第182話 狂信者
すいません遅くなりました………(ー_ー゛)
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「ア…アポローン!」……俺は叫んだ!
「煩いですよ。クソガキ」
アポロンの傍には茶髪で長い髪とメガネをかけた青色の軍服を着たいけ好かねえー男が居る。
「テメェーアポロンに何をしやがったー!」
俺は突っ込んで行こうとしたところをイグニスが制止する。
「まて!無闇に突っ込むな!殺られる」
イグニスの目つきが鋭く、そして俺を止める力が強くなる。
「なぜここに居る。ネロ・ゲラード」
「キサマこそ、こんなところで油を売ってて良いのですか?正義の味方ごっこはやめたのですかね〜」
男はイグニスに皮肉を言って、口元に手を当てる。
「ネロそいつを放せ、俺の連れだ!」
「あ〜……これですか?通りで腹のたつガキだと思いました。ほら、返してやりますよ」
アポロンは投げ飛ばされる。……泉に向かって……
「ジャバーン」
「アポロンーー!」
俺は泉に向かって飛び込む。
男はニヤリと笑い、手を動かそうとした時、
「動くなよ、ネロ!」
イグニスは剣に手をかけ男に威圧をかける。
「なんだよ。怒るなって、僕は助けてやってるんだぜ。イグニス」
「どう言う意味だ!」
「そのままの意味だよ。な〜聖騎士さん」
男はアーチに話をふる。
「あなたが言いたいことは分かります。この泉には聖なる力により特別な回復効果があります。ですがあれほどの傷は簡単には治りません」
「だけど、死にはしない……だろ。つまり助けてやったのさ」
男は一切悪びれず淡々と話をする。
「テメェーがやっておいて、どの口が言うんだよ!何があったかは知らないがやり過ぎだろ」
「フッ、バカめ!僕に逆らったんだ。当然の報いと言える」
「分かってるよ!お前に言ったところで何も変わらないことくらいはな!」
イグニスの怒りが限界値に達しようとした時だった。
「あ〜痛ってぇ〜、よくもやってくれたな〜」
「アポロン……お前……」
「うそー〜!」
イグニスとアーチは口を開けて驚いていた。
ネロと言われていた男も顔をヒクヒクさせて動揺しているように見えた。
「おい!クソガキ、何で普通に立てる?」
「うるせぇーお前に何も答えるつもりはない!女神イリス様の名の下にお前を裁く!」
アポロンから闘気が溢れる。
今にも突撃しそうな勢いだ!
「おい!待てアポロン、またやられるぞ!」
俺はアポロンの頭にチョップをかまし、アポロンは不機嫌そうに俺を見る。
「タクト、言っておくが俺は止められないからな。女神イリス様に謝罪するまでは!」
アポロンは少しは冷静になれたけど、止まるつもりはないようだ。このままこんな場所で戦われたら周りにも被害が出る。そんな中でやらせる訳にはいかない。それに恐らくアポロン自身も分かっているばずだ。あのネロと言う男には勝てないと、だけどイリスに関してネロは何かしたんだな。
「あら〜ずいぶん騒がしいですね!」
突然声が周りに響く。
その声は大きな声ではないのにはっきりと聞こえ、周りに聖なる気が満ちていく。
「聖女様………」
ゆっくりと足を進め、現れたのは聖女アンティア、殺伐とした空気の中、穏やかな表情をしており一切動揺するようなことはなかった。
「双方この場での争いを止めなさい!人が傷つくのをイリス様は良く思いません。それに周りに迷惑ですよ。やめましょうね」
聖女様の言葉は心を穏やかにする。
心が澄んでいくような気がする。
しかしネロは表情を変えず、冷たく聖女を見ていた。
「ネロ殿のお分かり頂けませんか?そうですか、それは困りましたね〜。では仕方ありません。貴方を……」
「分かりました。降参です」
聖女様が話している途中で突然、ネロは両手を上げてこちらに従う意志を示す。
「僕としては貴方に逆らっても何の得もない。それにこれ以上茶番に割く時間はないのでね。これで帰らせて貰うよ」
ネロは後ろに振り向くとスタスタと歩いて行ってしまった。
一気に気が抜ける。
あのまま戦うことになっていたら大変なことになっていた。聖女様には感謝だな。
俺は聖女様の下に駆け寄る。
「聖女様、ご無沙汰しております。先程は仲裁して頂きありがとう御座います」
「いえ、大したことはありませんよ。むしろご迷惑をお掛けして申し訳なかったわ。ネロにはまた言っておくわね」
「聖女様、アイツを知って居るのですか?」
「えぇ、もちろん知っていますよ。彼は水の勇者、理由あってこちらにお呼びたてしているのですから」
「「え!………えぇーー!?水の勇者!!!」」
俺とアポロンは思いっきり声を出して驚いてしまい。周りから白い目で見られてしまった。
「ちょっと待って下さい!アポロン何で水の勇者と揉めることになったんだよ!無謀にも程があるだろうが!」
「し、知らねぇ〜よ!俺だってあんな奴が勇者なんて思いもしなかった!それにそれなら余計許さねぇ〜、女神様の使徒があんなことをするなんてよ!」
アポロンが怒りでまた暴れだしそうだったので押さえつけて落ち着くのを待った。
「な〜アポロン、一体何があったんだよ。まずはそれを教えてくれないか?話しを聞いて理解したいんだよ」
「アイツは、アイツは決してやってはいけないことをしたんだ!イリス様を穢した!許せねぇ!」
なんだよアポロンはっきりと言ってほしんだけどな〜。それじゃ〜分かんねぇよ!」
「あの〜さ、タクト、この子が話したいことがあるって言ってるんだけど?良い」
アーチさんが十歳くらいの少女を連れて来た。
「あの〜私のせいなんです。私が水勇者様と揉めてしまって、それを助けてくれたのがそちらのお兄さんなんです」
「そうなのか、何があったか教えてくれるかな」
俺が聞くと少女は首を縦に振って応えた。
「私がお祈りをしていると、水の勇者が来て話しかけて来られたのです。私は内容はイリス様がどんな方で何が良いのか?私は知る限りのことを話したのですけど、途中で苛つかれたのです。私は何が何だか分かりませんでした。水の勇者は今度は女神アテナ様のことについて語り始めました。私なんかよりずっと詳しく長い時間、それで言ったんです。だからイリスよりアテナ様が素晴らしいからアテナ様の信者になるようにと、私はそれを拒否しました。確かにアテナ様も素晴らしい女神様ですけど、イリス様もです。どちらが素晴らしいかなんて私には分かりません。すると水の勇者の表情が変わり、イリス様の銅像に亀裂が入って、最初は何が起こったのか分かりませんでした。だけど水の勇者様の表情をみたら、やった人は明白でした。私はすぐに何であんな酷いことをしたのかと抗議したんです。次の瞬間にはお兄さんが目の前に立っていて、何かを弾いていました。その後はお兄さんと水の勇者様が言い合いになって……あんなことに………」
少女は項垂れている。俺は君のせいではないからと言って少女をアーチさんに任せる。
つまりあれか?事の発端は少女がアテナ様の信者にならなかったこと?だからってそんなに怒るか?
「アイツはアテナ様の狂信者だからな」
「え!?マジでそんなけですか?」
イグニスの言葉に驚きつつも、日頃は冷静なアポロンを見て、そう言う人達も居るんだなと納得してしまった。