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第194話 タクトの戦い①


 思っていたより大分面倒なことになった。


 来る!………あぶっね!

 

 首目掛けて鋭い爪が迫る。

 それをしゃがんで躱し走り出す。

 後ろからはさらに石弾が迫り『空間障壁』で防いだ。


 俺の周りを取り囲む6体の魔物、人と同じく知性を持って襲って来るこの魔物達に俺は邪魔されていた。

 


 俺はスタンピードを止めるため、攻撃をして敵の数を減らしながら離脱を繰り返し進行を遅らせていたのだが、突如現れた喋る魔物に攻撃を受ける。


「おい!ニンゲン、邪魔をするなよ」

 鳥頭で人形の魔物が喋りかけてくる。

 

 喋る魔物が存在するのは知ってはいたけど、会ったことはない。初めは驚いたけどすぐに落ち着かせる。

 

 コイツらは他の魔物達とは一線を画く。


「おい!聞いてるのかニンゲン、喋れよ!それともオツムがないのか?」


「鳥頭に言われたかねぇ〜よ」


「なんだとぉ!バカにしてるのかニンゲン」


「ニンゲンニンゲン煩いわ!お前達こそ何者だよ!」


「なんだとぉ!ニンゲン」

 鳥頭が激昂し飛びかかって来ようとする。どうもコイツは本当に鳥頭のようだ。来いよ殺ってやる。


「待て!ラムム、話はまだ済んでない」

 牛頭の魔物がハルバードでラムムの前に出し止める。


※ハルバードとは

 戦斧と槍を合わせた万能武器で長柄武器の一種で扱いが難しいが破壊力が抜群である。


「止めるなよ!モポス、俺はアイツを殺るぜ」


「黙れラムム、私は主様からまとめ役を任されている。従ってもらうぞ!」


 モポスの言葉にしぶしぶと言った感じで下がる。


「うむ、それでいい、さてニンゲン待たせたな。お前は何者だ?聖騎士団の者には見えないが?」


 ギロリと睨む眼光、その巨躯からかなりの威圧を感じる。


「お察しの通りボクは聖騎士団じゃないよ。ただの子供さ」


 俺はふざけて答えて見せた。

 

「そうか、ただの子供が数百体の魔物を殺して廻るとは恐ろしいものだ。これから子供だからと言って侮らず全員殺してしまいましょう」


 俺は手を上げて降参する。


「いや、止めてくれ、ただ何者かと問われても名がタクトと言うことしかあんた達に伝えられることはないよ」


「そうですか、ではタクト、あなたは我々の敵ですか?」


 モポスの問いに俺はどう答えるか考え、正直に答えることにした。


「はぁー、たぶん敵だな。ボクはこのスタンピードを止める。お前達はそれを止めさせに来たんだろ」


「その通り、主様の命によりタクト、あなたを排除します。皆さんやりますよ」


「待ってたぜモポスー!」

 鳥頭のラムムがもう我慢出来ないと言った感じで飛び上がる。


 コイツくらいアホなヤツらばっかりだと良いんだがな。

 

 ラムムが突進してくるが両側面から狼と猫の形をした魔物が気配を消して接近している。


 俺は一度止まり敢えて無防備な状態を見せる。

 

 俺がニヤリと笑うとラムムは挑発と勘違いしてもう突進、本当にアホ頭だ。安全靴発動。


『空間反射』


 鳥頭に合わせて猫と狼からも攻撃が来た。

 

「うごぉーー!?」

 お見事!ラムムは空間反射された自分の拳が直撃し顔面がはね飛ぶ。


 チッ、ラムムは見事に命中したが狼と猫は直撃を回避しやがった。なんて反射神経だよ!


 だかラムムは浮いた!喰らいやがれ!


『ビスショット(空間固定!)』


 ラムムに向かってビスが飛んでいくが突然黒い壁に攻撃が阻まれる。


『ダークウォール』


 声がする方向を見ると大きなコウモリから黒いカーテンの様な物が下ろされていた。


「アレに防がれたのか!邪魔すんなよ!『空間延焼』」


 バーナーをコウモリに向けてトリガーを引こうとした時、凄まじい雄叫びがあがる。


「ガアァァァ」

 それはただの雄叫びではない。

 凄まじい衝撃波で俺は大きく吹き飛び地面落ちる。


 離れた位置に獅子顔で人形の魔物が、

 ……アイツがやったのか?


「くっそ〜……いってぇー」

 身体中打撲やら擦り傷で痛いけどそれよりヤバいのは耳、鼓膜がやられた。耳鳴りが酷いし頭がぐらつく。


「どうやら終わりのようだなニンゲン」

 俺の前にモポスが立ちハルバードを振り上げた。


「悪い……油断した」

 

 モポスの後ろにカンナが空間転移で現れる。


「牛顔ヤロー!タクトを虐めんな!」

 カンナは腕から空間障壁を長方形に変形させて射出、モポスの顔面目掛けてぶつけた。


 カンナはスタッと俺の前に降り立った。


「大丈夫か?タクト、怪我してるところはよ治さへんと!」


 パタパタと絆創膏バンソウコウを持って傷口に貼っていくカンナ。


「カンナそのくらいで、アイツらは待っちゃくれないぞ」


 ハルバードの横薙ぎか迫り空間障壁で受け止める。


「全く持って自分が嫌になります。今の一撃は高くつきますよ」

 

 モポスはカンナの攻撃で激怒している。

 言葉使いは冷静だけど顔が全然隠せていない。


 俺はバーナーをモポスに向けるがすぐに退避される。

 バーナーは何度か見られているのか?反応が早すぎる。それにヤツらは連携をとって攻撃をしてくる以上どうしても俺達に隙が出来やすい。だからまずはコイツらのバラして仕留める。


『ダークバインド』


 空から黒い帯の様な物が降って来る。

 俺達を拘束するつもりだな!

 

『空間断絶』

 工具をニッパーに変え黒帯を切る。


「カンナ飛べ!」


「はいな!」

 元気な声でカンナは配管に飛び込んだ。配管(空間転移)で飛んだ先はコウモリの真上、


「オリャーいてまえー」

 カンナはコウモリの頭にカカト落としを喰らわせ!そこに向けて俺はビスを数発飛ばす。


「まずは一体」


 コウモリは空間固定により動けなくなる。

 残り五体、一体やられたことでヤツらの警戒感が一段と上がるだろうが、あまり時間をかけてはいられない。スタンピードを止めないと。


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