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第197話 聖都マーリンの戦い


◆聖都マーリン


「急げ!住民を避難させるのだー!」

 

 町ではスタンピードがこの町に向かっていることを住民達に通達、大聖堂周辺に造られた地下避難区域へと移動を開始していた。

 

 住民達は不安や焦り、そして恐怖し、混乱が起きていたが聖女様を中心に聖騎士団の説得により大きな混乱には至らなかった。


「聖女様、ご報告します!光石結界は未だ不安定です。やはり十分な魔力が供給出来ていないとが原因と思われます。現状の出力では約5割の防御壁しか展開出来ていません」


「そうですか、御苦労様です。あなたは持ち場に戻って下さい」


「はぁ!了解致しました」


 聖騎士団団員が急いで戻って行った。


 入れ替わるように黒髪の女性が眉間にシワを寄せて話しかける。


「聖女様、魂喰結界の準備が整いました」


「ありがとうラキ、それでは行きましょうか」

 聖女は歩き出すのだが、気になって振り返えるとラキが思い詰めたように見ていた。


「どうしたのラキ?」


「聖女様……本当にやられるのですか?あなた様が犠牲になるのはおかしいと思います。ここにいる誰よりもあなたは尊い存在なのです!」


「あらあら、それは違うわよ!ラキ、あなたは分かっているばすよ。人の価値に差なんてないわ。私はあなた達を守りたいの!だから私がしなくてはいけないの。それに犠牲になるつもりは今のところないんどけどね」


 聖女はそう言って大聖堂へ向かおうとする。


「それなら!私はあなたを守りたいです!だから絶対に死なせません!」


 気迫がこもった声は聖女には伝わった。

 ニコリと笑い。「それでは行きましょう」と言って歩き出す。ラキは走り聖女の下に駆け寄り横に並んで歩いていった。



「聖女様こちらです」

 キラキラと輝く金色の髪を流しながら駆け寄って来る少女。


「ごめんなさい。待たせたかしら?……ん?ティアもしかして儀式を進めているの?」


 聖女は地面で光っている魔法陣を見て少し驚き、ティアと呼ばれた少女は頭を下げる。


「はい、勝手儀式を進めてしまい申し訳ありません。でも私達に出来ることは私達でやります。少しでもお力になりたいんですの!」


「うふ、ありがとう。あなた達が居てくれて心強いわ。それであと一人はどこかしら?」


 聖女の言葉に動揺したのか?

 小さな、小さな物音が聞こえた。


「ばぁ!メリダここだよ!」

 突然少女が現れ聖女に飛びつく聖女は少女を優しい受け止めた。


「あらあら、アイリスはそこに居たのね。気が付かなかったわ」


「どお、すごい!メリダ〜」

 

 少女は自慢げにしていたが、後ろから怒気を纏った女性が近づく。


「コラァ!何度言ったら分かるんだ!聖女様を呼び捨てにするなぁー!それと今の今までどこ行ってたぁー」

 

「ワァワァワァ!?わぁ〜んラキ怖い〜」


 アイリスは怯えながら聖女の後ろに隠れた。


「ま〜ま〜ラキ、そのくらいで、三人共良く来てくれたわ。早速だけど始めようと思います。他の皆は集っているかしら?」


 聖女の言葉にラキ、ティア、アイリスは整列して話を聞き、その問いにティアが答えた。


「今この町にいる司教様以上の階級の者が集っております。またもしもの為に聖騎士団第三師団ヒューム団長と部下の六人が護衛について頂いていますのでご安心ください」


「分かりました。それでは始めましょう」


 聖女は魔法陣中央に立つ。

 今から行うのは光石結界と同じ結界、しかし聖峰ラムラの魔力がない中で使うのは自らの魔力、町を覆う程の結界ではないにしても、大聖堂周辺を守る結界ともなれば必要な魔力は相当な物となる。


 魔法陣の中央に聖女そしてその周りを囲うように司教以上の階級の者が十数人で魔力を魔法陣に注ぎ込む。


 大聖堂全体に魔力が満ちていくと、壁や床は輝き光を放つとは空中に魔法陣が展開されそして大聖堂の天井を抜け屋外へと飛んでいく。


「それでは始めましょう」

 聖女様は澄んだ声で歌う。


 聖女メリダのユニークスキル『聖なる歌声』、放たれた魔力の質が向上し、結界をより強固な物へと変えていく。


…………▽


 丁度その頃、タクトが来る前に通り抜けた。スタンピードの魔物が聖都マーリンに到達。


 光石結界を破ろうと激突し轟音が流れる。


「来やがったか魔物ども、ここは一歩も通さねぇ!」

 防壁の上に立っているのは聖騎士団第二師団団長ヴォルフ。

 ヴォルフは大きく息を吸い、雄叫びをあげた。

 

「うおおおおぉぉー」

「オリヤァァーー」


 聖騎士団の団員達も気合を入れて一斉に魔物の群れへ突っ込んで行った。(第三師団抜き)

 

「たくよぉ〜面倒なことさせやがって、ルナのヤツどこほっつき歩いているんだよ!俺は突撃団長だぞ!指揮なんてさせんじゃねぇ〜よ!」


 戦場を目の前に突っ込みたくってウズウズするヴォルフだったが、今ここで戦っている魔物はスタンピードのほんの一部、ここで体力を失うわけにはいかないと我慢していた。


…………▽


 その時ルナとアポロンは苦戦していた。

 クォーク率いる兵士達は高い戦闘力を有しており何より圧倒的な回復力によって一方的に体力を削られ続けていた。


「アポロン諦めてはダメよ!」 

 ルナは肩で息をするほど体力が削れていた。


「何言ってるんですか!ルナさん、誰がこんなヤツらに負けてやるもんですか!」

 アポロンは身体中に傷を負い血だらけになりながらも立っていた。


 二人ともまさに満身創痍の状態、そして事態はより悪い状況になってしまう。


「想定外でした。まだ生きていますか」

 ゆっくりとした足取りで雑木林から出て来たのは水の勇者ネロだった。


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