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第215話 音の衝撃


◆時は現在に戻り、ルナの視点


「あぁ!もういい加減面倒な敵ね!弱点はどこよ!」


 巨大な藁人形デスストローマンを相手にルナは攻めあぐいていた。この敵には特殊なスキルが備わっていた。一度デスストローマンの腕を斬っただが、その時…自分の腕にも激痛が走り、私もダメージを受けてしまった。どうやらこの敵は相手に自分が受けたダメージを返す能力が備わっている。そのおかげでどう対処すれば良いか分からずにいた。


「痛みを恐れていつまでも止まってはいられない」

 一か八か、ダメージ覚悟でコイツを攻撃する。


 私が剣を構え突撃しようとした時、知らない声に止められる。


「待て!無闇に突っ込むんじゃない!」

 私の前に愛しの妹が駆けつけた。


「アイリス?でも今の声は……可愛くない」


「お前は可愛いかどうかが重要なのか?ルナ」


 また声が聞こえたのだが……どこから?

 ここには私とアイリスしか……


「ルナお姉ちゃん……ここ、ここだよ!」

 ブンブンと剣を振るアイリス……カワイイ。


「だから…また変なこと考えてないか?あとアイリス、あんまりブンブン振るな!また酔うだろうが!」


「ごめんけんちゃんまたやっちゃったなの」


「剣が喋ってる?……聖剣?確かに聖剣と呼ばれる物には意志があった物があったとは聞いたことはあるけど、それは聖剣と呼ばれる物の中でも伝説級の存在、なんでここに」


「今そんなことはどうでもよかろう。まずはアイツを倒すのが先だ!」


「その意見には賛成だけど、アイツを倒す方法が見つからないのよ。その言い方……もちろん何か良い策でもあるんでしょね」


「フンッもちろん、まさか我を使う資質を持つ者がこうも簡単に見つかるとはな。我を使え……アイツを倒すのだ!」


「それで、どうやってかしら?」

 私はアイリスからけんちゃんを受け取る。

 けんちゃんを受け取った瞬間、この剣が本物の聖剣だと悟る。凄まじい魔力、アイリスは良くこれ程の物を平気で持っている。並の者なら気を失っているだろう。


「普通に斬れ、それで倒せる」

 

 この剣……何も分かっていない。


「あのね〜アイツにはダメージを跳ね返るスキルがあるの、だから……」


「そんなこと分かってる!あの程度の下級スキル、我なら楽にレジスト出来る」


 え!?そんなことが……ふふっ良いじゃない。考えるのは後回し、これで殺れる。


 私は天使化した翼で飛翔しデスストローマンに狙いを定める。


「藁人形のクセに随分と手こずらせてくれたわね〜今から藁を根こそぎ刈ってあげる」


 ルナの翼が大きく広がり羽ばたいた。


『アクティブセイクリッドスラッシュ』

 聖なる力を纏った剣による縦横無尽の高速剣技、デスストローマンを斬り裂く。

 そして聖剣けんちゃんのおかげで私に一切ダメージは通っていなかった。


「これで最後よぉー!」

 私は高く飛翔しデスストローマンの頭目掛けて急降下、頭から斬り込みそのまま真っ二つにする。


 デスストローマンは燃えて灰となり消えた。


「スキル以外は大したことはなかったわね!

…………そうだ聖女様を助けに行かないと」


 敵を倒した私は聖女様とプルソン(ラキ)が居る場所を見る。

 

 プルソン(ラキ)の前で聖女様は膝をつき倒れそうになっていた。一体聖女様に何があったの!?


…………▽


◆聖女メリダの視点


「うっ……うっ……」

 私は涙を流し悲しんでいた。


 悪魔プルソンに取り憑かれたラキが私を見下ろしていた。その顔は私には怒っている様にも憎んでいる様にも、そして悲しんでいる様にも見えた。


「あなたにはやはり効果てきめんかしら、私の呪言スキル『リヴァイアサン』とラキの組み合わせわ」


「えぇ……ラキの悲しみは私が受け止めなければなりません。ズンッと重く強い想いです。ですがこれはあなたがラキの記憶から抜き取った物。ラキとは今一度話をしなければなりません。ですのであなたにはご退場頂きます」


 私は涙を拭き立ち上がる。

 

「私の命をかけてもラキを救ってみせます。もう少し待っていて下さい」


 私は魔力を高め戦闘態勢を取る。


「粋がるなよ!ババア、お前にラキは救えない」


『死ね!』

 プルソンは魔言を放つ、これを受けるとその通りに行動してしまう。つまり死んでしまうのだ。でも私には効きません。私のユニークスキル『ホーリーソング』の前では……


 私の歌でプルソンの魔言を打ち消す。


 二人から発生された激しい音の衝撃が衝突、力は拮抗し衝撃波が周りに広がった。


 私はすぐにラキに向かって走り出した。

 プルソンの力は私なら防げる。しかしそれだけではラキを救うことは出来ない。


「何を考えている?ババアが接近戦を挑むなんて、聖女とは意外とバカなのね!」


 プルソン(ラキ)は向かってくる私に向かって拳を放つが、私は拳を腕で反らしプルソン(ラキ)の懐に入り肘鉄を打ち込む。


「カハッ……」

 プルソン(ラキ)の動きを止めたところで、腕を掴み一本背負いで投げる。


「ゴハッ……」

 ラキごめんなさい!

 私は拳を握り締めラキの喉を狙う。

 喉さえ潰せばプルソンはスキルは使えなくなる。


『止めれ』

 しまった!?私が迷ったせいで、拳よりプルソンの魔言の方が速かった。私の身体が止まる。


 プルソン(ラキ)は即座に立ち上がり私から距離を取る。

 私にかけた魔言は急いだせいか、あまり魔力を込められておらず、すぐに効果を失った。


「ババアがふざけた真似を」

 プルソン(ラキ)は怒りの形相に変わる。


「驚きましたか、私も少し格闘技を習っておりまして、これはラキも知らないこと、あなたの不意を突くには丁度良かった様ですね」


「確かに驚いたけど、さっきので決めなかったのは失敗ね。次はこうはいかないわよ」

 プルソン(ラキ)が突撃し次々と技を繰り出す。


「グッ…ガハッ」

 プルソン(ラキ)はカウンターをくらい吹き飛んで行く。


 なぜだ!……ラキをこのババアが圧倒するだと、それはつまり、このババアがラキ以上に強いと言うことなのか。


「まだ若い者には負けられませんね!この距離なら逃がしません」


 私は構えラキに突撃する準備をする。


「まさか聖女様が格闘技をするとは思わなかったわ。これは想定外だったわ。でもその程度では私は止められない。なぜ私がお前たち聖職者の身体を欲したのか、それはこの為よ」


 プルソン(ラキ)はエンジェルエッグを大量に口に入れる。


「まさか!?あなたの狙いは私達が持つ聖なる力?」


 プルソン(ラキ)はニヤリと笑い、背中に四対の翼を生やす。プルソンは悪魔でありながら膨大な聖なる力を宿した天使へと変身した。


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