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第173話 タクト家へ訪問②


◆ルナの視点


 あれから食事に妖精のロームさんと犬のニキが加わった。この二人が入ると一気に騒がしくなった。だけどタクトは楽しそう。私はそんなタクトが見れて幸せな気分になった。


 それにしてもタクトは知れば知るほど驚かされる。言い方が良ければ飽きない。悪く言えば心臓が持たない。そんな人、今も滅多に人の前に現れない妖精と見たことも聞いたこともない喋る犬が居る。本当ならもっと色々と言いたいけど、さっき女神様に会ったからか意外と落ち着いていられた。


「ルナさんもういいですか?」


「えぇ、とても美味しかったです」

 いつもより食べてしまいました。戦士として満腹にしては動けなくなります。常に腹八分目に抑えなければいけません。


「そっか、もっと早く言えば良かった。デザートにチーズケーキを出そうと思っていたんですけど」


「タクト食べます!」


「え!?食べるんですか?お腹大丈夫です?」


「大丈夫です!全然余裕です!」


 真の戦士はお腹がいっぱいでも動かないといけないのよ!

 タクトの出してくれたチーズケーキは前と違いレアチーズケーキと言うもので、また違った味わいで最高に美味しかった。

 


「あ!そうだ言ってなかった!今日ルナを家に泊めたいんだけど良いよね!」


 タクトが私を家に泊めるために両親に聞いてくれた瞬間、ほんのほんの一瞬、身体がゾワッとする!


 また……背中に汗が……一体なんなの?


「あ〜もちろん良いよ。もしかしてルナさんもこの町に住むのかい?」


「ん〜まだ分かんないけど、しばらくは居ることになると思うから明日にでも家を建てようかと思ってる」


 あれ?聞き間違いかしら、私としては図々しい話だけど、親密度を上げるためにもしばらくタクトの家に泊めてもらおうと考えていたんだけど、私の家を建てるって聞こえたわ。家を建てるのはそんなに簡単な話じゃないし時間もかかる。だぶん聞き間違いね!


「そうか分かった。じゃ〜今日は家に泊まるわけだ。部屋はタクトの隣の部屋で良いかな?」


「はい!もちろんです!」

 出来ればタクトと同じ部屋が良いけど、いくらなんでも早いわね!それに私にも心の準備があるし。


「ルナさん、泊めるなら寝間着が必要ね」


「は…はい、出来れば貸して頂けると助かります」


 タクトのお母様……すごく可愛らしい顔をしているのに、なぜかどうしてもゾクゾクする。


「あ!母さん、大丈夫だよ!ボクがパジャマを用意するから」


「そう、流石はタクちゃんね!えらいえらい」

 

 タクトに抱き着きヨシヨシと撫でている。

 タクトはお母様は息子を溺愛している。

 もしかしたらワタシ…………警戒されてる?


「それじゃ〜部屋に案内するよ」


「ありがとうタクト」


 食事を終えた後、タクトに案内されて二階に上る。


「屋敷に比べると狭いと思うけど、住心地は悪くないと思うから」


 そう言って部屋の扉を開ける。中は真っ白な壁でベットと小さな机と椅子が置かれているだけの簡素な部屋だった。


「ここは空き部屋だから何もないけど、何か必要な物とかあるかな?」


「いえ、寝ることが出来れば特には……」


「そう、良かった!でも暇かもしれないからこれを置いておくね!」


 タクトは机にカラフルで四角い物を置いた。


「面の色を合わせるオモチャだよ!結構難しいからあんまり考え過ぎないでね〜」


 そう言ってタクトは部屋から出て行った。

 私は周りを見回してから色々なことがあったことを思い出し、少し疲れたのでベットに寝転がった。


「なにこのベット、超フカフカなんだけど〜

気持ちいい〜…………」


 私はいつもならしないけど、ベットでゴロゴロと寝転がって休んだ。いつもなら剣の訓練をしているんだけど、せっかくタクトが用意してくれたオモチャがあるんだから少しは遊んでみよう。



「一面……んーーあとちょっとなのに〜」

 

 少し……ほんの少し遊ぶつもりだったのに、あれからどれくらい経ったのだろう。でも間違いなく私はハマっていた。私は剣術を高めるために遊んでこなかったから、こう言った物に免疫がない。やってみると面白いものね。でもやり過ぎないように気をつけないと、……でもあと一面だけ!


「コンコン」

 扉をノックする音がした。


「はい、何でしょうか?」

 私はオモチャを机の上に慌てて置き扉を開いた。


「お母様?」

 扉を開くとそこにはタクトのお母様がいた。


「あらあら、ルナさんお母様と呼ばれる覚えはまだないわよ」


「あ!いえ、そういう意味では」


「うふふ、冗談よ!でも出来ればミルキーと呼んで頂けるかしら?」


「はい、分かりました!ミルキーさん」


「ありがとう、お風呂が沸いたから入ってもらえるかしら」


「え!?お風呂に入れるのですか?」


「ふふっ驚いた!そうよね貴族様でもないと普通水浴びくらいしか出来ないものね。でもこの家はタクトが建ててくれてね。お風呂もあるのよ」


「え!?この家はタクトが建てたのですか!?」

 私はまた驚かされてしまった。

 それからミルキーさんに連れられてお風呂場に着いたのだけど……何でこうなるの?


 私は服を脱ぎ、お風呂に入ったまでは良い。


「ルナさんとっても肌が綺麗ね!やっぱり若いって良いわね〜」


「いえそんな、ミルキーさんもとても綺麗です」

 これは嘘ではない!ミルキーさんの年齢は知らないけど、タクトを生んだ母親とは思えない肌の綺麗さ、それに胸が大きいのにくびれがあってすごく魅力的なスタイルをしている!


 今私はミルキーさんと一緒にお風呂に入っていた。ミルキーさんが言うにはお風呂の入り方を教えたいとのこと、そんなことを教えて貰わなくても入れるのに、でもこれもチャンス!お母様との親密度を上げるのよ!


「まずは軽く身体にお湯をかけて、これを使って身体を洗ってくれる」


「は、は〜……これは何ですか?」

 見たことのない入れ物を渡された。


「これはボディソープよ!身体を洗う…う〜ん石鹸みたいなものよ。ほら、手を出して」

 

 手を出すと白色の液体を手の上に出される。


「それを身体に付けて洗ってみて」

 ミルキーさんに言われた通り身体に擦ると泡が立ちいい匂いがする。


「ふふっ、色々と分かりづらいから、私が先に洗うからルナさんは真似して洗ってね!」


 それから言われるがまま、身体を洗う。

 すごくスッキリした。特に髪なんて今までとは比べ物にならないくらいサラサラ、すごい!


「身体は洗い終わったわね。ルナさん湯船に浸かりましょ」


「はい!」

 湯船は二人が余裕で入れるくらい広かったので十分に足を伸ばしてくつろげた。


「はぁふぅ〜……」

 あ〜気持ちいい〜こんなに安らげたのはいつぶりだろ。


「ふ〜……ルナさんどうかしら家のお風呂は、とっても気持ちいでしょ」


「あ!はい、すいません!気持ち良かったので気が抜けてました」


「良いのよ!お風呂ってそう言う場所じゃない。むしろ最高の褒め言葉よ」


 ミルキーさんの笑顔は同じ女性から見てもとても素敵だと思う。その後タクトの昔の話を聞かせてもらいとても有意義なお風呂となった。


「ふぅ〜サッパリした。ルナさんこっちにおいで、頭を乾かすから」


 私は言われるがまま椅子に座る。


「すごいです!何ですかその暖かい風を出す道具は?」


「これはドライヤーって言う道具らしいわよ!髪を乾かすための物らしいわ!ルナさんの髪は長いから乾きにくいでしょ、そう言う時には特に便利よ!さぁ!前を向いて乾かしてあげる」


 はぁ〜気持ち〜

 今までメイドに髪を拭いてもらっていたけど、断然コチラの方が気持ちし、それに乾くのが早いわ!


 ミルキーさん、ちょっと前までは私のことを警戒しているかと思ったけど気のせいだったみたい。一緒に居てこんなに落ち着ける人は初めてかも、私は目を瞑りリラックス状態になった。


「ねぇ〜ルナさん、一つお願いがあるの」

 ミルキーさんの優しく心地よい声。


「何ですかミルキーさん」

 私は完全に気が緩んでいた。


 ミルキーさんはドライヤーを止めて、私の肩に手を置いて顔を近づける。


「タクちゃんに手を出すのなら必ず私を通すのよ!お願いね!」


 サーッ……一瞬で火照った身体は冷めてしまった。


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