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第223話 聖女様と教皇様……ソウルフロンティアに行く!


◆時はすこ〜し遡り


「なんだこれは?」

 目の前には大きな穴があり、それを覗き込み確認している教皇様おっさん。

 俺が出した配管なのだが、飛び込んでほしいと言ったら躊躇された。気持ちとしては分からんでもないけど、入らないと行けないんだよな〜


「それではお先に失礼します」

 突然聖女様が躊躇なく配管の穴に飛び込み落ちて行った。


「はぁ!?…母ちゃーーん」

「えぇ!?…聖女さまーー」


 教皇のおっさんとティアは聖女様が落ちていくのを見て、今度は慌てて配管の穴に飛び込んだ。


 説得する手間が省けた。

 俺とカンナも続いて配管の穴に飛び込む。


 配管を抜け我が町ソウルフロンティアに到着!

 出た先では聖女様が二人に詰め寄られ怒られていた。


「母ちゃんはいつも無茶し過ぎなんだよ!もしも下が深かったら死んでるんだぞ!」


「聖女様はもっと自分の命を大切にして下さい!今まであなたの勝手な行動で何度私の心臓が止まりそうになったか!分かります!」


「ごめんなさい。心配かけたわね。でも大丈夫よ。タクトくんが言ったのだから信用できるわ」

 聖女様が全く反省していないことに、二人はガックリと肩を落とした。


 さてと、この空間について説明しないといけないけど、その前にやっぱここでしょ。 

 

 すぐそこにこの町の教会が見えた。

 まずは最初にイリス様に挨拶しないと。


「おーい!タクトくんもう帰ってきたのかい」

 

 教会に向かって歩いていると、神父様が「ホッホッホッ」とジョキングしながらこちらに向かって来た。


「神父様ただいま!もしかして修練の最中ですか?」


「えぇ、そうです。アポロンが居なくなって組手をする時間が減りましたので、体力強化に力を入れています。タクトくんが戻ったと言うことは、もしかしてアポロンも?」


「いえ……アポロンはまだ聖都マーリンにいます。今頃は食事の支度でもしているかと」


「ほぉー食事ですか、確かにそろそろ腹が空いてまいりました。早く教会に戻らねば、お〜!そうだ!タクトくん時間があれば食事をしながら話を聞かせてほしい。お連れの人も連れて来て構わないから」

 

 神父様は俺が連れて来た二人を見て固まる。

 あ!?……しまった。神父様には刺激が強かったか!


「ドッセイ!」

 教皇のおっさんが何を血迷ったか、突然神父様に正拳突きを放つ。


「ヌウオーー」

 殴られた神父様は、あまりの衝撃に地面で踏ん張ったが数メートル程吹き飛ばされた。


「グッハッハ……腕は鈍っておらんかセルギウス。早く戻ってこい。お前が居ないと組手をする相手が足りんのだ!」

 

「それは前にお断りしましたよ。ファーガス教皇」


 教皇のおっさんは嬉しそうにしているのに対して神父様はげんなりしている。この二人知り合いだったのかな?


「なんだよ!つれないことを言うな。俺がどれだけお前を好いているか、この拳で語らねば分からないのか?」


「勘弁して下さい。あなたを相手にしていると時間がいくらあっても足りません、それに私は教皇様と違って戦うことが好きではないのです。これについても以前お話させて頂いています。ではこの話はこれで終わりとして、それよりも、まさか聖女様がいらっしゃるとは驚きましたが、どうさられたのでしょうか?」


 教皇のおっさんと違い聖女様相手ではいつもの冷静な神父様の対応、変なことにならなくって良かった。


「お久しぶりです。セルギウス司祭、またお会い出来て嬉しく思います」


「そんな聖女様、滅相もありません。私のような者のことをその様に言って頂き感無量で御座います」

 神父様は深々と頭を下げ感激している。


「皆も早くセルギウス司祭に会いたいと言っておりました。あなたが居なくなってからというもの「教皇の相手はあんたが担当だろ〜」とか「セルギウス司祭助けてー」とか随分と騒がしかったことを覚えています。セルギウス司祭は皆から頼りにされていたことがよく分かりました。それで相談なのですが!そろそろ戻りませんか?」


 結局聖女様相手でも神父様はげんなりする羽目に、それに聖女様………あんた結構酷いぜ!


「はぁー取り敢えず私のことは置いておきましょう。それでこの場所に聖女様と教皇様がどの様なご要件で来られたのですかな?」

 

「あぁ、えっとですね神父さま、イリスと話がしたいんだけど、教会にいます?」


 教皇はイリスと聞いてピクッと反応するも、まさか女神イリスとは思わず、黙って話を聞く。その姿を横目で見る聖女様はニヤニヤしていた。あんた結構いい性格してるぜ!


「ん〜……たぶん今頃でしたら本を読みながらニキとロームさんと一緒に釣りをしていると思いますよ」


 釣り?……おい!そんな場所俺は知らぞ!


 疑問はあったが、目的のイリスがそこに居るのならそこに行く必要がある。神父様にお願いして案内してもらうことになった。


………▽

「お!タクトなのだ!ご飯くれなのだ!」

 ニキがスリスリと足元に寄って来た。

 ニキは相変わらずカワイイなー!

 でもオレじゃなくってご飯なのね。


「なんじゃ、随分と遅かったのう〜タクト、お前のこのじゃ!またトラブルにでも巻き込まれたのであろう」

 

 うん!先生、合ってますけど!

 俺っていつの間にそんなキャラ設定?



「おかえりなさいタクト、私の言った通り上手くことを運んだようね」

 

 イリスは本を片手に、釣竿を片手に、そして俺を見ていない。俺に興味なしですかい!


「ただいまイリス、ちょっと話したいことがあるんだけど良いかな」


 俺がイリスに話しかけていると、目の前を大きな物が通って行った。


「おっおっおっおっおぉ!?」

 教皇はイリスの前に向かい、即座に跪く。


「あ!あなた様は女神イリス様でしょうか!」


「あら、ファーガスあなたも来たの?そう言えばあなたとは話をしたことはなかったわね。私が女神イリスと分からない?」


 イリスは本を閉じ教皇のおっさんを見下ろした。


「滅相も御座いません。あなた様を見た瞬間、魂が揺さぶられました。こんなことは初めてなのです。まさか生きている間にお会い出来るとは……」


 打ち震えるおっさんは少し頬を赤く染めちょっとキモかった。


「そう、それは良かったわね。それでタクト、私に何か用かしら?」


「え!?イリス聞いてなかったの?なんだてっきり聖都内は教会みたいなもんだと思ってたから移住の件は知ってるかと思ってたよ」

 

「聖都が酷い有り様になっているのは知っているわ。だけど……まさか聖都マーリンの住民を全員ここに連れてくるつもり!」

 

 あれ?おっかしいな〜イリスの反応が良くない。

 てっきり喜んでくれるかと思ってたけど。


「タクトあなた、私が信者を増やして信仰心を集めなさいって言ったことを気にしているのかも知れないけど、聖都の住民は全員私の信者よ」


 な!?なに!……考えてみれば当たり前か。


「そっか、それじゃ〜信者は増えないのか………残念、そうなると聖都の住民をここに連れて来るのはあまり意味がない?」


 一気に信者が増やせると思っていた。俺の思惑は見事にハズレた。……移住の話はなしかな。



「ドゴン」

 

 地面が爆ぜてヒビが入る。

 おっさん頭大丈夫か?

 教皇のおっさんが土下座の体勢で頭を地面に打ちつける程下げていた。


 何をしているんだ?興奮し過ぎて暴走したのか?


「うおおおーーー!是非ともここに住ませて下さいタクトサマーー!お願いします!」


 こうして今に至る。


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