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異世界では平穏な生活を目指します!チートスキル『ツールボックス』を活用した平和な国作り  作者: 鉄馬 メウ


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第270話 モンモンとするノルン


 タクトのパーティーが王都に入り3時間後

イグニスのパーティーが到着する。



「久し振りだな王都、ここの町に骨付き肉の美味い店があるんだよ!エールとよく合うんだ!後でみんなで行こうぜ!」


 ジュルっとよだれが垂れそうになるのを堪える。


「イグニスさんまずは仕事してからですよ!」


「アポロンんなことは分かってるよ。後でって言っただろ。でも食い物の話をしてたら腹減ったな〜」


「イグニスさん本当にわかっ……」

 アポロンがイグニスを窘めようとした時

ぐぅ〜っと腹がなる音がした。


「………おい!親父さっき食べたばっかりだろうが!」


「あ〜悪い悪い、イグニスさんが美味そうな話をするから想像したら腹が鳴ったわ」


「やっぱりそうですよね!セルギウス神父、まずは腹ごしらえしないと調査にも影響が出るな〜」


「何言ってるんですか!そんなのただの言い訳だろ!頼むぜ………おい!それにしてもノルンさっきから一言も喋ってないけど大丈夫か?」


「え!?べ…べつに〜タクトのこととか気にしてないし」


「別にタクトの話はしてないぞ!お前もしっかり頼むぞ!」


 アポロンに一喝されるもノルンの頭には入っていなかった。ではなぜなのか?イヤな予感がする。お父様にはタクトと同じパーティーに入れてほしいと言ったが残念ながら聞き入れて貰えなかった。お父様のことだからちゃんと考えがあるだろうから文句は言えない。だからあきらめられたけど、ラキさんこの人とタクトにはほとんど接点がない。だからそこまで心配しなくて良いと思ったけど、一度調査メンバーが集まったのだが、チラチラとタクトを見るラキさんを見て不安になる。でも今さら何も出来ないことでノルンはモンモンとしていた。


…………▽

 

 王都に入ると結局イグニスとセルギウス神父の意見に押し切られてイグニスのおすすめの食堂へと向う。


 食堂は一階にあり2階は宿泊施設になっている。中に入ると賑わっており其の辺の一般客から冒険者と様々居た。テキトウに空いている席に座るとウェイトレスのお姉さんが注文を受けに来る。



「おう!注文良いか?まずはスパイシーチキンの骨付きを8人前くれ!あ!あとエール」


「イグニスさん!エールはダメでしょ!」


「ま〜ま〜アポロン、良いではないですか、イグニスさんも加減して飲まれますよ。あ!あと私にもエール下さ〜い」


「おい!親父、あんたもか!それに毎度言うが聖職者は飲酒は禁止されてるからな!」


「チッチッチ、アポロンそれは違うな。飲酒が禁止されているのではない。泥酔する程飲むのを禁止しているだけだ」


「そう言うのは日頃の自分を思い出してから言え!」


「うーん……思い出せない!」


「だから泥酔してんだよ!バカ親父〜」


「お!やるか!アポロン」


 掴み合いガヤガヤと騒ぐ二人を見て、周りの冒険者が「やれやれー」と煽り騒ぎ出す。




 そんな騒ぎを気にせずミルクと定食を注文する。

 ノルンにイグニスは話しかけた。


「ノルン〜いつまでもウジウジと考えてもどうにもならねぇ〜ぞ!そんなに心配ならさっさと告れよ!」


「煩いわよ!イグニス黙ってて!」


「なんだよ!子供の頃からノルンは意地っ張りだったからな。人の忠告にも耳を傾けるべきだぜ」


「イグニスに聞いてもらうならカミラさんに聞くわよ」


「それは………そうだな。俺でもそう思う。なら後でしろ。そんなウジウジされてると気になるんだよ」


「あーーもう!……そうね!私らしくなかったわ!

イグニス私にもその骨付き肉頂戴」


 ノルンは返事が返ってくる前に骨付き肉に

手を伸ばす。


「おうおう!食え食え、辛いことがあった時は

ヤケ食いだな」


「別に辛いことなんてないわよ!勝手に失恋した

みたいに言わないで!もう1本頂き〜」


「おい!俺が頼んだヤツだぞ!まったく〜

フッ………ノルンお前には期待しているからな」


 ボソッとイグニスが呟く。


「はぁ?なんか言ったイグニス」


「いや、ほらもっと食え!……ウェイトレスさ〜ん

骨付き肉追加!」


 イグニスは大声で注文をする。


……………▽


「はぁ〜腹パンパンだぜ!」

「いや〜骨付き肉美味しゅう〜ございました……うえ」


「おいコラ!だから言っただろ!立て立ち上がれ」


 イグニスは腹パンパンで動けず、セルギウスは飲み過ぎで吐きそうに、バカ二人のせいでいきなり何も出来ない状態になりアポロンが激怒する。


「アポロンもう言うだけ無駄よ。二人は宿に転がして

私達だけで町を見ましょう」


「はぁ〜……そうだな。このままって訳にもいかない。

俺達だけで軽くでもいいから行くか」


「おーう。すまないな」

「よ〜し息子よ!行って来い!」


 アポロンはため息をつきノルンと一緒に部屋を出る。下の食堂に降りて行くと少し騒がしい。また冒険者あたりが騒いでいるのかと思ったらそうではなかった。


 食堂のカウンターに若い女性が群がっており、その中心には大きなハットを被った剣士がスカした顔で喋っていた。



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