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第257話 王都であった出来事①


「まったく、下衆な者まで連れて来て、ここでなら

少しはやり過ぎてもいいかしら」


 イリスは片腕を上げてパチンっと鳴らすと

アルスの杖に付いている宝石にヒビが入り断末魔と

同時に砕ける。


「バタン」……アルスがうつ伏せで倒れた。

あれは痛そうだな。顔面を思いっきり打ったぞ。



「それは良いとしてイリス、これってどう言うこと?」


 俺は疑問をイリスに投げかけた。


「そいつ操られていたわよ。その杖に付いていた

宝石はデビルズジェムと言って下級悪魔の集合体よ。

持っている者の心を弱らせ取り憑く。気をつけないと

殺られるわよ」


「そうか!サンキューイリス助かったよ」


「そう、今日の気分は緑茶よ」

 

 俺が感謝を言うと、つまらなそうに答え、

飲む物を要求、ここ最近好んで飲む物が紅茶から

温かい緑茶に変わって来ている。


 ブライアンに続いてアルスもか、油断も隙もない。

これは連れて来た他の人達も確認しておいた方が

良さそうだな。


 イリスは椅子に座ると本を開き読み始める。

 俺は温かい緑茶とオマケに羊羹を置いていく。

 あとで反応が楽しみだな。


「さて、話をしても良いですかね?」

 さっきと違い、今度は皆さん俺をガン見している。

 ただ表情が固い。今のことで動揺していな。


「タクトくん、その前に質問しても良いか。

今のは一体なんなのかね?」


「あー聞かせてもらいたい!アルスをやったのは

その少女だな。そいつは何者だ!」


 ローラン様が疑問を投げかける。

 そして後ろでアルスの手当てしながらブライアンは

イリスを見て敵意を向ける。


 あーーもう……面倒くさい。……ムスッ。


「ローラン様、話聞こえてましたよね。アルス様は

操られていました。ブライアン様、そちらに居るのは

女神イリス様です。以上!」


 俺はテキトウに答える。


「そちらの方がイリス様!?」

「それは流石に………」


 やっぱそこだよな。信じられないのは。

 俺は聖女様を見ると聖女様は頷く。


「皆様、そちらに居られるのは、私達が信仰する

女神イリス様です。これ以上の失礼な行為は許され

ませんよ」


 ローラン様をはじめブライアンに国王様達の

顔色が一気に青ざめる。

 国王様は慌ててイリスの前に向かい、膝を着いて

頭を下げた。それを見た他の者も同じ様に頭を下げる。


「数々の非礼大変申し訳御座いません!

どうかお許し下さい」


「………………………」

 イリスはチラッと国王様を見て、すぐに本に視線を

戻す。この反応では許されたかどうか分からず国王様達

には堪えるだろうな。


 

 たぶんはイリスは大して気にしていない。

 も〜う俺も我慢の限界だ!話を進めるぞ!


「国王様のお話が聞きたいので!全員席について

下さい。これ以上は言いません………はやく!」


 俺が怒っているのが伝わった様で、国王様達は

イリスの件で後ろ髪をやや引かれているようだが

席についてくれた。


「ゴホン、皆さんご協力ありがとう。それでは話を、

まずは王都にある城の奪還ですね。ボルジア公爵が

裏切り反乱を起こしたと聞きましたが、詳しくは

聞いていません。この後の動きにも関わって来ると

思われます。国王様お話頂けますか?」



「うむ!そうであるな。王都であった出来事を……」


 国王様は思い出すように話をしてくれた。


「始まりは小規模な内乱の報告を受けた時であった」


 話によると王都の下町にあるスラム街の住民が

起こした事件だった。スラム街の住民が数人で国王軍の

衛兵を襲い撲殺した。これをキッカケに国王軍は

スラム街の監視が強まり、何十人も捕縛されることに

なったのだが、この頃から衛兵が襲われる事件が

王都内で多発し被害は広がっていった。


「さらに状況が悪くなる」


 衛兵達とスラム街の住民の小競り合いで他の住民に

まで被害が広がり死傷者が出た。この頃からだ。不安

が広がりスラム街の住民だけではなく。一般の住民からも

不満の声が聞こえる様になったのわ。


「私は報告を受けた時、この時点で何者かの意思を

感じた。そして常闇に調査命令を出した」


 常闇とは国王直属の部隊、その部隊は表向きには

存在せず、人知れず動いている

 

 常闇には大きく分けて3つの役割を担っている。


 一つ目に内政の不正を調査し暴くこと。

 二つ目に国外に対しての情報収集と分析。

 三つ目に国の内外関わらず国に仇なす者を

秘密裏に妨害もしくは抹殺。

 

「常闇からの報告で分かったのは犯行を指示している者の

名と潜伏場所、そこまで分かれば後は国王軍を

そこに向かわせ捕縛すれば済む話だと、そう思って

おったのだが、それでは終わらなかった」


 国王様は一度目を瞑り、思い出す様に言った。


「首謀者の名はバラク、元冒険者の男で、ある依頼で

大怪我を負い、それをキッカケにスラム街に落ちた。

それから数年でスラム街の住民を纏めるリーダーになった。

 バラクはある没落貴族の屋敷を根城にしており、

私は国王軍2個小隊、計八十名を向かわせたのだが、

その後の結果は予想だにしない出来事となった。


 屋敷に向かわせた国王軍の兵士達が王都の住民を

襲ったのだ。死傷者は数百人に及び甚大な被害となって

しまった。そして国王軍の別部隊に彼らは追い詰めら

れると自らの手で自害した。この事件により我々への

不信感がより強まり、さらなる大事件へと繋がったのだ。

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