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第177話 タクトの為なら……


「ソウルフロンティアか……良いんじゃなの」


「ふ〜良かった。イリスに断られたらまた考え直さないといけなかったよ」


「あなたが作った町なんだから私なんて気にしなくて良いじゃない」


「そうは言うけどここに居るみんなは気にするんだよ!」


 今いるのはイリスの教会、町の名前を決めたのでイリスに承諾を得ようと来たら、町のみんなが集まっていた。どうも父さんと母さんがみんなに声をかけてくれたようだ。


「タクトありがとうソウルフロンティア、良い名前だよ」


 バロンさんが笑顔で褒めてくれた。

 いや〜ボクとしてもバロンさんにぶん投げようとしていただけに嬉しいです。


「おう!タクト俺も良い名前だと思うぜ!俺はここの皆に返しきれないほどの恩があるからよ。良い町なるよう全力で手伝うからなんでも言ってくれよな!」


「うん!イグニスありがとう。その時は勇者の名声も使って手伝って貰うから」


「なんだよ嫌味かよ」


「違うよ!最初の目標が住民千人なんだからな。それくらいやらないと集まらないだろ」


「そうか〜説明をしっかりすれば、こんないいところないからよ〜。すぐに集まると思うけどな〜。な〜カミラ」


「もちろんよ!イグニス、ここであなたとまた一緒にいられて私は幸せ」


「俺もだよ!カミラ………」


 二人は抱き合う。

 

 のろけは要らないんだよ!

 この町に関係ないじゃないかよ!


「おめでとうタクト……これで町長としてやっていけるね」


「ん?……あぁありがとうノルン、やっとスタート地点に立ったって感じだけど、ノルンも手伝ってくれる」


 ノルンはハッとして少し間を置き

「………仕方ないはね〜タクトには私がいないとダメだからついていてあげる」

 フッフ〜んっと腕を前に組んで嬉しそうなノルン。


「ノルン安心しなさい。私がいます!ですのでタクトのことは任せなさい」


「あら?ルナお姉様、それは無理ですことよ。ルナお姉様ではまだまだタクトのことは分からないでしょ、とても任せられませんわね〜」


 ゴーーー……… 

 二人から闘気がメラメラ上がる。

 関わらないことにしよう。


 少しずつ離れていくと父さんが来た。


「タクトおめでとう、父として誇らしいよ。母さんなんて見てごらん。嬉しすぎていつもなら抱き着くのに離れちゃってるよ。カワイイね」


 母さん……逆になるってどういうこと?

 柱の後ろに隠れている母さんは確かに可愛かった。


 しかしそこまで嬉しいことだろうか?

 町の名前を決めただけなのに……


「なんや、町の名前を決めただけなのに、なんでこんなに喜んでるんだろうとか思ってそうな顔やな〜」


 カンナ〜……なんでそんなに的確に言うのよ!


「そもそもタクトは名前でえらい困ってたやん!タクトかて……名前がメッチャ重要って思うてたんや!みんなもそうやで!」


 確かに……カンナに言われて気がついたけど、俺ってメッチャ悩んでたわ!


「せやからタクトが頑張った意味はメッサあったんやで、みんな嬉しそうやろ」


 俺は周りのみんなを見て喜んでいるのが伝わって来た。

 そっか……俺は良いことが出来たんだな。

 ちょっと嬉しく思えた。


「みんな少し良いかしら」

 イリスは壇上に上がり声をかける。

 みんなすぐに注目した。


「あなた達がこれからどうするかは、私からは言うつもりはないわ。あ!タクトは関係ないから聞き流しなさい」


 え?……俺はダメなのか。


「それでも知っておいて損はないと思う。今あなた達が住んでいた国は滅びの一途をたどり始めている。これは裏でゴエティアがやっていること、それを救うも見過ごすのもあなた達次第よ。もう一度言っておくけどタクトは関係ないから聞き流しなさい」


 分かったから何回も言わないでイリスさん。


「イリス様、一つ宜しいですか?」

 ノルンが手を挙げイリスに伺う。


「何かしら、言っていいわよ」


「はい!ありがとう御座います。私がお聞きしたいのはタクトはその……今回の事件に関わることになるのでしょうか?」


「そうね。一応私はこの国の女神だもの、私に助けを求める者が居れば、女神として救いの手を差し伸べようと思うは、そしてそれは使徒であるタクトの役目でもあるのよ。だから…そう言うことよ」


 ルナさんがノルンの横に立つ。


「それならば我々ももちろん協力する。そうだなノルン」


「はい!ルナお姉様、それが答えなのです。私達はこの国を救います」


「そう、それは良かったわ。どうにもタクトだけだと心配だもの、あなた達二人だけではなく、ここに居る皆が国の為…そしてタクトの為に動いてくれるのね。喜ばしいこと、タクト良かったわね」


 俺は急に振られてドキッとする。


「え!?あ……うん!みんなありがとう。ボクだけだときっと無理だと思うけど、ここに居るすごい力を持ったみんなとならやれる気がするよ!だから、ボクに力を貸して欲しい」


 みんなは「もちろん」や「任せて」など誰一人として嫌な顔をせず手伝ってくれるみたい。正直俺が一番乗り気じゃないんだけど。一人なら嫌だけどみんなとなら頑張れそうだ。


 さっさと片付けて早くのんびりと平穏な生活に戻りたいや!

 

 俺は心の中でボヤき、そして王都へ向かう決心をした。


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