表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

267/443

第267話 天獄の魔眼と炭化


「バロンさんはその方に何の用があって?

思い出話がしたい。そんな感じじゃないですよね」



「あぁ、それなんだが…」


「私の為よ。タクト」


 お茶を入れたコップをオボンに乗せてノルンが部屋に

入って来た。テーブルにコップを置くとノルンはその

まま俺の隣の席に座る。


「ノルンの為って…どう言うことだ?」


「そのままの意味よ。父様は私を心配して……

エルレイシア様のお力を借りたいのよ」


 ノルンが答えてくれたのだが、あまり内容が分からず

首を捻っているとバロンさんが補足を入れてくれた。


「エルレイシア様はノルンと同じ『天獄の魔眼』

スキルの使い手なのだが、今ノルンはそのスキルに

よって命を落としかけている」


「ちょ!?それ本当ですか!ノルンお前大丈夫なのかよ!」

 俺はあまりのことに大声でノルンに聞く。


「お父様言い過ぎですよ。そこまでじゃありません

から、タクトも安心しなさい。別に今どうこうなる

話じゃないわよ〜」


 ノルンは大したことはないと言っているが心配だ。

案外本当に危ない時は黙っていそうだもんな。これは

詳しく聞かないと。


「バロンさん、ノルンに何があったんです?」

 俺は真剣な顔で話しかける。


「そうだろ〜そうだろ〜タクトくん!ノルンが心配だろ。

ノルン聞いているか?タクトくんはノルンをすごく

心配しているようだ」


「お父様!そう言うことはいちいち言わなくて

イイんです!」


 ノルンは顔を赤くしてそっぽ向く。

 

 うん!ノルンのそう言う反応は好きだけど、

今はそう言うのマジでいいから、真面目に教えて!


「ノルンは『天獄の魔眼』を使い過ぎて身体に炭化の

症状が現れたのだ」


「炭化?炭化って身体が焼けて炭にでもなるって

言うんですか?」


「イメージとしてはそんな感じで問題ない。ノルンは

頭髪の毛先が徐々に炭化して消えている。このままでは

ノルンがハゲてしまう!」


「バロンさんマジですか?ボケですか分からないです

けどボクも怒る時は怒りますから」


 頭の中でプチッと何かが弾ける。


「あ〜すまない。少し昔の話をしていて童心に

帰っていたせいか変なことを言ってしまった。

改めて説明させてくれ、この炭化症状はまだ髪に

僅かに現れた程度なので大丈夫なのだが」


「ちょっと待って下さい。なんで大丈夫だって

分かるんですか?」


「それについては私自身が見ているからさ。過去に

エルレイシア様が同じくなっていたんだよ。それも

十年以上前から、だからノルンがすぐに命を落とすと

言うことはないんだよ」


「そ…そうですか……」

 はぁ〜ちょっと安心出来たよ。


「だけど危険な状態ではあるんだ。エルレイシア様は

最後には身体が高熱を帯び燃え尽きて亡くなった。

このままではノルンもそうなってしまうかも知れない」


「バロンさんちょっと待って!話が見えないです!

だってさっきは『天獄の魔眼』スキルを使い過ぎた

からだって…」


「確かに私はそう言ったが、実は少し違うのだ。

『天獄の魔眼』はノルンが生まれた頃から発動してい

たと思われる。つまり使い過ぎたと言ったが目を開け

ている時間が一定の期間を超えると炭化現象を発症し

てしまう。これがエルレイシア様が考え導き出した

答えであり、そしてそれを抑える方法がスキルの熟練度を

上げること」


 そうか、それでスカーレットさんがノルンを

厳しく鍛えていたのか。熟練度を上げることで

スキルの力を制御出来るようになり炭化の進行を

止められると思って、でも現状は抑えるのが

手一杯ってことか。


「でもおかしな話です。そのエルレイシア様も

最後には燃え尽きたはずです。その方を頼っても

仕方がないのでは?」


「いや、私はそうは思わない。あの方はとても頭が良く

そして諦めの悪い人だった。何の考えもなく亡くなりは

しない。きっと良い考えを知っている」


 う〜ん、確かにそのエルレイシア様は生きる為に

色々と考えていたはず。試すことが出来なかったかも

知れないけど、打開策を持っているかも……てもそもそも

問題がある。


「バロンさん、その大変言いにくい話なんですけど、

エルレイシア様は呼べません」


 エルレイシア様は残念ながら無理だろう。

かなり前に亡くなった者はすでにあの世に行っている。もし居るとしたらこの世に強い未練があった時

だけ、それもどこに居るかは分からない。


「そうか……分かった。難しいとは思っていたから

すまなかったね。タクトくん無理を言ってしまって、

だけど君にはノルンのことを知ってほしかったから

話させて貰った。」


「えぇ、教えて頂きありがとう御座います。確かに

エルレイシア様は呼べなくとも、ノルンを助けないと

いけないことは間違いありませんから。大丈夫です。

絶対に助かる」


「タクトくんがそう言ってくれて安心したよ。

良かったなノルン」


「うん!でも私は大丈夫だから、もっとこのスキルを

扱えるようになれば……何の問題もないわ。極めてやるんだから!」


「あ〜その意気だ!ノルン、ボクも今なら色々と

伝手があるから調べておくよ」


 俺には知識豊富な皆さんがいるんだ!聖女様に

勇者、それに大魔導師、さらにさらに女神様………

誰かは知ってるでしょ!



「タクトくんそれは助かる。本当に話が出来て

よかったよ。それでは話を戻し王都の調査について

話をしようか」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ