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第277話 過去視 足跡を追え!


◆ラキの視点


 私は早く助けに行きたいと思う一心で飛び出そうとした。しかしそれをタクトに止められる。確かに何の手掛かりもない状態で行っても見つけられないだろう。でも私には捜索するような便利なスキルを有してはいない。なら走るしかないでしょ!


 しかし、タクトには何か良い方法があるらしく聞くことにする。私は子供達のことになるとどうにも頭が熱くなり過ぎることが稀にある。ここは一度冷静にならないと。


 するとタクトはメガネをかけた。メガネのレンズは真っ黒なんだけど!前が見えないじゃない!私のことバカにしているんじゃないでしょうね!


 タクトはメガネをクイッと上げると、そのまま歩き出す。私の心配をよそにコケることもなくズイズイと進んで行った。





「キューイ」

 

「おいおい出て来たらダメだよエメリア」

 小さなドラゴンがポケットから飛び出した。


「キュイキュイキュイ〜」

 エメリアと言う名のドラゴンはタクトの顔を突いて何かを訴えていた。

 

「え!?ん〜……そう言うことか……ま〜仕方ないか」

 エメリアが言った言葉が分かったのか、タクトはエメリアの頭を撫でるとエメリアはタクトの頭の上に乗ってうずくまる。



「今その子何を言ったの?」

 私は何となく気になって聞いてみた。


「うん、エメリアはたぶん外に出たい!遊びたい!みたいなことを言ってたんだと思う」


「なんだ!言葉を理解していた訳じゃないの」


「あ、うん、そうなんだよね。言葉が分かれば良いけどドラゴンだからな、でもエメリアは結構表現力があるから仕草でちゃんと教えてくれるんだよ」


「へぇ〜そうなの、私もドラゴンは見たことがあるけど、こんな風に懐いている姿は見たことがないわ」

 

 ドラゴン、魔物の中でも最強の一角の種族、それを従えるのは魔物を操るスキルモンスターテイマーでも上位のスキルでなければ出来ない。そもそもタクトはそんなことをしていない。


 話をしながら歩いているとタクトの動きが止まる。

 タクトは裏路地の辺りをじっと見て難しい顔をしていた。私は声をかけようとしたがかなり集中している姿を見て少し待つことにする。


 タクトはしばらくして再び歩き出す。何も言わないことから流石に私としても我慢が出来なかった。


「ちょっとさっきから一人で分かったような顔をしているけど、そろそろ説明してくれない」


「あ…いやもうちょっと待って、話が想定外の方向に

進んでいるから、今は集中したい。ラキさんは子供達のことを心配しているんだろうけど、それに関しては大丈夫そうだから安心して」


 私は少し不満だったけど、私が一番気がかりだった内容が聞けたのでもう少し我慢することにした。


 ん?……建物の角差し掛かると突然止まり手で私達を制止させた。


「どうしたの?」


「シッ!……静かにあれを見て………」


 タクトに言われて隠れながら角から顔を出しその先を見るとそこにはあの時の子供達が居た。


 子供達は何人かの大人の人に連れられて歩いていく。いつもなら飛び出して殴り飛ばし助けていただろうけど。


「あれは……」

 

 子供達は楽しそう笑っていた。その姿は昔の私にダブって見える。貧しいながらも仲間を思い楽しく過していた時間。

 

「どう言うこと……あれはどう見ても……」


「あぁ、ラキさんも気が付きました。あの子供達の姿に嘘はありませんよ。幻でもなければ洗脳されている訳でもない。そもそもボクらがここに居るのに気がついてもいないし騙す理由もない」


 確かにそうなんだけどモヤモヤする。

 つまりあの仮面の者達は子供達を守った?


「タクト……彼らは一体?」





「あぁ……これは偶然だったけど想像以上の収穫がありそうだな」



………………▽


◆タクトの視点


 ……ここに来る少し前



 見つけた!アイツらだ。ま〜過去の映像だけどね。


 それにしてもどういうことだ?

 攫われた子供達は仮面の者達と楽しげに話をしている。

 もしやこれは俺達が勘違いしている可能性が……いや待て!判断するにはまだ早い。話を聞くんだ。


 

「助けてくれてありがとうお姉ちゃん」

 少女は仮面の女性に抱き着く。


「いえいえ、大したことではありませんわ!子供達を攫い違法な取り引きで無理やり働かせるような輩は許しておけませんもの、困ったことがあったらいつでも言って下さいまし」


「うん!………お姉ちゃん……仮面が割れてるよ」


「え!?嘘!あ!あの時の……この仮面かなり硬いのに、あの方女性なのに頭突きとかありえませんわ」


(あ〜確かにラキさんの頭突きにはびっくりした。俺もやった記憶がないもんな)


「もうですわ!この仮面の予備はありませんのにどういたしましょう」


 仮面の女性は不満を漏らしながらその仮面を外した。その顔から俺より同じか少し上の年齢の女性と分かった。なんと言うかこの場所には似つかわない品のある美人、金色の髪なびかせ子供達に微笑みかけていた。


「ラウラ問題はない。それと同じ仮面ではないが私が代わりの用意出来る」


 仮面の男はすでに仮面を外しており、こちらも俺と同じか少し上の年齢に見える。爽やかな顔立ちのイケメン、両耳に丸い水晶の様なピアスを付けている。お洒落でカッコいい。


「本当ですの!流石はエリック兄様ですわ」


 エリック?それにラウラ?………なんか聞き覚えがあるけど、知り合いにでも居たかな?


 そこに遅れてやって来た。長槍を持った体格の良い男。


「お前ら前にも言ったと思うが!油断すんな!まだその辺にヤツらがうろついているんだぞ!さっさと行け!」


 体格の良い男は頭をガシガシと掻きながら呆れるように言う。


「バラクさん分かってます。一瞬たりとも油断はしません」

「私もお兄様と同じですわ。バラク様の教えを心に止めておりますわよ」




「お前らは……しっかりと頼むぞ!俺は先に行く」

 バラクと言う男はガクッと肩を落としそのままどこかに行ってしまう。


 ん?……そう言えばバラクこの名にも心当たりが……バラクバラクバラク………あぁ!?バラクってもしかしてスラム街のリーダーじゃないか!?


 追いかけないと!………てぇ!これは過去視だった。

でも追うことは出来る。ヤツが俺達が探しているヤツかは分からないが追いかける価値はある。


 俺は子供達の安否の確認次第バラクを追うことにした。


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