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第250話 大した人間じゃないのよ!


「さっきはローランに邪魔されたが話せ!お前は何者だ?何故大魔導師キョウカや聖女様を連れている。偽ればただではおかんぞ!」


 あー面倒くさ〜。

 ローラン様が居なくなると、またブライアンと言う男が絡んできた。どうしても下民である俺が気に食わないらしい。それなら話しかけるな!ボケ!


「あ…えーっとキョウカや聖女様とは………?改めて何で一緒に居るのかと問われると、答えるのが結構難しいな〜。ちょっと待って下さい。頭の中で纏めるんで」


「何をバカなことを、そんなことを言って、我々を謀りつもりであろう。そうはいかんぞ!やはりお前達は怪しい」


 ブライアンは俺に剣を向ける。

 俺は話が通じなさそうな状況にため息を吐くと、ブライアンの剣に重ねる二つの刃が見えた。


「タクトにそれ以上言いがかりを言うのは止めて下さい!いくら大貴族の方でも容赦しないわよ」


「ブライアン様、私もノルンと同じ気持ちです。剣を引いて下さい」


 ブライアンの額に青筋が浮いた。


「そこの小娘は分かるが、ルナ嬢あなたまで私に盾突くのか?ローランの孫娘とは言え、私は苛立っている。容赦は出来んぞ」


 はぁ〜、何度目のため息だ?

 ルナが言えば少しは落ち着くかと思ったが、甘かったな。ルナにまで手を出すつもりか!ならコッチもそれなりの対応をさせて貰おうか。



 俺は一歩前に出てブライアンを見上げる。


「な〜あんたさ。何が気に食わないか知らないけど、もう好きにしてくれ、ボク達は帰ることにする。一応言っておくけどボク達は国王を含めたあんた達の救出に来たのさ。だけどあんた達が拒否するならそれはそれで構わない。ボク達の手を掴むかそれとも離すかはあんた達が判断することだ。それでは失礼致しまします」


 俺は配管を設置し町へと戻る。


「待って下さい」


 女性に声をかけられ足を止める。


「他に何か御用ですか?王妃様」


 声が聞こえた方向に振り向くと王妃がややうつむきながら下に手を組んで立っていた。

 見た感じまだ何かを考えているようだな。


「私はあなた達の手を掴もうと思います。どうか…お力をお貸し下さい」


「王妃!?この様な下賤な者に手を借りるのですか!私は断固反対で御座います」


 このブライアンって男、どんどん言い方が悪くなるな。………それにこの気配は!


「ブライアン止めなさい。私達に手はありません。国民の為にも無用なプライドを捨てなければなりません」


「違う!我々は貴族だ!他の者とはまるで違う!私は負けていない!私は貴族!誰より有能なのだ!キサマの様な下賤な者の力など必要ないのだぁ!」


 ブライアンは目を血走っており怒りを露わにする。また剣を振り上げるつもりだな。

 ルナとノルンの姿勢が低くなり間に入ろうとしていたが、俺はそれを手で制した。


 案の定剣を振り上げるブライアン、予測していたこともあり、俺は剣を上げた場所に空間障壁を張り剣の動きを止める。剣が下ろせず動揺したブライアンの腹を俺はぶん殴った。


「オア〜!……キ、キサマ!」

 腹部を押さえ数歩たたら踏み膝をつくブライアンに俺は追撃、アゴを蹴り上げ倒れたところを踏みつける。


 王妃様はその姿を見て声も出ない程驚いていた。王妃様には悪いことをしたな。後で謝ろう。


「おい!どうしたよ!貴族様、下賤な者に踏みつけられるのはどんな気持ちだ〜?教えてくれよ」


「おのれおのれおのれ、その汚い足を退けろ!」

「なんだよ!退かしたいなら自分でやれよ。やれるもんならな」

「アガ…アガ…アガーー」

 

 ブライアンは立ち上がろうとしているが、まるで動かない。

 

 エヘッ、実はビスで鎧を固定しちゃったから動けませーん。


 さてさてそろそろ来るかな。

 この人、さっきから言動がおかしい。確かに貴族だから下民に対して偉そうだったり、悪印象を持っているのはなんとなく分かる。だけど国王が死ぬかもしれない緊急事態でこの態度はおかしいと感じていた。そこに悪魔の気配が感じれば普通ではないと気がつく。

『視える人』のスキルのお陰でよく視えるよ。ブライアンの鎧の下、胸のあたりからジワジワと出て来た。


 俺はナイフを取り出し鎧の胸の部分を破壊する。そのには紫に光ペンダントがあった。間違いなくこれがブライアンに影響を与えている原因だな。


 ライトを取り出しスイッチを光に切り替えて光をしぼめる。ペンダントに向けて照度を上げた光を当てると悪魔の断末魔が聞こえた。これは予想していなかったのてムッチャビビったけど順調に悪魔を浄化、ブライアンの表情がみるみる穏やかに変わったのがよく分かった。


「ライトって本当に具合が分かんないんだよな〜」

 

 ブライアンから悪魔の気配がなくなったので、拘束を解き事情を説明するとブライアンはとてもフレンドリーに接してくれた。今も俺の頭をヨシヨシと撫でて愛でてくれる。


「王妃様すいません、ブライアン様は元からこんな人ですか?違いますよね」


「いえ、ブライアンは厳しい人ですが代わりに気に入った者を非常に優しくする傾向があります。ですので、どちらかと言うと今の方が普通の状態でしょうか」

 

 そうですか、ライトのせいではなくて良かった。

 俺はホッと胸を撫で下ろす。またジョーさんみたいにオカマ化してしまったらどうしようかと思ったよ。


「あの〜ブライアン様、もう充分ですから、離して頂けます」


「何言ってるんだよ!お前への感謝はこんなもんじゃぜんぜん足りてないさ。とは言っても今は何もやれる物がないからな。国に戻ったらたっぷりとお礼をさせて貰うからな!」

 

 ニカッと満面の笑みをするブライアンにさっきまでのギャップで違和感しかない。悪気はないだろうけど、どうしても少し引いてしまう。



「王妃様改めて話をします。私達を信じてついて来て頂けますか?皆様にも落ち着いた時間は提供出来るかと思いますよ」


「その話、私にも聞かせてもらえるか」

 威厳のある声が聞こえ振り向くと馬車から壮年の男が支えられ降りてきた。


「ハド!?目を覚ましたのね」

 王妃様はその男に駆け寄る。


「すまない心配をかけたなソニア、もう大丈夫だ」

 男は王妃を抱き留めた。と言うことはこの方がこの国の王ハドリアヌス様か、意外とガッシリとした身体つきで、王様にピッタリの立派な髭を生やしている。う〜んご立派な気がする。


 少しして王妃様から離れ国王様がこちらに顔を向けた。


「すまんな待たせた。少し聖女殿から話を聞いた。そなたもまたイリス様の使徒だと、それは真か?」


 それを聞いた周りの者達は非常に驚いていた。



「そうですが、それが何か?」

 俺はあっけらかんと答える。


「うむ!ならば我らは君に従うべきであろう。どうか力を貸してほしい」


 国王様が頭を下げるとその姿を見た周りの者は先程のようにまた驚き、即座に頭を伏せるのだった。


 俺の気持ちを正直に言おう。

 この後どうしたら良いの〜?

 俺は使徒に選ばれたけど大した人間じゃないのよ!

 誰か〜この後なんとかして〜


 俺は緊張のあまり一言「分かった」と短く答えるのが精一杯で棒立ちしてしまった。


ご愛読して頂いた方、本当にありがとうございます。

ここ最近PVが伸びていることから読んで頂いている方が

増えていると分かり嬉しく思います。

 この話のあたりから新展開に進行して行く予定です

ので今後とも宜しくお願い致します。



「面白かったらブックマーク、下の評価★★★★★を

付けて頂けると今後の励みになりますので

よろしくお願いします!(◡ω◡)」

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