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第24話 第2の事件を食い止めろ!


 俺達は今回起こった襲撃事件の犯人の家の前に居た。


「タクト顔が怖いぞ!気持ちは分かるが」

 先生は俺の顔の前で飛びながら心配そうな顔をしている。


「すまない先生、まだ理解が出来なくて、でも大丈夫だよ!それでもやる事は変わらない。もう被害者を出させるつもりはないから、そこは安心して」


「バカモン!」

「痛った〜、何するんだよ先生?」

「他の者など心配しておらんのじゃ、我はタクトを心配しておる。無理ならあとは衛兵にでも任せておけ、証拠はすでに見つけているのじゃ」


 そう、あれからツールボックスのメガネを使い犯人を追いかけ、パトリ夫妻を襲った際におかしたミス、血痕を踏む瞬間を見ている。あの少量ではきっと気がついていない可能性は高い。それを衛兵に伝えれば楽なんだけどな。


「いや、出来れば俺が止めたい。それになんでこんな事をしたのか知りたいんだ」


 ()()に一体何があったのかを………


「ニキ悪いんだけど、しばらく見張っていてくれるか、ボクもあとで行くから!」


「おう、分かったのだ!ゆっくりで良いから、飯を用意してくれ〜お腹が空いたのだ!」


 ぐぅ〜っとお腹の音を鳴らすニキ


「あいよ〜美味しいサンドウィッチでも準備してくる」


「お!何だそれは……美味そうなのだ!」

 ダラダラとよだれを垂らすニキに苦笑いをして、俺はニキを残し一度家に戻り準備を整える。


……………▽


 俺は夕食を食べ、父さんと母さんの許可を取り外泊する。

 しかしこれが大変だった。父さんはともかく母さんは危ないから外泊をなかなか許してくれなかった。確かに町の中であんな事があれば子供を外に行かせたくないのは当然だな。むしろ父さんは俺の事心配しないのか?と思う。だけど父さんは俺の事を信頼してくれているんだ。そう思えばむしろ嬉しいものだ。

 結局母さんにはノルンの家で遊ぶ約束をしたからと嘘をつき外に出ることに成功、何と言ってもノルンの家ほど安全な場所はこの町にはないから、安心出来るだろうと思った。


「それじゃ〜覚悟を決めて行きますか!」

 俺はニキが待つ場所に向かう。


…………▽


 ニキは言われた通りおすわりをして犯人の家を

監視していた。


「ニキお疲れ、どうだ様子は?」

「彼女は出ていった。もしかしたら今日もなにかするかも知れないのだ」

「なんだって!ニキ彼女はどこに行った!」

 慌てる俺にニキは冷静に匂いで追えるから問題ないと教えてくれた。


「先生、ニキ急ごう!犠牲者が出る前に!」

 俺はニキに案内をお願いして走り出したニキを追いかける。


「大丈夫だ!慌てるでないぞ」

「先生分かってますよ!」

 そう、今は大丈夫、でもこの後はどうなるかは俺にも分からない。


 しばらく走り着いたのは町の端にある比較的人が少ない場所、ここなら大声を出しても人は集まらない。襲撃するならリスクは少ない。



「居た!?………なんでこんなところに居るんだよノルン」

 

 そこには居るはずのないノルンが歩いていた。



 俺が驚き立ち尽くしていると、スリスリと足元にくっついて来るニキ。見た瞬間ぐぅ〜とお腹の音がした。


「あ〜待たせたもんな!ほれサンドウィッチ」

 俺は袋から弁当箱を出しニキに与える。


「う〜ん、待っておった!いただきま〜すのだ〜パクっ……美味い!?なんとシャキシャキした野菜と肉を挟み、さらにこの甘辛いソースがマッチして無限に食えるのだ〜」

 バクバク食べるニキ、まったく……一気に緊張感がなくなるよ!ハハ……


「さてと、お〜いノルンこんなところで何してるの?」

 俺は周りを確認してからノルンに声をかけた。


「あ!タクトあんたこそ何してるのよ!……もしかして

タクトも例の事件を追ってここに着たの!」

 はぁ〜やっぱりそんな事だと思った。まったくノルンは好奇心が旺盛過ぎるんだよ。


「ま〜そんなとこ、それより良く外に出られたよな〜スカーレット様が許してくれるとは思えないんだけど?」


「当然よ!逃げてきたわ。流石にお母様も忙しいから四六時中私を見るのは不可能だもの、隙をついて脱出よ!」

 嬉しそうな言ってるけどノルン、後で地獄を見るのは知ってるよね。本当にこりないんだから……


「それでタクトもこの辺が怪しいと思ったわけ?」

「そうだよ!だから危ないかもしれない。だからノルンは逃げたほうが良いって言っても聞かないんだよね」

「さすがはタクト分かってるじゃない!」

 ふふ〜んと偉そうに腕を組むノルン、別に褒めてないからね。


「それでやっぱり勘なの?ここに来たの」

「え〜私の危険感知スキルがビシビシ言っているのきっとここで何かあるわ」

 ノルンにそんなスキルがあるのかは知らないが、ノルンはこう言ったことに非常に鋭い、おかげでいつも一緒に居る俺は危険な目に会う。それに危険感知スキルがあるなら使い方間違ってるから、寄っていってどうするの逃げないとダメでしょうが!


「モグモグモグ、奴が動いたのだ!そろそろ行った方が良いぞ」

 

「えー犬が喋った!?」

 ノルンはキャッキャッ、キャッキャッと興味津々、目をキラキラと輝かせてニキを抱き上げている。

 

 はぁ〜油断したなニキのヤツ、でも今はそんな事より急がないと、俺は走り目の前にある家に向かう。


 確かこの家には前と同じく老夫婦が住んでいたはずだけど、いったい何が目的で彼女はこんなことを……


 俺が扉を開き中に入るとゴブリンに八匹に囲まれている。老夫婦とそれにもう一人子供がいた。


「お前らその人達に手を出すな!」

 俺が大声で叫ぶとゴブリン達は俺に向かって飛び上がる。


「危ないタクト、避けなさい!」

「グヘェ〜」

 俺はノルンの踏み台になり床に顔面をぶつける。

 ひどいよノルンと言いたくなったがノルンの華麗な剣さばき目を奪われた。次々と襲いかかるゴブリンを華麗に躱し斬っていく。腕を上げたのは知っていたけどこれほどとは思わなかった。


「ん?……ちょっと待てよ!?まさかノルンそれって」

 俺はあることに気がついてしまった。今手にしている剣はいつものと違う。何度か見たことがあるがそれはバロン様の愛剣、なんちゅうもんを持ち出しているんだ。後で間違いなく怒られる。

 驚きつつも剣のおかげもありゴブリン達はすべて倒された。


「あ〜ありがとうございます。ノルン様なんてお礼を言ってよいやら」

「気にしないで、領主の娘と当然の義務を果したまでよ!」

 胸を張って答えるノルン。

 相変わらず男前だよノルンは、でも甘いんだよな〜


「ノルン後ろだ!後ろに飛べ」

 死にかけのゴブリンは吹矢を飛ばそうとしていた。ノルンは俺の声に反応し後ろに飛び、矢を躱しゴブリンにトドメを刺した。

 

「あ〜危ない!」

「危ないですまないぞ!今のはたぶん毒がついてる油断するなよ!」

「わ、分かってるわよ!いちいち言わないでくれる。

フンだ!」

 プライドが高過ぎるのも困りものだ。

 俺は軽くため息をつき、部屋の隅に隠れている犯人の方向に視線を向ける。


「どうしたのタクト、まだなんかいるわけ?」

 俺の視線に気がついたノルンは剣をそちらに向けた。


「気を抜いちゃダメだから、ノルンはみんなを……」


 俺が言いかけている途中にノルンは犯人に向かい、「出て来なさい!隠れていても無駄なんだから、出て来ないならこっちから行くんだからね!」


 あ〜もう勝手に進めないでよノルン!と文句を言いたいところだが、犯人は意外にも素直に姿を現した。

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