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第236話 教会の子供達


「かー目が痛え!半日ぶっ通しは疲れるわ」

 俺は真っ赤になった目をこする。

 

「コラ!アカンよ!そんなに目をこっすたら、傷がはいってまう!ほれ!温かいタオル用意したから、これで休ませー!」


「おーサンキューカンナ」

 タオルを顔にあてる。

 ふー……気持ちわ!このタオル……


「それでどやった!」

「まー気分は最悪だな!でも色々分かったよ」

「そっか、色々視たんやな!……えぇ身体しとったん?」

「そりゃ〜もうモデル体型のシュッとした……てぇ!なんでやねん!………これで満足か?」

「イマイチやな!その取り敢えずボケツッコミしといたみたい態度が気に入らんわ!−30点や!」

 

 本当にプライバシーの侵害スキル何だよ!このメガネ、彼女の過去を覗くということは風呂の時もトイレの時も視えてしまう。ま〜その辺は早送りしたけどさ。


「とにかくやらなければいけないことは分かった。次は外に居るルナに聞いて教会の子達が今どこに入院しているか確認だな」


……………▽


「近場で良かったわ!」

 プルソンの企みに巻き込まれ大怪我を負った子供達は先日聖都に運ばれ治療を受けていた。しかし部位欠損程の大怪我を治せる者はそう居らずまだ本格的な治療は行えていなかった。


「この部屋に移送されたと聞いているわ」

 ルナに案内してもらいマンションの入った。

 

 ここにか?……病人のことを考えるとマンションの一室と言うのがあまり良くない。病院も建てないといけないかもな。またお金がかかる。

 

 などと今後のことを考えながら病室として使われている部屋に入る。


「ん?……あ!ルナお姉ちゃんだ!」

「本当だルナお姉ちゃんだぁ〜!」

 

 子供達は「わー」と騒がしい。

 あれれ?俺はてっきりもっと暗い歓迎を受けるかと思っていただけに、驚き呆然としてしまった。子供達は片手片足を失って動くことが出来ないけど元気があり希望を失っていなかった。


「なぁー!ルナお姉ちゃん、ラキお姉ちゃんに会わせてくれよ。俺達ラキお姉ちゃんが心配なんだよ!頼む!」


 一人の少年が這ってルナの下へ行き頭を下げる。他の子達もそれに合わせて次々と同じことを言い出しルナは困り顔、そうかこの子達…………嬉しい誤算だな。


「みんなこんにちは!みんなに話したいことがあるんだけど、ちょっと良いかな?」


 俺は明るく元気に子供達に声をかける。


「………………」

 子供達は一度こちらを振り向き、あまり興味を持って貰えなかったようで、すぐにルナに向き直してしまう。


「えー、ボクへの興味ゼロですか」

 子供に好かれない。こう言うの地味に傷つくんだよな。


「あの〜お話って何でしょうか?」  

 一人の少女が右手と左足を動かしながらこちらに声をかけてくれた。


「あー良いよ!ごめんねボクがそっちに行く」

 俺は慌ててその少女の傍に腰を下ろし、少女を支え座られる。


「すいません。ありがとう御座います」

「いやいやいや、むしろごめんね。気が利かなくって」

 少女はニコリと笑顔を見せてくれた。

 見たところこの中では年上のお姉さんと言ったところかな。


「私はネビって言います。私達に話とは何でしょうか?そのこの通り私達が出来ることは多くありません。そのお金のお話であればどんな事でもしてお返しします。ですからここから追い出さないで下さい」

 ネビと言う少女は突然悲痛な顔に変わる。

 その声を聞いた他の子供達は今度はガッツリ俺を睨見つけ敵意を向ける。


 え!違うよ!俺はそんなつもりじゃ……


「もしもそれでダメでしたら……私の身体を好きにして頂いて構いません。手足が片方ずつしかなく気持ち悪く感じるかもしれませんが、経験はありません!可愛がって下さい」


 俺が何も喋らず呆然としていたことで、ネビは断られたと勘違い。とんでもない事を口走る。


「ふざけんな!ネビを渡すな!」

「わーネビお姉ちゃんをイジメるなー!」


 えーー!?うっそ〜

 子供達が這ってこっちにやって来る!


「ちょっと君達勘違いだから〜」

 俺の声は届かず子供達の波に飲み込まれた。


 俺は手足を掴まれ動けない。

 ネビはまだ勘違いの真っ最中、「私のことは良いの、みんなは幸せになって……」と言っている。感性豊かな少女だと推測される。


 どう説得しようかと悩んでいるとルナが来た。


「タクト……私も経験はないぞ!いつでも良いんだぞ!」


 ルナがモジモジして可愛い!てぇ!ワザとかよ!俺は一言もそんなこと言ってねぇ~


 

「はぁ〜たくも〜、お前達ラキお姉ちゃん助けたいよな!」


 子供達の目つきが変わり表情が優しくなる。


「今ラキさんは辛い思いで苦しんでいる。ボクはそれをどうにかしたいと思ってる。でもボクの力だけでは助けられない………協力してくれるよな?」


「本当か頼むラキ助けてくれ!」

「ラキお姉ちゃんどうしたの?」


 子供達がみんなラキのことが好きなのが分かる。みんな俺に掴みかかる勢いでラキお姉ちゃんを助けてと口々に言っている。これは間違いなく協力が得られるだろう。だけど圧が強い、せっかく起き上がったのに〜…………また押し倒されました。


 あとは子供達の治療だな。ラキに今の姿のまま会わせたら、目覚めるもんも目覚めなくなる。残念ながら俺のスキル絆創膏ばんそうこうでは怪我をしてから時が経ち過ぎている。ここは聖女様と大魔導師様にでもお願いしよう。


 そして次が最難関……あの世にでも行くか……


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