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第263話 女神イリスの使徒


「あら、やっと来たはね。遅いわよ」

 こちらに気がついたイリスは無表情からムッとした

顔に変わる。


「遅くなってごめんって言っても、そもそも伝えら

れた時間が曖昧過ぎるんだよ。前にもこんなことが

あったから時計をあげただろ。時間を教えてくれよ」


「私は時間に縛られたくないの!」


「さようですか……」

 これは言うだけ無駄なやつだ。もうやめよ。



「タクト遅いわよ。待ちくたびれたわ」


「ごめん、それでなんでキョウカは機嫌悪そうに

しているんだよ。もしかしてボクのせい?」


「違うわよ!別にあんたは何も悪くないわ」

 そうは言うけど怒ってますよね!


「タクトくん大丈夫よ。すぐに仲直りできるわ」

 

 仲直り?今度は誰とケンカしたんだよ。


「なによ!ちょっと強く言ったくらいで諦めるんじゃないわよ!」


 キョウカは机をバンっと叩き苛立ちを露わにする。

 ん〜こう言う時、関わるとロクなことがない。

 

 苛立つキョウカを見て聖女様がこちらに

やって来た。



「あのね。キョウカさんは児童館を作る為に一緒懸命

やってくれたのだけど、どうも上手く行っていない

みたいでね。その〜周りの人達と揉めているのよ」


 えー……そう言う事。キョウカは大人っぽいけど、

確かに二十歳くらいだったもんな。上手くいかないと

子供ぽいところが出るんだろう。


 俺は一応社会に出て、それなりに理不尽の中で

揉まれた大人、ここは人生の先輩として助けてやら

ねば!


「キョウカ、取り敢えずその話は後で聞くから、

今は苛立つを抑えてくれ」


「分かってるはよ!良いから話を進めましょう」


………決して面倒だから後回しにした訳ではない。

  優先順位を考えて仕方なく後回しにする。



 全員がソファに座り、俺が飲み物と茶菓子を

テーブルに置いて、話をする場を整えるとイリスが

口を開いた。


「こうして集まるのは初めてかしら、私の使徒達」


「そうですね。私も聖女を拝命してこんなこと

初めて!ワクワクしますね」


「メリダ、歳を考えなさい。はしゃぎ過ぎよ」


「も〜う!イリス様ったら年齢の話はダメって

言ってるじゃないですか!」


 前も思ったけど、この二人の距離感は近い。

仲が良いことは良いんだけど。


「御二方、そのくらいにして下さい。私達は重要な

話があるから呼ばれたのですよね」


 キョウカは浮ついた話だと一括、ある意味そうな

のだが、空気を和やかにする意味では良かった。

こう言った空気を読めないところが揉め事の原因の

様な気がするんだけど、真面目なんだよな〜キョウカは……



「ま〜ま〜キョウカ、せっかく使徒が全員集まった

貴重な時間な訳だし、コミュニケーションを取りながら

話も良いんじゃない」


「はぁ〜……分かったわよ!ちょっと苛ついていた

みたい、ごめんなさい」


 以外にもあっさりと謝るキョウカ、もうちょっと

色々と言われるかと思ったけど拍子抜けだ。


「ごめんなさい。キョウカさん、そうねイリス様の

お話を聞きましょう」


 聖女様はソファに座り直し姿勢を正す。


「イリス様宜しくお願い致します」


「そうね。無駄話はこのくらいであなた達に伝えたいことがあるのよ…ん?」


 うげぇ!?い…いつの間に!

 イリスの頭からひょっこり顔を出しているのは

チビドラゴン、あれー!いつの間にかポケットから

抜け出してる!



「イリスさん、わざとじゃないんですよ。まだ生まれた

ばかりでよく分かってないだよ」


 俺は恐る恐る言う。イリス怒ってないかな。


 イリスは手のひらを上げるとチビドラゴンが

降り立つ。

 イリスは人差し指でチビドラゴン撫でた。


 良かった〜怒ってない。

 俺はホッと胸を撫でおろす。




「こんなところで会うことになるとはね。

タクトあなた随分と変わったのを連れているじゃない」


「え!?そのチビ変わっているの?」


「チビ?タクトちゃんと名前をつけなさい。

この子が可哀想でしょ」


 確かに生まれて来て間もないとは言え、

そろそろつけてあげないと可哀想だよな。


「うっう〜ん、そうだな。どうしょっかな〜」


 俺がチビの名前を考えていると、イリスの手のひら

から今度はキョウカの頭の上に移動、あかん!また

話が逸れたうえになんてことを!?


 キョウカは頭の上にいるチビをガシッと手で

捕まえると、ジィーーーっと見てムギュっと

抱き締める。



「なにこの子、かわいい!……タクト!ちゃんと名前

つけなさいよ!それまで話の続きはなし!」


 えぇ〜!?その理由でストップ入ります〜!

 キョウカはヨシヨシとチビを撫でて愛でている。

 あ〜そう言うことね。チビと遊びたいと……


 それは良いとして確かにチビに早く名前は

つけてやりたい。聖女様もイリスも特に反対して

いないみたいだし、名前を考えよう。


 う〜ん……名前をつけたことはあまりない。

だからどうして良いかさっぱり分からない。

こういう時はあまり考えても良いことは思いつか

ないから、見た目だ!見た目で考えよう。

チビは綺麗なエメラルドグリーンの色をしている。


「良し!グリーンにしよう」


「なにそれ!バカなの?ちゃんと考えなさいよね!」


 キョウカに冷たい顔で罵倒された。

 どうもダメらしい。グリーン自体は悪くないと

思うんだけど、却下されては仕方ない。もう一度

考えよう。


 チビはまだ生まれて間もない。だからコイツの性格

とかは分からないけど………考えてみて思った。名前は

生まれる前に考えていることが多い、その時どうやって

名前を考えるか、それは生まれて来る子供にどうなって

欲しいか!想いを名前にのせる。なるほど、それなら

俺はチビにどうなって欲しい。



…………やっぱりカッコ良くでしょ〜

    ドラゴンは強くてカッコ良い!


「バハムート」


「却下」



 速攻でダメ出しですか……辛辣!


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