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第193話 イグニスの戦い


◆火の勇者イグニスの視点


『ファイアストーム』


『ウォーターウォール』


 炎の竜巻が水の壁に激突し水蒸気になって魔法が消失、水蒸気の中を通りイグニスが剣を振り水蒸気を吹き飛ばす。


『ウォータースラッシュ』


 イグニスに向かって攻撃、鋭い水の斬撃が複数飛んでいった。


『ヒートブレード』

 それをイグニスはそれを一刀両断にして防いぐ。



「な〜ネロ、いつまでのらりくらりとするんだ!そろそろやる気出せよ」


 俺はダルそうに剣を肩に乗せて水の勇者ネロを視界に置く。


「なぜあなた如きに本気にならないと?勇者スキルを持たないあなたを勇者とは僕は認めていないよ。周りからチヤホヤされてその気になっている偽物が!」


 俺はそれを聞いてつまらなそうに返す。


「別に俺は勇者だって周りに公言した覚えはないぞ。お前は勇者でもない俺が勇者と呼ばれているのが気に入らないかもしれないが、俺にどうしろっていうんだよ」


 その時、ネロの顔が明確に歪み憎しみの目を俺に向ける。


「お前は勇者じゃない!アテナ様に認められていないんだよ。目障りださっさと消えろよ」


 ネロの周りから大量の水が発生し渦巻き、周りにある木や岩、大地に当たり切り裂いていく。


 俺は剣を握り直すと前へと進んだ。

 

 コイツはどうしても俺を勇者とは認めたくないんだろうな。俺自身勇者には大して未練なんてないんだが、俺が勇者の剣を持っている以上どうしても勇者と俺を周りは切り離してはくれない。そして何よりコイツが俺を気に入らない理由、それは俺がアテナ様に信仰していないこと。


 別に良いだろ。俺は神を信じていない訳じゃない。ただ神に祈るよりも自分で何とかしたいんだよ!


 そう言いたいが言ったところでアイツには通じないし、むしろ怒らせるだけかもな。アイツは昔っから熱心な信者なんだからよ。


 水が鋭い刃のムチとなって襲ってくる。

 

『ヒートブレード』

 炎を出すのではなく、剣にとどめ斬るのではなく焼き斬る技。


 俺は真正面から攻撃を斬り押し通る。


「そう言う態度は気に入らないね」

 

 ネロから水流が立ち昇り、俺目掛けて滝の様に落ちて来る。


「やめろ!そんな小技が通じるかよ!」

 

 俺は少し苛立って一振りで水流を消し飛ばした。


「いつまで遊ぶつもりだ!やる気がないならさっさと退けよ!」


 ネロは不機嫌そうに長い髪を弄りながら答える。


「フンッ、まさか調子に乗っているのか?お前如きに本気にならないと言っただろ。ま〜良い、この鎧がどの程度使えるか試させて貰おう」


 突然ネロから膨大な魔力が放出される。


「行きますよイグニス」


 ネロは地面を割る程の強い脚力で接近俺に剣を振り下ろしたのだが。


 くっ…重い!?

 

 さっきまでのネロとは違う!何だこの膂力?…………そうか!さっきの大量の魔力を闘気に変えたから。


 速さもさることながら力の上がりが尋常ではない。一撃一撃が重く腕が痺れる。


 俺は剣の衝突の瞬間に炎を推進力に変えネロの力に対抗した。


「往生技が悪いですね〜。それならばこれはどうですか?」


『ブルーフィールド』


「なに!?ぐっわぁー…………」

 俺は押し流される。


 なんて大量の水だよ!

 ネロを中心とした数十メートルが水の中に閉じ込められた。これはマズイぞ!息が…息が続かない。


「それでは行きますよ!」

 水の中にも関わらずヤツの声が聞こえる。

 水中を凄まじい泳いで来る。


(クソッタレが!)

 俺と違って自由自在に泳ぎ廻れるヤツに対して俺は全く動けず、俺は切り刻まれ行き赤く水が染まる。


「そのまま自分の無力さを知り、虫けらの様に落ちなさい」


 ネロが接近し剣で鋭い突きを放つ。


(オリャーコンニャロウが!)

 俺は何とか突きの攻撃を剣で軌道をズラしヤツの腕を掴んだ。


「キサマ放せ!」


(バカヤローが放せと言って放すヤツがいるかよ!)


(いくぞ!カミラ直伝!『バーンインパクト』)


 俺は魔力を集中し強大な炎の爆発を発生させ、ヤツのブルーフィールドを吹き飛ばす。


「アタタ……最悪だ」

 俺は地面に伏せながら「ボチャボチャ」と落ちる水音を聞き最悪な気分になっていた。


「イグニスー!キサマふざけるなよ!自分ごと爆破させるなど死ぬ気かぁ!」

 

 服がボロボロとなり身体中に怪我がある状態で腕を押さえてこちらにネロがやって来た。


 俺は上半身を上げて座る。


「しゃねぇ〜だろ。俺は不器用なんだよ。他に思いつかなかったし、それに頑丈さには自信がある」


 俺は笑って見せた。


「ふざけやがって!はぁ……まぁいいさ、こんなことをしても何の意味もない」


『セイントヒールウォーター』

 ネロの傷がみるみると治っていく。


「イグニス、お前がどう足掻こうと勝てない。分かっただろ。お前は僕に勝てはしない。潔く死ね」



 俺は完全回復したネロを見る。

 不思議だな。絶対絶望に見えるこの状況になってもやっぱり俺はコイツに負ける気がしない。


 ネロはいわゆる天才というヤツだ。 

 どこぞの博士号を持つ程の頭を持ち剣の修練はほとんどしたことがないにも関わらず流れるような剣捌きをする。たがネロは戦士ではない。恐らくネロ自身に言ってもそれは理解出来ないだろう。


 だから実証してやろう。

 

 お前が戦士でないゆえに俺には勝てないと言うことを、さ〜勝負だ水の勇者ネロ。


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