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第219話 一つの戦いは終わった。


 プルソン(ラキ)は自分の攻撃を受けたが死にはしないようだ。ま〜死なれたら助けられないから良いんたけど。それでもダメージは受けたかな、身体だけではなく心も……


 

 プルソン(ラキ)は激怒していた。

 

 でもそんなこと知らねぇ〜よ!

 俺もお前を許すつもりはないからな!


 俺もまた仲間達を傷つけられ、そして悲しませたコイツを許せるはずがない!俺も激怒している。


『ドリル(空間破砕)』


 俺の右腕に巻き付く様に金属のプレートが浮かび高速回転、さながら右腕は巨大なドリルと化す。


『シャイニングウイング』

 プルソン(ラキ)は羽を広げ巨大化、防御するために翼をクロスさせドリルを受け止めた。


「シャーシューーー」

 羽にドリルが衝突した。


「なぁ!?そんなバカな!あり得ないわ」

 ドリルはあっさりと翼を貫く。

 しかしドリルはプルソン(ラキ)の前で止まった。


「キサマ!どう言うつもりだ!なぜ止める………なるほど〜そうか、ラキを殺せないと言うことか、甘い!その甘さが命取りになると分からんとは」

 プルソン(ラキ)は自分が殺せないと安堵し、そしてそんな俺をバカにする。

 

「確かにボクにはラキを殺せないよ!だって助けるのが目的なんだから、それと勘違いは良くないぜ!ボクはお前を殺す!」


 ドリルに魔力を込めさらに回転数が上がり、羽を木っ端微塵に削り取る。


 だけどラキには当てない。

 今俺がやっているのは、プルソンの聖なる魔力を削ること、キョウカの攻撃と合わせ、プルソンの魔力のそこが見えた。


「そんな!?そんなバカな〜……私がこんなヤツに……」

 プルソン(ラキ)の顔が初めてあせっていた。


「お前は九王の中で一番弱いんじゃないか?あんまり強く感じないぜ!」

 

 プルソン(ラキ)は大きく目を見開く。

 驚いたのか?怒ったのか?

 良いぜ!反省しながらあの世に行け!

 

 俺はプルソンを倒しラキを救う為の作戦を考えた。三つの力を合わせプルソンに挑む。


『陰陽道………視える人』

『配管………繋ぐ物』

『ライト………照らす力』


 視える人の力で悪魔プルソンを見極める。ぼんやりと紫色の人魂が視えた。コイツがプルソンだな。次にラキに影響が出ない様に配管をプルソンに直結する。そして配管の穴にライトを突っ込み、準備は完了した。


「魔力充填完了!照度MAX!光よここへ……ライト点灯」


 光属性にライトが光をだし、それが配管を通りラキに取り憑いているプルソンに照射される。


「ギャャャャャ〜」

 プルソン(ラキ)から叫び声が、この光に耐えられる悪魔はいない。だから当然ラキの身体からプルソンが逃げ出す。


「ぐううう〜おのれー」

 うっすら紫色の透けたプルソンがラキから離れていく。


 そこに天使が飛び立った。


 相当怒っているとは思っていたけど、頑張り過ぎだって言ったのにな。あんまり無理するなよ!ルナ。


 動かないはずの身体を無理やり動かし、歯を食いしばって飛翔、プルソンの迫り剣を振り上げる。


「ラキにもう手は出させない!」

 ルナの剣が聖なる魔力が集まり光り輝く。


『ホーリーソード』

 プルソンは一刀両断に斬り裂かれ浄化され消えていった。


 ルナはプルソンを倒し、全ての力を使い切ったことで倒れる様に落下、俺は慌てて走りルナを受け止める。


「ふ〜危ない。ルナお疲れ様、大分無理したな!」

 

「ごめんタクト…勝手なことして、どうしても許せなかったの、ラキを穢すことを傷つけることをもうこれ以上…絶対に…許せなかったの……だから……」


「うん、分かった分かった。そんな顔すんなって、ルナの気持ちは分かったから、きっとラキにも届くさ」


 俺は出来るだけ笑顔で労いの言葉をルナにかけた。そしてカンナが受け止めてくれたラキを見て、これからまだ続く戦いに打ち勝たなければ真の意味でラキを救えないことをルナは分かっている。そしてそれこそが最も難しいことと理解もしていた。


 ラキの下に聖女様が駆け寄る。

 涙を流しながら声をかける聖女様の声は届いているのか、ラキは人形の様に動かず感情のない表情でただただ天井を見続けていた。



 一つの戦いは終わった。だけど決して犠牲の少ない戦いではなかった。これを勝利と喜ぶ者は少ないだろう。


そしてこの後………聖都マーリンは滅んだ。


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