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第272話 キョウカは不安になる


◆キョウカの視点


 スカーレットのパーティーが王都に入り3時間後

ブラックのパーティーが到着する。



 このパーティー本当に大丈夫なのかしら?

 私は不安になっていた。


「わーい!オジさん抱っこして」

「良いよ!おいでアイリス」

 ブラックさんがアイリスを抱き上げる。優しいお父さん。


「ワンワン!ご飯くれなのだ」

「ニキさっき食べたばかりなのにも〜うお腹が空いたのか?ヨシヨシ、チーカマだぞ」

 ブラックさんはニキの頭を撫でチーカマの包装を取って食べさせる。優しいお父さん。


 私はこのパーティーメンバーのことを知らないけど、優しいお父さんに小さな女の子、それに喋る犬?……これって私が相当頑張らないといけない感じかしら。




 私達は最初に王都に行ったパーティーと比べてかなり遅い時間に到着している。すでに夕暮れになっていた。今日は宿を探した方が良さそう。


 ちなみに私は国王軍に顔を知られているので、騒ぎにならない為、光魔法をかけ表面上の情報、顔や服装を変えている。


「あの〜ブラックさん、そろそろ暗くなってきました

し宿を探しませんか?それとも先に食事でも……」


 私はやんわりと進言する。


「あ〜うん、キョウカさんはブルーベリーとフルーツ

あとチョコがあるけどどれにする?」


 ん?どう言う意味。

 

 ブラックさんの手には見慣れた黄色の四角の箱が、

これってカ◯リーメイトですよね。



「今日はこれが夕食だよ。結構美味しいよ。量が足りなかったら言って下さい。まだありますから」


 ブラックさんは私にブルーベリーのカ◯リーメイト

を渡すと、アイリスとニキにもそれを渡しモゾモゾと

食べながら町外れの方に歩いて行った。



……………▽


 ここは王都の中でも住宅がまばらにしかなく人通りもない場所、木々が多く生い茂っており森みたい。


「ブラックさん、今からどこに行くんですか?」

 私は暗がりの中、暗視魔法で視界を確保して歩く。その横に声をかけられたブラックさんがアイリスを抱きかかえてスタスタと何事もないように歩いていた。犬のニキが夜目が効くのは分かるけど、この人なんで普通に歩けるわけ?



「ごめん!言ってなかったよ。私達は他のパーティーと違って目的を持って調査を行うんだ。ちなみに調査内容は常闇の情報、特に反乱を起こしたスラム街の住民とリーダーのバラクについてだよ」


 ブラックさんは申し訳なさそうに言う。


「それは他のパーティーとは明らかに指示された内容と違うじゃないですか。それってダメなんじゃ」

 

「それがそうでもないんだ。そもそも計画を立てたのは私とバロンだよ。間違ったことは言わないさ。もちろんこれにはちゃんと理由がある」


「それは何ですか?」


「理由は二つ、今回の件どうにもきな臭い気がしてね。ボルジア公爵を倒せば解決する案件ではないと思っている。だからこの国の裏で動いている常闇の情報が必要なんだよ」


「ブラックさんが危惧されることは分かりましたけど

それは簡単な話ではありませんよ。そもそも彼らがどこにいるか、私の探索系の魔法でも難しいと思います」


 王直属の部隊『常闇』、私も噂程度でしか知らない謎の部隊、今まで私も知りたいと思って探したことはないけれど、知れば必ず殺されると聞いたことがあった恐ろしい者達。



「それについては問題ないよ。この先に常闇の隠れ家の一つがあるから、まずはそこを確認しようと思う」


「え!?……そのなんでそんなこと知っているんですか」


「私が元常闇のメンバーだからさ」

 ブラックさんは驚くべきことをあっさりと言った。


「ブラックさんが常闇の……」

 ブラックさんってタクトのお父さんだよね。そんな人がなんで?でもこれって聞いたらいけないヤツよね。


「キョウカさんあまり気にしないで下さい。ただ出来ればあまり言いふらさないで頂けると助かるよ」


 爽やかな笑顔をするこの男の人が殺し屋なの?

 私は不思議なものを見るようにブラックさんを見ていた。


「分かりました。他の人には言わないことを約束します。それでこの先に常闇が居るんですね」


「うん、たぶんね」


「えーっと……たぶんなのですか?以前そこに行ったことがあるんじゃ」


「いや、ないよ。常闇は徹底した情報漏洩の対策が行われている。私のように抜けた者は基本的には居ないが、もしもその様な者が現れたら隠れ家は必ず破棄することになっている。だから私が行ったことのある隠れ家はすべて無くなっているよ。でも大丈夫きっとあるから」


 え!?どう言うこと〜?

 私は内心クエッションマークだった。


 話をしている間にかなり進み、今度は見渡す限り何もない草原に着いた。


「ブラックさん本当にここにあるんでしょうか?」


「うん、あるよ。と言うか見つかった」

 ブラックさんの視線の先には何もなく、強いて言えば大きな岩と草むらがあるくらい。もしかしてあの岩の下に入口があるって言うの?


「相変わらずやり方が変わらない。下ではなく上、

目立つのを嫌うくせに変なところに隠れ家を作るよな」


 ブラックさんは大きく跳躍すると突然姿が消えた。


「え!?嘘どこに行ったの?」


「おーいキョウカさん、ここ…ことだよ。そのまま上に飛んで来ておいで」


 え!?……私は意味が分からなかったけど、ブラックさんに言われるまま飛行魔法で飛ぶと何かを通り抜ける感覚を感じる。


「これって結界……あ!?」

 飛んだ先には大地が広がり、ポツンと真っ白な大きな屋敷が建っていた。


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