ではこの通り。ただ少し頑固者で堅苦しいところがあって面倒くさく感じることがある。ついこの間、修行も兼ねて遊ぼうと声をかけると「タクトあんた仕事をほっぽって来てないかい!良いか?嫌なことだからって後回しにしても後で自分が困るだけなんだぜ!どうせやるんだからさっさとやっちまいな。大丈夫…オラ達は待ってるぜ!」と説教と言うか説得された。若い頃の先輩、上司に言われているみたいだ。結局その時は戻って仕事を終わらせてから遊んだ。


 意外なところで扱いづらいのが地の精霊なのだ。


「それじゃ見せてやろう!」

(おうよ!)


 俺の足元から土煙が上がり俺の姿が消えた。


「え!嘘!?どこに行ったの!」

 ラキさんは周りを見渡すもタクトを見つけることが

出来ない。「どこ?どこ?どこなのよ〜!」とバタバタと探し廻っている。一応見つかるとヤバいんで走り廻るのは止めてほしい。ラキさんは負けず嫌いなのかも知れない。またラキさんの新しい一面を見つけた気がした。


「フッフッフ、どうです。どこにいるかわからないでしょ!」

 俺は勝ち誇ったように高らかと声を上げた。


「あ!この辺から声が聞こえたわ!」

 タッタッタと声がした方に走っていく。


「あ!?ちょっ!こっち来ないで!アタ!?アタタタ!」


「ん?なんかこの辺柔らかいかも?」

 ラキさんは地面を足でグリグリ。


「痛い!痛いですラキさんやめて〜」

 

「あ〜ら……そんなところに居たのね!えい!」

 ラキさんは足でもう一捻り!


 俺が地面に同化して隠れているのを分かってやらないで、ラキさんは少し楽しげにしている。まさかあんたはSですか?そんなどうでも良いことを考えながら踏まれている俺でした。

 

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