第174話 ……もう諦めるのだ
ルナが母さんとお風呂に入っている時、俺は部屋で悩んでいた。
「まだ考えているのか?町の名前など何でも良かろう。無難な名前をつけておけなのじゃ」
「ボクも立場が違ったら先生と同じことを言ってたと思う。だけどいざ町長なんかになるとさ、責任感みたいなのが出てするんですよ!だから適当に名前がつけられねぇー!」
「はぁ〜面倒じゃのう〜、ま〜好きにせい!我はそろそろ寝る。寝床を用意せい」
「へ〜い」
空返事でせっせと植木鉢に水を与え、適度に湿らせ先生が丁度いい硬さな土にする。
「出来ました!それじゃ〜入れますね」
俺は先生を鷲掴みにして植木鉢に突き刺す!
「うむ!流石はタクト、心得ているな!上の方が硬い方が寝心地が良い!先に下の方を柔らかくするために筒を刺して底に水を入れる心意気あっぱれじゃ!」
「はぁ!ありがたき幸せで御座います〜」
ロームとタクトのやり取りを見て、毎度やってるけど飽きないのか?この二人は、そう思ってならなかった。
「そうだ!タクト、ヘカテー様に会ったみたいだな。………良く生きて帰って来れたのだ!」
「え!?やっぱ危険だったのかよ〜。メッチャ怖かったぞ!」
俺はその時を思い出しブルッと震える。
「ヘカテー様は日頃はとても物静かで話の分かる方なのだ!でも一度スイッチが入ると誰も止められないのだ!」
「あ〜……そんな感じたな。それにしても良く分かったな。ボクがヘカテー様に会ったって」
俺はまだヘカテー様の件については、イリス様にしか話していない。
「タクトからヘカテー様の神気を感じるのだ!何かされたのだ?」
「お〜うそうなんだよ。ボク…ヘカテー様の使徒になっちゃってさ!」
「ガン………ガタガタガタ………」
あれ?どうしたニキ?
ニキは突然飛び退き棚に衝突、本が散乱しニキが埋もれて見えなくなった。
「お〜い!ニキ、なに遊んでるんだ〜」
俺は散乱した本を退けてニキを抱き上げた。
「タ、タ、タクト……それはマジなのだ?」
「いや……マジだけど……ステータス見るか?ボクもまだ見てないから丁度いいよ。
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『タクト』 Lv:55
【種族】ヒト族
【年齢】15
【職業】町長
【称号】神の使徒 悪魔の王を倒せし者
勇者を倒せし者
【加護】イリスの加護
ヘカテーの加護
【HP】1890/1890(+0)
【MP】6500/6500(+0)
【魔力】1890(+0)
【筋力】150(+0)
【耐久】220(+2)
【敏捷】282(+2)
【運】 100(+0)
【ユニークスキル】ツールボックス Lv.2(人化)
new!陰陽道 Lv.1
【レアスキル】 地の精霊魔法 Lv.up9
雷魔法 Lv.3
【コモンスキル】剣術 Lv.2 体術 Lv.up3
生活魔法 Lv.2 魔力操作 Lv.5
言語理解 Lv.1 料理 Lv.up5
掃除 Lv.2 採取 Lv.2 隠密 Lv.2
M Lv.1(ブタ野郎!)
◆ツールボックス
道具 プラスドライバー
マイナスドライバー(貫通追加)
精密ドライバー
ニッパー
絆創膏
ハンマー
メガネ
ライト
作業手袋
ヘルメット
タブレット
配管
バーナー
蛇口
エアコン
ドリル
安全靴
テスター
バッテリー
ナイフ
携行缶
◆陰陽道
術スキル 冥界への許可
天界への許可
視える人
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「あ!ちゃんとヘカテー様の加護が付いてるよ!ニキこれで分かった?」
「タクト……もう諦めるのだ。人生を…来世を……」
ニキがガックリしてくら〜い雰囲気になる。
「なんだよ。そんなどんよりして、それになんで人生と更に来世まで諦めないといけないんだよ!」
「タクトが何を言ったかは知らないけど、たぶんヘカテー様に気に入られた。この先の人生どころか死んだあともずーっと放してくれないのだ!だから来世もなのだ!」
「あ〜なるほど……いやいやそれは言い過ぎだろ!…………助けて下さいニキさん」
ニキのジトーっとした目に嘘が感じられなかった。俺は絶望しニキを頼る。
「ん〜……俺もタクトの役に立ちたいとは思うのだ。でも嫌われるようなことをすれば、今度は地獄から出してもらえないのだ!」
「…………良い手はないと、ま〜一応最悪は方法が無いわけじゃないから、そっちに頼るよ!寿命が尽きる前になったら」
俺はニキと話をしている間に実は対策は思いついていた。上手く行くかは断言出来ないけど神頼みってヤツだ!無理したら即地獄行きより、イリスに頼む方がよっぽどマシなはず!
「確かにまだ先の話なのだ。それじゃ〜直近の話もしておくのだ。タクト…あまりそのスキルを多用するな!ヘカテー様の力は効果は絶大だが、その分厄介なリスクが付きまとう。ま〜いわゆる対価みたいな物が、Lv.を上げずに放っておくのだ!そうすれば間違って使わずに済む!これは忠告たのだ〜」
ヘカテー様と言う恐ろしい女神のことを考えれば、ニキが今言ってくれた内容はとても重要なことだと思うことが出来た。
俺は心の中で強く
このスキルを使わないことを決める。