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第26話 パトリアさんからの衝撃な告白


「パトリアさん…なんだよそれ……」

 あまりの変化に俺は驚き、一歩二歩と下がりたじろぐ。


「ガキが邪魔をしよって」

 くぐもった老婆の声?パトリアさんとは明らかに違う!


「ぐぁっ」

 ゆっくりとパトリアさんが立ち上がると、突然俺の首に手を伸ばし掴むと、ギリギリと首を締める。


 その力は徐々に強まり、地面から足が離れ、俺は首を締められたまま持ち上げられていた。


 くそ〜、何だこれは!?パトリアさんにこんな力があったていうのか……


 パトリアさんは俺を思いっきり振り回し投げ、俺は木に激突し腰を強打する。


「ガハッ……痛って〜なんてことするんてすか」

 痛みに耐えなからパトリアさんを見ると魔物が周りに集まりこちらの動きを伺っていた。


「其奴…悪魔に憑かれておるのじゃ、気をつけろタクト」

 ローム先生から突然意味のよくわからないことを言われた。


「先生…悪魔ってなんのことですか?」

「そうか、タクトは知らんか、ま〜一般人では聞いたことすらないかも知れんな、其奴は自らの私利私欲のために悪魔と契約をして力を得たのじゃ」


 先生の話によると、悪魔とは闇の世界に存在する邪悪な者、人と契約することでしかこちらに存在出来ず。契約の内容は若さ、知識、富、名声、権力などの私利私欲的な行為と魂を交換すると言われている。


「パトリアさんが!……そんな事を!?」

 俺は信じることが出来ずに驚く。


「ケッケッケ、まったく邪魔をしてくれた代償にお前さんの魂も頂くよ!」

 

 パトリアさんの後ろに薄っすらと老婆の姿が見える。あれが取り憑いている状態なのか?


「さ〜お行き、あいつを八つ裂きにしな!」


 あのババア悪魔なんて事を言いやがる。

 

 悪魔に指示を出され魔物達が徐々に近づいて来る。ざっと見て十数匹に囲まれた。…一瞬の隙が命取りになる。


 最悪な事に、魔物が一斉に飛びかかって来た!

 

 回避不能!?……それなら!

 俺は魔力を込め、大地に手を当てる。


「地の精霊よ!力貸してくれ!『大いなる壁』」

 俺の周りの大地がせり上げ大地の壁を造り魔物の攻撃を防ぐ。


「だいたいの位置は把握してるんだよ!ハンマーだ!喰らえ!」

 

 ツールボックスからハンマーを取り出し、頭の中で魔物が居る空間の位置を指定、ハンマーを振った。


 魔物は空間圧縮により次々とぺしゃんこになっていった。


「ふ〜便利、攻撃を受けない場所から攻撃が出来る。超安全じゃん」

 俺はハンマーを見て改めてその力に感動した。


「さてと……仕切り直しだ!」

 俺は大地の壁を元に戻し、再び悪魔に取り憑かれたパトリアさんと対峙する。


 悪魔はこちらを見て警戒しているのか動こうとしない。


「お前さんは少々厄介な力を持っているようだね。殺して魂を頂こうと思ったが無理そうだ。諦めるとしよう」


 お!?意外、諦めて降参でもしてくれるのか?それはそれで助かる。


「フフッ、ワシはこのまま去るとしようかね〜」


「………はぁ?…こいつ逃げるつもりか!そうは

させるか〜」


「おーっと来るんじゃないよ!もしも追いかけて来ればパトリアの魂を喰ってワシは消える」


 こちらを手で制して、近づく事を拒み、パトリアさんを人質にして逃げるつもりか!?


 パトリアさんの表情が元に戻り、

「タクトくん助けて、ワタシ、まだ死にたくない!お願いお願いよ〜タクトくん!」

 

 胸に手をあて悲痛な顔で助けを求めるパトリアさん、でもこれって……


「嘘くさい……パトリアさん…じゃないよね!」


「……ケッケッケ…なんだい騙されないか、つまらない、お前さんの動揺した顔が見たかったんだが、ま〜良い、でもね〜さっき言った事は本当さ、もしもお前さんが追ってくるなら、この女の身体は惜しいが魂だけ喰って帰るとするよ」


「それはつまり、パトリアさんは死ぬってことか」

「そうさ、しかも死ぬよりももっと辛い、ワシの中で永遠に苦しみ続けるのさ。優しいお前さんはどうするのかね〜楽しみだよ。ケッケケ」


 くそ!どうすれば良い。もしもこいつを逃がせば恐らく第2第3の被害者が出る。でも捕まえようとすればパトリアさんが死んで永遠の苦しみを味わうことに……ダメだ!え、選べない。


「ケーケッケ、良いよその顔、やっと見せてくれた。悩み苦しむ姿こそ、ワシら悪魔の最上の喜び、さ〜どう……す…な!?…ま、さか、まだ小娘!?」

 

 様子がおかしい、悪魔が苦しんでいる?


「はぁー……タクトくん……聞こえる?」

 悪魔の動きが止まったと思ったら、またパトリアさんの声で俺を騙すつもりか?


「あー聞こえるよ!」

「……良かった。やっと表に出ることが出来た。ごめんねタクトくん、どれだけ謝っても許されることじゃないけど、まずはごめんなさい。私が弱かったばかりにあなたを巻き込んてしまった」

 

 その時、彼女は赤い目で角が生えていたけど、俺にはしっかりと元の優しいパトリアさんに見えた。


「私ね!恋人が居たの……」

 あ〜知っている。ダインさん…だよね。以前森でオーガに襲われ亡くなった。そうか、その時の悲しみに付け込まれて悪魔と契約を……


「私はダインの事が好きだったの、ずっと…ずっと好きでいられると思ってたの、でも、そうはならなかったわ」


 悲しい笑みを浮かべ、話を続ける。


「私とダインにはいつも一緒に居てくれた幼馴染の友達が居たの」

 うん……知ってるよ。アーシャさん、俺も何度かパトリアさんと一緒に遊んでもらった記憶がある。パトリアさんと違って気が強い人だったけど、本気で子供の俺と遊んでくれる良い人だった。


 そしてアーシャさんも残念なことに、オーガの事件のもう一人の被害者、辛かったと思う。恋人と親友を同時になくしたのだから……


「アーシャはいつも元気いっぱい、私とは違って周りを明るくする魅力がある自慢の親友だったの、でも、ある日をきっかけに…、大嫌いな女に変わったわ」


 え!?……どう言うこと?何があったの?


「アーシャは私の知らないところで、ダインと付き合っていたの、私がダインの彼女だと知っていたのにも関わらず」


 うそ…でしょ!?アーシャさんとダインさんが!そんな…信じられない。でもそれなら…もしかしてパトリアさんは……


「私は何がなんだか分からなくなった。愛していた彼氏のダイン、大好きだった親友のアーシャ、あなた達は私にとってなくてはならない存在なのに、私を裏切った。思い悩み苦しんだ結果、私は二人に強い憎しみを抱いたの、そこに現れたのが悪魔、私は自分の気持ちをそのまま受け入れ、悪魔と契約をしたの」


 パトリアさんは苦しそうに思い出し、それでも決して話を止めない。


「私は悪魔と契約した力で……オーガを操り……ダインとアーシャを()()()()


………衝撃の告白だった。


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