第211話 私は運が良い!
私は孤児だった。
生まれてから7歳まで親の元で暮らし、村の口減らしで捨てられた。
………でも私は運が良いい!
私と同じで親に捨てられたのに元気でいつも賑やかな友達……
優しくどんな時でも親身になってくれてる私達を育ての親、神父様、シスター達……
そして私が私らしく生きるための力を与えてくれたバネス師匠……
…………▽
私は小さな孤児院を営む教会の神父に拾われた。孤児は私を含めて七人、5歳〜15歳の子供達が居た。
「コラァ!ニコラにライラ手伝いなさいよ!シスターマリネに怒られたいの!」
私は腰に手を当てお手伝いをしない年下の二人にプンプンと怒っていた。
私がこの孤児院に来て2年、私は神父様やシスターに褒められたくって年下の子達を名ばかりの指導をよくしていた。
「ラキ姉ちゃんだぁ〜逃げろ〜」
ニコラの呼ばれた少年が怒られているにも関わらずワイワイと飛び上がり楽しそうに走って逃げる。
「待ってよ〜ニコラ〜」
ニコラと同じくらいの少女が走って追いかける。
「コラァ!待ちなさいってばぁ!」
「うふふ、ラキ…良いのよ!遊ばせてあげて」
クスクスと洗濯物を持って笑う五十代くらいの女性がラキを止める。
「でもシスター!あの二人遊んでばかりで全然お手伝いしないじゃないですか!大丈夫です!私に任せて下さい」
ラキはポンッと胸を叩き、頼ってくれと目をギラギラさせていた。
「も〜うラキは真面目ね!良いって言ってるでしょ!大丈夫よ!ラキは手伝ってくれるんでしょ」
少しお茶目なシスターはみんなにいつも優しく接する。
「はい!シスター」
私は頼られて嬉しくなってしまった。
……………▽
「ワレラをマモリしめがみしゃま……えっちょえっちょ……なんだっけ、ネビお姉ちゃん?」
「ピス、そうね!イリス様いつもありがとうございます。ピスはそれで充分よ」
ネビはまだ5歳と幼いピスの頭を撫で優しく声をかけていた。
ネビは子供の扱いが上手だな〜私も見習わないと。
「ラキはまたおかしなことを考えてるね!」
後ろから声をかけられた。
「神父様、またそのお話ですか!」
私は少しムスッとする。
「そうだ!ラキはもっと子供っぽく甘えてれば良いんだぞ!俺達大人がしっかりと受け止めてやるんだからよ」
キラッとウインクをする少しチャラい私の大恩人の神父様、もう少ししっかりとしてほしい………
「そんなことは出来ません!私は神父様やシスターに助けられました。だから少しでも恩が返せるように頑張りたいんです!」
「うんうん、それは良いことだが、だかなラキ、大人になれば人に頼ったり甘えたりするのは無すがしくなるんだよ。今のうちなんだ、ラキはまだ小さな子供なんだ無理はしなくて良いからな」
「神父様、私は無理なんて全然していません。むしろもっと早く大人になりたいです!」
「はぁ〜全くラキは……9歳が言うことじゃないぞ!もっと外で遊びたいとか!美味しい物が食べたいとか!もっと自由に生きてやりたいことをやればいいんだぞ!」
「神父様は勘違いしてるんです!私は自分がやりたいとこをやってるの!みんなや神父様の役に立ちたいの、だからワタシ早く大人になる!」
「アチャ〜………」
神父様は手を顔に持っていき困っていた。
私は何が行けないのか全然分からない!私がみんなのために何かしたいと思うのがおかしいのかな?でも私はそうしたいの、だから私は自由に生きてるよ!神父様。
…………▽
「おい!出てこい神父」
教会の外から怒鳴り声が聞こえ神父様が出て行くと二人の男が立っていた。
「何ですか?またあなた達ですか?前にもいいましたが、あなた達に支払うお金はありませんよ。こちらもカツカツでやってるんですから」
呆れたような表現をする神父に男達は激怒する。
「はぁー!?ふざけたことを言ってんだよ!ここはザグ様が治めているんだよ!シャバ代を払うのは当然なんだ」
「それはあんた達が勝手に言っているだけではないですか、私達があなた達にお金を支払う義務は御座いません」
「なんだとぉー!」
また……何度も何度もアイツらはやって来て国から教会への支援金を横取りしようとする。
アイツらはこの辺を縄張りにしているギャング、関わると危険だからとシスターにはいつも注意されているけど、あんなヤツらに私達がなんで困らせられないといけないのよ!といつも私はイライラしていた。
……………▽
そんなある日のことだった。
ギャング達はとうとう強行手段に出た。
「オラァ!こっちに来い!」
「ピスとライラを放せ!」
アイツらは買い物をした帰りを待ち伏せをして突然ピスとライラの腕を掴み引っ張る。
私は二人を助けるために体当たりするけど……
「邪魔だ!クソガキ」
「キャー!」
弱い私は殴り飛ばされ地面に情けなく転がった。
「おい!二人を放せぇ!」
「ピス、ライラ待ってろー!今助ける」
「「エエ〜ン……お兄ちゃん助けてー」」
一番歳上のロンとイルがギャングの二人に突っ込みギャングから二人を引き剥がした。二人はそのままギャングを抑え込み、私を見る。
「ラキ!二人を連れて逃げろ!」
「俺達がコイラを止めておくからよ!頼んだぞラキ」
ロンとイルはギャングの男達に殴られながら痛みに耐えて必死にしがみついて止めている。
私は地面から立ち上がりピスとイルの手を掴み逃げようとした。だけど足がすごく重く感じた。
ワタシ……にげたくない!
なんでこんなヤツらに私達家族の幸せな生活を邪魔されないといけないの!私はただみんなと居たいだけなのに………
私は自然と振り返りギャング達に向かってしまった。
「私達家族に手を出すなぁ!」
無謀……私は本当にバカだ。
ごめん、ロン…イル二人が必死止めてくれたのに、ピス…イル、自分勝手なお姉ちゃんでごめん、だけど私の大切な家族を悲しませることは許せない!
「お嬢さん、ここは私に任せて下さい」
私の肩に手を置き止めると、すごい速さでギャングを倒す真っ白な服を着た男の人。
この人が……この後…私の人生を大きく変えてくれた。