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第242話 ラキを救う②


 ここで改めて確認しておこう。ラキは魔王プルソンの策略によって大切な人達を傷つけられ絶望のどん底へと叩き落された。そして絶望したラキは生きる屍となりプルソンが取り憑いた。

 プルソンを倒すことは出来たけど、ラキは戻っては来ない。それは未だに教会のみんなや師匠のバネスさんを救えなかったことを後悔し続けているからに違いない。だから教会のみんなの声で起こしてやらないといけないと思っている。


 俺達はラキが寝かされているマンションの一室に集まった。ラキは死んでいるように今も寝続けており起きる様子はないそうだ。部屋に入るなり教会の子供達はラキの傍に行きラキを呼び続けている。それでも一向に起きる様子はなかった。


 やはりダメか、彼女にはみんなの声が届いていない。一応想定はしていた。これからやろうとしていることが上手くいくかは分からないけどやってみるしかない。


 

 陰陽道スキルの一つ『視える人(深層)』

 今までは目の前に居る霊しか視ることが出来ないスキルだったが、深層と能力が向上したことで、肉体に入っている魂を視ることが出来るようになった。このスキルを使い、魂に直接話しかける。


 俺は集中し目を瞑る。さらに魔力を自らの魂に巡らせて魂を強化、霊に近い状態になって話かけた。


(ラキさん……ボクの声が聞こえますか……聞こえるなら返事をしてほしい)


 俺はラキに話しかけるが反応はない。

 でもそんなことで諦めず話しかけ続けた。


(ラキさん、あなたが辛い思いをしたのは分かっていますだけど希望を捨てないでほしい)


(ラキさん、教会のみんながあなたを待っている)


(ラキさん、魔王プルソンは倒したんだ!だから安心して起きるんだ!)


………………▽


 くっそ〜、全然反応がないぞ!

 色々言ってるけど一言も声が返って来ない。一体何がいけないんだ?俺の声は聞こえているはずなんだけどな〜


(ん〜………あーもうどうすりゃ良いんだよ!救いの手は差し伸べてるんだ!さっさと起きろ!いつまでもウジウジすんな!面倒くせえな〜!)


 この時あまりにも上手くいかず俺はイラついた。後で思うと随分と失礼なことを言った。


(………そう…私は面倒な女……そして罪人……生きてはいけないのよ………)


 え!?………しゃ…喋った!?しかも長文で!


 ボソボソと小さな声ではあったけど、間違いなくラキから声が発せられた。初めて反応があったぞ!つまり俺の声は聞こえる。


(ラキさん聞こえいるんですね!大丈夫です。起きて下さい。あなたがみんなを待っている)


(……………………)

 あれ?全然反応がないぞ!聞こえているはずだよな〜。さっき反応があったんだもん。間違いない。だけど今度は反応しなかった。何かが違う。彼女が反応した言葉は俺が半分八つ当たりみたいな文句?罵倒?………もしかして責めて欲しいのか?マジ!?………でも今のところそれにか反応ないな〜、

喋らないと話にならん!取り敢えず何でも試す!それが前進するためのコツなのだ!


(ラキさん聞こえているだろ。あんたバカか!教会のみんなやバネスさんが傷ついたのが全部あんたのせいだと思ってる。思い上がりも甚だしい)


 俺は出来るだけ荒々しく声で言った。


(そうよ……私が悪い……全部私のせいよ)


 あはっ……やったぜ!声が聞こえた。


(そうかい、全部あんたのせい!だからいつまで経っても起きようとしないわけか、面倒なヤツ)


(そう……私なんて消えてなくなれば良いのよ)


(はぁ?ふざけてんのか!消える〜?なんだお前逃げるつもりか〜、随分と卑怯な事すんな〜そう言うことは面と向かって言えよ!本当ズルいな)


(そうか……私ってズルい女……みんな私のことを恨んでいるはずなのに、一人で逃げてた。最低……)


(本当!最低だな!逃げんなよ!ちゃんと面と向かって謝れよ!ちょうど呼んであっからよ〜。さっさと起きて謝れー!絶対に逃げんな!)


 はぁー……気が滅入る。人生でここまで酷いことを言い続けたのは初めてだ。悪口は言っている自分も傷つくからこれっきりにしたい。


(そうだね。私がこんなところに逃げ込んでいたら、みんなが怒る相手すらいない。そんなのダメだよね。ごめんね!みんな、今すぐに戻るよ。いっぱい謝ったら許してくれるかな〜)


………………▽


◆ラキの視点


 私は意識の海のずっとずっと深いそこに逃げていた。みんなの声が聞こえない様に、でもそれはダメだった!みんなをこれ以上怒らせるなんて酷いことはしちゃいけないの〜


 私の意識は徐々に上がって行く。

 身体が重い………全然動かない。

 ダメよ!私、逃げようとしたらダメ!

 しっかりとまぶたを開けて起きるのよ!


 長い眠りについていたからまぶたも中々開かないけど、徐々に明かりが見えた……すごく眩しい…………


「「「「「ラキお姉ちゃん!お帰り」」」」」


 え!?………

 目を開けるとみんなが満面の笑みを浮かべ、私を呼んでくれた。

 ワタシ……恨まれているんじゃないの?

    ……怒ってくれるんじゃないの?


「アタタタ……慣れないことすると疲れるわ!」

 一人の少年がボヤきながら私の前に来ると言った。


「この寝坊助さんめ!みんなあなたのことが大好きで起きるのを待ってたんだぞ!しっかりと抱き締められてやれ!」


 ワーッとみんなは喜びの涙を流しながら私に飛びつくように抱き着いた。


……あったかい。温かいよ!

みんながワタシに居てほしいった言ってくれる。

はぁ〜……ワタシは本当にここに居ていいのかな〜。

 

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