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第205話 涙と鼻水の決着


 びっくりした!?

 まさか空間障壁をこうもあっさりと破られるなんて!?恐るべし大魔導師と言ったところか!


『安全靴(空間反射)』

 

 火・水・風・地の四つの属性魔法を弾き返すと、キョウカは動揺していた。この隙を狙って攻める。


 ヘルメットの力で空間加速、弾き返した魔法のど真ん中を突き抜けてキョウカの前に降りる。


 コイツ相手だとこれが一番有効だよな!

 俺は小さな工具を取り出す。


『精密ドライバー…………弱(空間調整)』


 俺は小さなドライバーをキョウカに向け、そして左に回す。


『エクスプロード』


「…………あれ?」


 爆炎魔法!?俺の目の前になぜ!?………「ボン」


「あ〜れーーー」

 俺の身体は上に吹き飛ばされて地面に落ちる。

「…………いったぁ〜い……」頭を擦る。


「もう許さないわ!吹き飛べ『エアバースト』

………………………ヒュ~ン」


 キョウカの手からそよ風が吹いた。


 びっくりした!失敗したかと思ったけど上手く言ったみたいだな。

 キョウカは自分の手を見てワナワナと震え上がっている。

 当然だな!魔法が上手く使えなくなったんだから、衝撃だろう。


…………………………………………………………………


名称∶精密ドライバー

分類∶道具

属性∶空間(調整)

効果∶☓☓☓☓☓

性能∶空間内にあるものの出力調整が可能、

   主にスキルに対して効果があり

   状態異常、強化スキル、付与系スキル等

   (取り扱い注意)

   最大値は上げられない

   動きが止まっているものにしか効果がない


…………………………………………………………………


 時間がなかったからとにかく精密ドライバーを左に回してスキルの効果を弱めたけど、この感じからして十分効果があったようだ。


 俺がやったことはユニークスキル『大魔導師』の力を弱めたこと、感覚的には20%くらいまでは下がったかな?


 あまりにもショックをだったのか未だ放心状態のキョウカ、周りが全く見えていない。自分がやっておいてなんだけど声がかけづらい。


 いや?待てよ!そもそも突然襲われたのは俺だぞ!むしろ遠慮をするのはおかしいだろう。ちょっとくらいイジメてやってもいいじゃん!


「クックックッ、どうしたのかな?さっきまでの威勢はどこに行ったのかな〜あれれ〜さっきから黙ってて…ど・う・し・た・の・か・な!……え!?」


 俺は嫌らしげな言葉を言いながらキョウカに近づき、キョウカは下を向いていたので覗き込み固まる。


「ぶぇーーん!うえっうえっうえーーん、あんなに頑張ったのに…のに、ばだじの…ちから…なぐなじゃったよ〜…うえーーーん!」


 ガン泣きである。

 スーツ姿の出来る系お姉さんが、鼻水を垂らして泣いている。


 俺の顔が明確に引きつったのが自分でも分かった。

 ど、どう対応したら良いんだ!……困った。


「あーーい〜けへんんや!いけないんや!先生に言うたろ!」

 

 カンナが踊りながらからかってくる。


「うっさいわ!カンナは黙らっしゃい!」


 いちいち俺の相棒は空気を読まない。

 これはどう見てもガチ!慰めねば!


「あの〜キョウカさん、あの〜先程は……うげぇ!」

 キョウカに喋りかけると突然近づき泣きながら俺の首に絞めまじめた。


「かえじて!かえじて!ワタジの力、かえじて!かえじて!かえじて!かえじて!………」

 

 うげ〜……落ち着いてキョウカ!

 元には戻せるから〜


「コラァ!ウチのタクト何さらしとるんや!」

 カンナがキョウカを羽交い締めにして俺から引き離す。だけどキョウカは止まらない。


「うえ〜ん!返してよ〜。それがないとワタシ……紗奈さなに会えない………」


 キョウカの身体から力が抜けてダランとなり、カンナはキョウカを支えてゆっくりと座らせた。


「お願いします!どうか、どうか、お願いします!」

 項垂れるように頭を下げるキョウカ、なんか俺がすごく悪いことをした気分になってきた。早いところなんとかしたい。


「オホン!落ち着いて聞いて欲しい。あなたの力を戻すことは可能だ!」

 キョウカはバッと顔をあげる。


「しかし、言われてはいそうですか!と返す訳にもいかない。だってあなたは俺達を殺そうとしたんだ!どうして力を返さなければいけない」


「うっ……」

 キョウカは俺の言った意味がもっともだと理解したのだろう。黙って塞ぎ込む。しかし俺は力を返してやろうと思っている。一応俺と同じイリスの使徒、つまり仲間だ!出来れば仲良くしたい。



「ダイモンジ・キョウカ、俺はあなたに敵意はない。同郷でありイリスの使徒であるあんたとは出来れば仲良くししたいと思っている」


「同郷?……それにその呼び方……」

 キョウカは頭を傾げた。


「キョウカも日本人だろ?俺もだ!ま〜俺は死んで転生しているがな。同じ日本人と話せるのは正直かなり嬉しいもんだ。なんとなく懐かしからな、キョウカは寂しくなかったか?」


 キョウカの顔がみるみる変わり、驚きから悲しみの顔に変わる。ただしそれは嬉しさでもあった。


 キョウカは俺に抱きつき、俺は優しく

受け止めることにした。


「本当に本当なの?ワタシ…ワタシ…ずっと一人で頑張っていた。もしかしたらいつか私と同じ様に飛ばされた人がいないかいつも考えてた。やっとやっと会えた!」


 お〜よしよしと、ま〜俺は転生者なんだけど、彼女からすればそんなのは関係ないか。


 俺はキョウカが落ち着くのを静かに待った。


「君は……私を助けてくれる?」

 キョウカは落ち着いたのか、顔をこちらに向けて話し出すのだが、いまいち質問の意図が分からない。助けてと言われたがスキルを元に戻すことを言っているのであればイエスなんだけど、どうも違う様な気がする。


「あーうん!困ってることがあれば言ってくれ、出来る範囲で協力するよ!ただ今は大変な時だから、先にそっちを片付けよう!出来ればキョウカにも協力して欲しんだけど?良いかな?」


「スタンピードを止めるってことよね?それはもちろん協力するけど、今の私じゃ」


「あぁ、もちろんキョウカのスキルは元に戻す。でも問題はそれだけじゃない。急がないといけない」


「分かったわ!私も協力させて」

 キョウカしっかりとした意志で答えた。

 大魔導師の力はすでに見ている。スゲー助かるわ!


 こうして俺はキョウカと共闘しことにあたる。


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