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第206話 九王プルソン


「それじゃ、急ぐぞ!キョウカ」


「分かったわ!タクト」


 キョウカと空間転移で一気に聖都マーリンに戻る。

 当然ながらすでにキョウカのスキルは戻してあり、キョウカならスタンピードを止める戦力としては申し分ない!一気に片付ける。



「くそー!マジかよ!もうこんなに来てたか!」

 

 マーリンに着くと状況は良くなかった。すでに多数の魔物が町の中に侵入しておりそれを聖騎士団がなんとか食い止めていた。


「それと問題はアレだな!」

 俺はアレの方向に向き直す。


 スタンピードの本隊、総数四万と言ったところか、このまま町に突っ込まれたら間違いなく町が蹂躙される。


 俺は顔を歪ませた。


「タクト、アレは私が相手をするわ。だからあなたは先を急いで」

 キョウカは俺の前に立つ。

 

「キョウカ、でも流石に………」

 確かにさっきの戦いを見れば出来るのかも知れないとは思うけど、MPだってそろそろ尽きるだろうし……


「問題はないわ。ザコが数を揃えたたげでしょ」

 

 キョウカは地面に手を置く。


「走れ!地を這う雷撃……『雷電』」

 

 地面を通し電撃で魔物を攻撃、数十体の魔物を倒す。


「余裕だって言ったでしょ!ここは私に任せて」

 スーツ姿でビシッと腰に手を当てポーズを取る。

 

 う〜ん……出来る系のお姉さんに戻ったか。

 俺はさっきの鼻水ダラダラの姿を思い出し「プフっ」と手を口に当てて笑うと、キョウカの目つきが鋭くなる。いかん!気がつかれた!?


「オホン……分かったよ!ここは任せるね!キョウカ宜しく〜」


 気まずくなり俺は急いで立ち去ろうとすると。


「ちょっと待って…タクト」

 ギクッ……怒られる。


「あとで相談があるの、聞いてくれる……」

 キョウカは少し不安そうだけど何でだ?俺は怒られると思ったからホッとした。


「おう!あとでな、宜しく〜」

 俺はテキトウに答えて大聖堂へ向かった。

 


……………▽


「お姉ちゃん!お姉ちゃん!起きて!起きてよ!」

 ナイフに刺され倒れたルナにアイリスは泣きながら声をかけ続けていた。


(嬢ちゃん気をしっかり持て、死んじゃいない。傷も深くはない。回復魔法をかけろ)


「うっうっ……でもけんちゃん、ワタシ回復魔法苦手なの」


(諦めるな!無理でもやらないと姉ちゃん死んじゃうぞ!それでも良いのかぁ!)


「いやなの!」

 アイリスはルナが刺された傷口に苦手な回復魔法を全力で行う。



「うふっ、健気で可哀想、無駄なのに」

 ラキは笑顔で倒れたルナとアイリスを見ていた。

 しかしそれは本物のラキではない。


「あなたは悪魔ですね。どうしてこの様なことを」

 聖女の目は悲しみに満ちていた。

 今すぐにラキを助けたいと強く思い悪魔と対峙する。


「えぇそうよ!聖女メリダ、まだ名乗ってはいなかったわ。私はゴエティア九王の一人プルソン、あなた達と仲良くするために来たの」

 プルソン(ラキ)はニコリと笑顔で言った。


「そうですか、それならとても喜ばしいことですが、私が思う仲良くとは違うのでしょね」


「うふふ、それはどうかしら、試して見ましょう」

 プルソン(ラキ)は聖女に手を伸ばす。

 

「待ちなさい!聖女様に手は出させません」

 部屋に突撃した聖騎士団が聖女を守るように陣形を取る。

 

「レアリーとアーチじゃない。コソコソと隠れていたの?でも少し出るのが遅いのではないの」

 

 アーチは一歩前に出る。


「ラキさ〜どうしたのさ、随分らしくないよね。悪魔なんかに取り憑かれるなんてね!すぐに戻りなさいよね!」


 アーチは武器を構える。


「あら怖いわ!アーチ、私に剣を向けるの?」

 怖がる仕草をするラキ、それがあまりにもわざとらしく白々しい。


「止めなさい!ラキの顔でふざけたことをするな!」

 アーチの横に並び激怒するレアリー。


「そんなに怒らないでよレアリー、私達親友じゃない」


「そうよ!ラキと私は親友なのよ!早く出て行け!」

 レアリーは魔力を高め魔法陣を展開。

 ラキの周りを囲むようにいくつもの魔法陣が現れる。


『ハイエアプレス』


 ラキの上空に風の流れが起き、その力が下にいるラキに向かって強力な風と変化しラキを押しつぶす。


『ア!』

 ラキが一言いや、一文字言った瞬間、風が霧散しそよ風となって流れていった。


「何をしたの?」

 レアリーは何が起きたか分からずたじろぐ、レアリーにとって得意な風魔法のしかも上級魔法を簡単に相殺されたのだ、その衝撃は計り知れなかった。


「レアリ〜……親友に対してちょっと酷いわね!ふふっ、お返しよ『う!』」


「ア……オハッ」


 レアリーは何かがお腹に当たった気がして手を当てると、そこには大量の血がついていた。レアリーの腹部には数cmの穴が空き、そこからドクドクと血が流れていた。

 レアリーは口から大量の血を吐き倒れる。



「レアリー!?」

 倒れるレアリーをアーチが受け止める。


「レアリーしっかりして」


「ごめん、アーチ…私先走っちゃった。いつも止め役なのに、ワタシ何やっているんだろう……」


「あーもう!喋らないの!今はそんなこと良いから!あとでいくらでも聞くから」

 アーチは回復薬ハイポーションをレアリーに飲ませ、傷口にポーションをかける。


「レアリー、アーチ、もう良いでしょ、私…にはまだやらないといけないことがあるから、あとで遊んであげるから待っててね」

 

「ラキ!待ちなさい!」


 プルソン(ラキ)は手をバイバイと言った感じで軽く振り聖女に向かって歩み出す。アーチの言葉は虚しく響きラキに届かなかった。



「ん?あなたもいい加減諦めが悪いわね〜。昔からそう……面倒なのよルナ」


 プルソン(ラキ)の前に立ちはだかったのは、アイリスに支えられたルナだった。流血は少なくなったが顔色は悪く、とても戦える状況ではなかった。


「良かった!やっぱりラキじゃないわね!だって私が知っているラキは私以上に諦めの悪い女よ!いつだって人を助けるために無理して駆け回る。これ以上ラキの顔でバカなことは言わせない!」


 ルナは倒れそうになりながらも必死な形相でプルソンに言うのだった。


「良いわよ!あとでルナとラキで仲良く、遊ばしてあげるわね!」


 ラキの後ろから大きな藁人形の化け物が現れる。


「また後でね!ルナ」

 藁人形の巨大な手がルナ達を襲う。


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