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第239話 あの世へLet's go③


 なんでここにヘル姉が!?

 ………って!俺の姉ちゃんではなかったわ!驚き過ぎて動揺した。


 でも冗談抜きでなんでここに居るんだよ!

 まさか冥界に近づいたから気が付かれたのか?


 俺の頭は混乱状態ではあったが自然と姿勢を低くし、いつでも動ける状態にしていたのだが。


「よぉ!ニキ元気してたかよ!」


「も…もちろんなのだ!ヘル姉、ヘル姉も元気そうで良かったのだ!」


 俺の足元からひょっこりと顔を出しニキは挨拶する。

 怖いのは分かるが、俺を盾にしても一緒にふっ飛ぶだけだぞ!



「オイ!テメェ!なんつったか?名前忘れたわ!名前教えな!」

 ニキと話をしていたかと思ったら、突然シフトし俺をギロッとした目つきで見る。

 俺は一瞬ビクッと肩をすくめた。


「どうもお久しぶりです。……タクトと申します」


「あ〜そうだった!そうだった!タクトな!」

 ヘルさんは軽口でゆっくりとこっちに歩いてくる。


 俺の目の前に来るとぐっと顔を近づけて言った。

 

「オイ!テメェ!ちょっと面かせや!」


「え!?」……今なんと?

 おかしいぞ!俺に何の用だ!あなたとはほぼ初対面レベルの付き合いしかしておりませんが?


「ほら来いよ!」


 ヘルさんは俺の胸ぐらを掴むと、軽々と片手で持ち上げ背負う。


「え!?ちょ!ヘルさん何をするんですかー!」

 俺は身体をジタバタ揺らして離れようとする。

 

「おら!黙ってついてこいや!」


「うごぉ!?…………」

 ヘルさんの肘鉄が俺の腹に刺さる。

 悶絶級の痛み!…………も〜う何この人〜。


 俺の視線にニキが入る。

 すると、どこからともなくハンカチを取り出し、それを持って手を降り出した!


 おい!コラ〜!友達を見捨てるつもりか〜

 俺の心の叫びも虚しく。

 ニキの姿がものすごい勢いで離れていく。

 ヘルさんは一体俺をどこに連れて行くつもりなんだ?


 真っ暗の中をひたすら高速で走るのはメッチャ怖い!さらに周りからは死霊の嘆きまで聞こえる。普通の精神ではいられそうにない。




 ドクン……心臓が大きく鼓動した。

 

「これってまさか!?」

 真っ暗の中、それだけはしっかりと認識することが出来た。圧倒的なプレッシャーを感じる。

 これって!……100階層で見た門と一緒だ!


「ヘルさん!ちょっと待ってください!あの門って!」


「あ〜?……あれは冥界(あの世)の入口だ!」


 アーーーー………やっぱりそうかーーー

 ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバいよ〜!

 このまま行ったら、俺って死んじゃう!?


「あ〜〜助けてーー!」

 俺の叫びも虚しく。ヘルさんは巨大な門を蹴って開き、そのままの勢いで冥界(あの世)に突っ込んで行った。


 俺はどうやら冥界(あの世)に来てしまったようだ。冥界(あの世)はさっきと違い景色は暗くなく。案外普通に明るい。今いるところは森の中なんだが木の色がド派手だ!赤だの、黄色だの、橙色だの。怖くなくって良いけど目がチカチカする。



「ヘル様どうされたのですか?ゴミクズでしたら私共が処理しますが?」


 えーー……もう今日は驚き疲れた。

 巨大いな体躯の魔物、いや完全に鬼だな!

 

 鬼と言えば赤色とか青色の肌をしているイメージなのだが、これまた少々変わった色……黄色や紫色をしている。だけど角が生えた人形の生き物なのだから鬼で間違いない。


 やっぱりあの世と言えば鬼ってか?


「あぁ〜悪いな!コイツはまだ使えるゴミクズだから後にしてくれ」


「分かりました」


 鬼達は何もせずに行ってしまった。

 良かった。使えるゴミクズで………



 ヘルさんは鬼と話を終えるとまた走り出しグングン加速、目にも止まらぬ速さで走って行った。少しすると周りのカラフルな景色、鬼と違って、モノクロでモダンな屋敷が見えそこで止まる。


「おら!着いたぞ!ここまで運んでやったんだから少しは自分で歩け」


「あて!?」

 

 屋敷の前に投げられた。

 この人乱暴過ぎる。あと自分勝手……


「ここはどこ?」

 ボソッと声が漏れる。


「ここはヘカテー様の屋敷だよ!」


「え!?………なんですって!なんでボクをこんなところに………」


「知らん!お前に用があるから連れてこいと言われただけだ!お前はさっさと行け!」


「あの〜……ここからは一人ですか?」

 冥界の女神、つまりあの世の支配者に会いに行く。一人だと怖い。ま〜ヘルさんも怖いけど。


「はぁ〜!屋敷は目の前だぞ!うっせぇーこと言ってねぇ~でさっさと行けー」


「うげぇ!」蹴り飛ばされ屋敷の中に落ちる。痛い……酷いなんてもんじゃないぞ!あの人を恐れるニキの気持ちがよく分かる。


 俺は蹴られたケツをさすりながら立ち上がり見上げる。

 デカい……圧倒的な迫力の屋敷、でもただ大きいから圧倒されているわけではない。この屋敷から禍々しい妖気を感じる………行きたくないよ〜!


 はぁ〜でも行かないわけには行かない。

 俺に何の用があるんだ?

 

 足取り重たく屋敷に向かって歩き出す。

 扉が自然と開き拒む気配はまったくないのだがやっぱり怖いから帰ろう!


 俺はクイックターン〜逃げろーーー。


 すると屋敷から真っ黒な手が何本も飛び出し、俺は掴まれ屋敷へと引っ張り込まれる。


「あ〜〜誰か助けてーー」

 俺は闇の中へ消えて行った。


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