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第181話 大聖堂の惨劇


「アイリス!アイリス!………」

 ルナは俺達を置いて正門を突っきって走って行ってしまった。


 ルナ……相変わらずアイリスの事になると暴走するな。あの行動は周りの人の事も考えて直して貰いたい。


「あちゃ〜行っちまったか、ルナ様に追いつける人なんて居ないからな、困ったぞ!」

 門番のガドンさんが頭をポリポリと掻きながら困っていたので聞いてみた。


「あの〜ルナにはボクから伝えておきますよ。それでアイリスに何かあったんですか?」


「そうか、君達にお願いしても良いかな。大聖堂には居られない。アイリス様は今はお仕置き部屋にいるんだ」


「お仕置き部屋?もしかしてアイリスが何かやらかしたんですか?」


「んん〜……アイリス様はとても良い子ですぐに皆に好かれたのだが、ここ最近修練の成果かユニークスキルを覚えられた。その頃から少々困ったイタズラをするようになられた」


 ガドンさんも何かされたのか?

 何かを思い出した様な顔をしている。

 一体どんな事をされたのだろうか?


「ちなみにどんなスキル何でしょうか?」


「透明化スキルだよ!みんながしているところに色々と仕掛けるんだ。この間なんて俺が門番をしている時に、知らないうちに尻尾にリボンが付けられたよ!しばらく気が付かなかったからみんなから変な目で見られていたみたいで、後で説明するのが大変だった。俺にはそんな趣味はないってのにな〜」


 ガドンさんは大きなため息をついた。


 透明化スキルか、そりゃ〜イタズラしたくなる。想像しただけで面白い。とは言ってもイタズラされる側からすればたまったもんではないか、なるほど、それでお仕置き部屋ね。


「分かりました。ではルナを追いかけます!ガドンさんもお仕事頑張って下さい」


…………▽

 

 俺達はルナがイリス大聖堂に向かったと思い来たのだが、中の人に聞くと既にルナは居ないとのこと、だぶん既にアイリスが居る場所も知っていそうだな。


「せっかくだし大聖堂の中でも見学しようか、だから落ち着けアポロン、ゆっくり見よう」


 アポロンは大聖堂に入ってからずっとソワソワして落ち着きがない。来る前からずっと楽しみにしていたのは知っているから、俺としても慌てる理由も無くなった訳だし、じっくりと見て廻って欲しい。


「本当か!タクトは良いやつだな〜、それじゃ〜行って来る〜」

 すごい速さでアポロンは行ってしまった。おいおい一緒に廻らないのかよ!


「タクトどうする?アポロンのヤツ行っちまったけど、俺達も廻るか?俺は正直興味ないんだけどな」


「うん。ボクも興味がある方じゃないし、そもそもイリスに会ってるからね。あんまりなんだけどせっかくだから少しは廻ろうかな」


「ん!そうか、なら付き合うぜ」

 イグニスもついて来るのか?ちょっと意外だな。外でタバコでも吸ってるとか言って出ていくと思ったけど。


「それにしても綺麗だな〜、壁は大理石で出来てるのか?どうやって作ったんだろう。この世界にも建築技術があるのかな〜」


「そうだな。綺麗だな。それは良いんたけどよ!腹減らないか?」


「なんだよもう飽きたのかよ!取り敢えずこれでも食っとけ!」

 イグニスに魚肉ソーセージを渡す。


「おうこれこれ、旨いんだよな〜これ!」

 モグモグと食べ始める。


「ちょっとそこのあなた達!ここは飲食禁止よ!ダメじゃないの!」


 結構離れた位置から大声でお叱りの声が響く。確かに俺達はルールを破ったかもしれないけど、ここは大聖堂で信者の皆さんが祈る場所、この人も結構非常識なのでは?……あれ!この人。


「アーチさんじゃないですか、お久しぶりです」

 

「あれ〜、タクトくんじゃん!やっほ〜」

 

 俺達を注意しに来たのは、ルナの部下であるアーチさんだった。騎士団の人の割には軽い。


「すいません、ここって飲食禁止なんですか?そうですよね。こんな神聖な場所で魚肉ソーセージって、今思うと神への冒涜かもですね」


 ま〜後でイリスに謝っておけば良いけど。

 


「うん、基本的にはね!だけど注意程度だから心配しないで、そっかタクト達のことだったんだ」


「ん?何かありましたか」


「えっとね。騒ぎを起こしろうな不審な人達が居るからって、どうにかして欲しいって友達のシスターに頼まれたのよ!タクト何かやったの?」


「いや……なに……あ!?もしかしてアポロンか!」

 思い出した。アポロンがここに入った時からそこら中うろちょろとして更に騒ぎ廻っていたからシスターさん達……困っていたのね。


「ごめんなさい。だぶん連れが騒いでいたからそいつだと思うよ」


「ふ〜……それじゃ〜悪いんだけどあんまり騒がないでね。場合によっては出ていってもらわないといけなくなるからさ」


「はい、すいません」

 急いでアポロンを探さねば!


 俺はアーチさんに事情を説明して、アポロンがいそうな場所を案内してもらう。



「たぶんこの先だと思うよ。女神イリス様の銅像とその周りにある聖なる泉がこの大聖堂のイチオシなんだよ」


 そんな観光スポットみたいに言われても……でもま〜それな場所ならアポロンも居るだろう。


 俺達はそのイチオシの泉とやらを見に行く。……でもまさか、あんなことになっているとは思わなかった。


「……………ア…ポ…ロン」


 目の前には赤く血に染まった泉と血だらけで吊るされぐったりとしているアポロンが居た。



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