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第22話 億万長者で食費確保!父さんやったよ〜


「あら!ごめんなさい。お見苦しいところを見せてお客さんが来てたなんて思わなくて」

 先程仮面をつけて出てきたのはおじさんの奥さんだった。今は仮面もムチもロウソクもない普通の状態になっている。


「ドラゴンの牙、しかも赤竜ともなると倒すのに軍が呼ばれるレベルよ、一介の冒険者なんて相手にならないわ!どうやって手に入れたかは気になるけど教えては貰えないわよね!それにしてもいつ振りかしらこんな凄いものを扱うのは……」

 どうも倒したとは思われておらず、どこかで死んでいたのを見つけて拾ったとか思っているみたい。ま〜そう勘違いして貰ったほうが面倒くさくなくってありがたい。



「う〜ん………千五百万ウェンでどうだ!」

 店長のおじさんが捻り出すような声で金額を提示した。


「マジ!?」


 大金じゃん!一般庶民が十年働いても稼げない金額、これなら余裕で食費の不安が解消だー!


「うむ!意外じゃな、妥当な金額を提示してくるとはのう〜」

「どう言う意味です先生?」

「商売をする者の言葉鵜呑みにするでない。無知なのを良いことに高く売ったり安く買い叩いたりと不当に利益を得ようとする者は多くおるのじゃ!」

「なるほど、その点今回は意外にも妥当な金額を提示してくれた。……でも高すぎません!ドラゴンの牙を一本売るだけですよ?」

「はぁ〜我がついていて良かったのじゃ、赤竜を丸々一匹の相場は大体一億から二億と言われている。もちろん個体によってはその十倍以上になることさえあるのじゃ、牙一本ならそんなものじゃ」

 俺は先生の言っていることに驚きを隠せなかった。つまり俺は億万長者になったと言うことだ。笑いが止まらん!


「すまない坊主、金額を提示しておいてなんだが、今この店にそれを払うお金がない!頼む!少し待っててくれ、用意する宛はあるんだ!な!な!な!!!」

 おじさんは必死に頭を下げるけど、これってそこまでの物なのか?


「それは構いませんよ!なんなら分割でも良いです!」

 

「なになにそれで良いの!?キャ〜あなた可愛くてカッコいいは!キスしてあげようか?」

 今度は奥さん、興奮し過ぎです!ちなみにキスはご遠慮します。


「坊主、本当にそれで良いのか?するつもりはないが俺達が持ち逃げするとは思わないのか?」


「ん?いやそこまでは思ってないけど……」

 正直分割の方が助かる。今必要なのはそんな大金ではない。あまり多く持っていると碌な事にならない気がする。泥棒に入られたり、襲われたりと不安要素でいっぱいだ!貯金と思って小出しにして貰おう。


「問題ないんで、それでお願いします!」


「そうか坊主助かるよ!」

 夫婦揃って頭を下げてまでお礼をする。



………………▽

 

 俺達は店を出た。


「よ〜し当面の食費確保〜!父さんやったよ〜!」

 取り敢えず百万ウェンを手に入れた俺は意気揚々と歩いているとそこに運悪くタンクと出くわしてしまった。


「チッ、タクトかよ!会いたくもないのによく出くわすな!ま〜いいや、な〜タクト今お金に困ってるんだよ!金貸してくれね〜」

 ナチュラルにカツアゲされてしまったが、どうしょう今はお金持ちの俺としては、ちょっとお金渡して満足して帰ってくれるならそちらの方が楽な気がする。

しかし、こいつにお金を渡すのは心情的にしたかね〜つまり断固拒否!


「えーっと嫌です!」

「………はぁ!?何だと!俺様の言うことが聞けないって言うのか〜」

 タンクは額に青筋を立てて本気で怒っている。それも仕方がない事か、今まで逆らったことのないタクトに拒否されたのだから当然と言える。


「いい度胸だ!その根性叩き直してやる〜」

 

「ちょっと待った!」

 俺は手を前に出してタンクを止める。


「あぁぁ!なんだ怖気付いたのか?だか残念もう遅い」

 タンクは腕を振り上げた。


「ノルンはそんな事しても喜ばないぞ!」

 タンクのピタッと腕を止める。


「ノルン、なんであいつの名前が出てくる!

これは俺とお前のだな……」


「でもボクに突っかかるのはノルンのせいだろ?」

 僅かに震えるタンク。


「もう面倒なんだよ!タンクさん、あんたはノルンが好きなんだ!だからボクにあたるんだろう!どうだタンクさん!」

 一步、二歩、三歩と後ろに下がり片膝をつきショックを受けるタンク。


「な、な、な、なにを言っている。そんな訳ないだろう。バカバカしい〜」

 タンクそんなに動揺しておいて何でもないで通すつもりか!バレバレ過ぎて呆れるよ。


「だからはっきりと言っておこう。ボクとノルンは恋人でもなんでもない、ただの友達だ!タンクさんが思っているような関係じゃない!だから好きなら本人のところに行け!チャンスはいくらでもあるだろうタンク!」


 タンクは立ち上がり俺の前に立つ。


「それは……嘘じゃないだろうな……」

 じーっと俺の目を見つめる。俺が本当の事を言っているのか確認をしているのか?ならしっかりと答えようがない。


「本当だよ。ノルンとボクは付き合っていない!」


「…………ケッ、分かったよ!さっさとあっち行け」

 恥ずかしかったのか、目線をズラしてシッシッと手を振って、どっかに行けと促される。


「うん!それじゃ〜タンクさん待たね〜」

 

 よっしゃ〜これで今後面倒事に巻き込まれなくて済むぞ〜やっぱりちゃんと言葉で伝えないとな。


 俺はスッキリした気分で歩く姿をタンクが複雑な気分で見続けていることを俺は知らなかった。


「はぁ〜お前が良くてもノルンは……なんであんなやつが良いんだよ!……くそ〜だけど一つだけあいつが言ったことが理解出来た。俺にもチャンスがある。フッフッフ、やる!俺はやるぞ!」


 タンクはこの日から意味なくタクトに絡むことはなくなった。


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