第188話 宝物庫での暗躍
「わーい!わーい!」
「やめろー!無闇にブンブン振るな〜!酔うだろうが!オエー」
取り敢えずアイリスは楽しそうで良かった。剣さんはま〜どうでもいいか。
さてとそろそろ肝心の目的を果たさないとな。
どの辺で水の勇者と大司教の野郎が話をしていたんだ?……考えても分からんな。素直にアイリスに聞くか。
…………▽
「タクトここなの〜、ここでデップリした大司教のおじさんが偉そうにのけぞり返って座ってたなの」
アイリスは大司教のふんぞり返った真似をして遊んでいる。アイリスはいつも楽しそうで良いな!見ているだけで和む。
「そっか!ありがとなアイリス」
「うんなの!」
アイリスは嬉しそうに返事をした。
「それじゃ〜メガネを使って確認しますか」
俺はメガネをかけた。
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名称∶メガネ
分類∶装身具
属性∶時空間
性能∶時空間把握により過去の出来事を遡り見る
ことが出来る
制限は四十八時間前まで
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「しかしこれダルいんだよな〜ダイヤルダイヤル………あれ?ない!?確か横に時間を変更するダイヤルがついていたはずだけど?」
探していると頭の中にメガネの使い方が更新された。
「え!?……マジかよ!……メガネがレベルアップしているだと〜!?」
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名称∶メガネ
分類∶装身具
属性∶時空間
性能∶時空間把握により過去の出来事を遡り見る
ことが出来る
制限は720時間前まで
検索機能(ワードを入れることで検索)
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メガネのレンズに文字が見える。
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『検索ワードを入力して下さい』
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何を入れたら良いんだ?
密談?話し合い?打ち合わせ?……どれも合っては居る気がするけど、シンプルにゼーラント大司教にした。
すると目の前の景色が変わり、映像には二人の男が現れる。
「水の勇者……ネロだな。本当にゼーラント大司教と会っていたか」
確認は取れた間違いなく。この間会ったクソ野郎だ!ゼーラント大司教と一体何を企んでいる。
俺はそのまま過去の映像を見続ける。
……………▽
「ここで良いだろ話をしようか」
ゼーラント大司教は傍にあった椅子に座る。
「ゼーラント大司教、ここは安全なのですか?」
水の勇者は周りを少し確認すると柱に背中を預けもたれ掛かる。
「ここには特定の者しか入れん。それにもしも他の者が入っていたら見張りの者が把握しておる。見張りには先程聞いた。問題はない」
「そうですか分かりました。周りに……気配はありません。それでは例の話をお願いします」
「そう焦るでない。この作戦には失敗はない。既に作戦を順調に進んでおる。もう誰にも止められはしない」
「ほう、随分と強気な発言ですが、聖女に気取られていないのですか?霊峰ラムラであれだけ異変があれば気がつくでしょ」
「確かに聖女はすでに気がついておる。だがそれは仕方ないこと、『光石結界』を止めるにはラムラからのエネルギー源を絶つしかないのだ」
「ん……分かりました。こちらとしては支払う物さえ
頂ければ構いませんよ。未来の教皇様」
「フフッ言うではないか、だかこの作戦はネロ殿が失敗すれば計画に大きな影響が出る。水の勇者であるネロ殿が負けるとは思っていなかったが、まさか火の勇者イグニスが現れるとは」
大司教は難しい顔をしているが水の勇者は涼しい顔で言う。
「何の問題もございませんよ。イグニス程度が障害になどなり得ない」
「それは良いことだが、良いのか?勇者同士が戦えば女神が良い顔はしないであろう」
「それも問題ありません。彼は偽物ですから、全く持って汚らわしい。あんな者が同じ勇者として呼ばれていることが、丁度良いです。始末しましょう」
「頼もしいな!水の勇者ネロ殿、それではお任せする。霊峰ラムラで火の勇者一行を始末してくれ」
「えぇ分かりました。ゼーラント大司教も上手くやって下さい」
二人はそのまま宝物庫を出て行った。
分かったことはゼーラント大司教は光石結界を止める。もしくは弱めて何かをするつもりだ。そして水の勇者が聖峰ラムラの調査に行く俺達を殺しに来る。
「しかし話の内容からそこまでは分かったけど、光石結界を無効化して何をする…………まさか!?ゼーラントの目的はこの町を魔物に襲わせること?何でそんなことを!」
俺は頭を抱え考える。
これはこの町に住む全住民の命に関わること、なんとしてもゼーラントの企みを止めなければならない。
俺一人の力ではどうにもならない。皆の力を借りないと!
俺はアイリスを連れて急いで宝物庫を出た。




