第269話 王都の調査開始
王都の調査には4つのパーティーで行う。調査の内容は特定の情報収集と言うわけではなく。何でも良い。王都が今どうなっているかが知りたいのだ。
それではパーティーのメンバーについて紹介する。
①タクト、ローム先生、ジェー、ラキ
②イグニス、ノルン、アポロン、セルギウス
③スカーレット、ミルキー、アーチ、ティア
④ブラック、アイリス、ニキ、キョウカ
基本的には死の商人と遭遇する可能性を考えて一番後ろ側の人達を聖職者とした。キョウカに関しては聖職者ではないが、それに準ずる魔法を持っているので問題なし。でも一つ父さんに抗議したメンバーがいた。母さん(ミルキー)だ!わざわざ母さんがいかなくとも、そう言ったけど心配ないからと父さんに押し切られた。不満である。
はぁ〜とは言ってもそれはただの俺のワガママ、未だに信じられないけど、聞いた話では母さんはかなりの実力者らしい。今はその言葉を信じるしかない。
さて今は自分の仕事に集中しよう。
……………▽
王都は以外にもあっさりと入ることが出来た。衛兵が出入りを厳重にし警戒を強化しているかと思ったんだけど……でも楽が出来たと思えばラッキーだな。
「しかしアレじゃな。思っていたより騒ぎにはなっておらん。深刻でなくて良かったのじゃ」
「うん、そうですね!先生」
町中を歩きながら住民を観察して分かったのは殺伐とした雰囲気が思ったよりない。住民が反乱を起こし多数の死傷者が出たと聞いたが、ま〜まだ町の入口付近だからまだ分からないかも。
「タクトちゃんあんまりキョロキョロしないの!普通にしなさい。それとも田舎から出て来たおのぼりさんの真似かしら?」
「ジョーさんボクはそんなに器用じゃないよ。それにボクは田舎者、普通に村では見なかった物や人が多いし。楽しんじゃいけないかもしれないけど少しだけね」
「そう、ま〜良いかしら、周りに怪しそうな人はいなさそうだし」
町の奥の方へと歩いて行くに連れて人が少なくなって来た。
「そうか……この辺であったんだな」
ここは町の奥の中央区と言ったところか、木造や石造の建物が多く並んでいるが、どれも破損していたり燃えた跡がある。ここで国王軍と反乱を起こした住民の戦いがあったと思われる。
「ねぇ〜ここに来たのは少し間違いだったんじゃない」
ラキが厳しい顔をして言った後に、ぞろぞろと俺達の周りを囲うように十数人の輩が現れる。
「なぁ〜あんたらこの辺で何やっているんだ?もしかして余所者か?」
いかにも輩ぽいヤツが一人出て来て俺達に尋ねる。
「えぇ、実はさっき着いたばかりで、テキトウにウロウロと町を歩いていたらこんなところに、この場所で何かあったのですか?結構な大事件があったと思うのですが?」
それを聞いた周りの男達はニタニタと笑う。
「なんだ?知らないのかよ。しゃ〜ねぇな〜教えてやるよ。ここで大きな暴動が起きたのさ。国王軍とスラム街の住民のバトルだぜ!スゲーだぜ!まさに戦争よ!血湧き肉躍る激しい戦いだった」
「へーそうなんですね。あなたもその場に?」
「あー居たぜ。見てだけだが、正直恐ろしくて行けなかった。目つきがやべーヤツばっかりだったしな。でも!そんなのはどうでもいいや。国王軍をあそこまでぶっ倒すなんてスゲーだぜ!」
男は暴動のことを思い出し震え上がっていた。
相当な戦いなのは分かったが……
「あなたもスラム街の住民なのですか?」
「あーそうだ!これからは俺達の時代なんだよ」
男は手で合図すると周りのヤツらがジリジリと
近づいて来る。
「痛い目に遭いたくなかったら金目の物……出しな!」
男は短剣をこちらに向ける。
「あなた達、この辺を狩場にしているのね。気をつけた方が良いわよ。相手はよく見て選ばないと」
ジェーさんがコキコキと手を鳴らしながら前に出る。
「はぁっ…はぁっ……大男のお出ましかよ。けっ!
これだけの人数を一度に相手に出来るのかよ!」
やや動揺したが周りの人数を見て気を取り直す。
「あなた達みたいなの嫌いなの。さっさと消えて」
「ごぁ」
ラキは近くの男のアゴを蹴り上げ吹き飛ばす。それを切っ掛けに一斉に突っ込んで来たが、相手が悪過ぎたな。三十秒後には全員おネンネしていた。
「ホント!弱い者イジメとかサイテー!」
えらく憤怒しているラキ、過去を思い出してイラついてるのかな?
「おい!金目の物置いてけ!あぁ?」
また別の強盗が現れ倒れている男達を見て驚く。
一分後には倒れている皆さんと同じになる。
「ここはそう言う輩の溜まり場か、良くないな」
「そうね!一掃してしまいましょう」
「え!?ちょ!ラキさん」
ラキはそのまま真っ直ぐ進み、
出て来た輩を蹴り飛ばす。
えっと……もしかしてこのまま……
この後自らを餌に出て来た輩を蹴り続けこの周辺の輩を駆逐した。