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第145話 恐ろしく強い


「上手くいったのだ!」


 確かに上手く誤魔化したか、まさかあんなにウキウキした足取りで帰るかね。


「今頃ヘル姉は口にタバコを十本くらいくわえて吸いまくっているに違いない。これだけは止められないっていつも言ってたからな」


 俺は吸ってないから分からないけど、止められない人は多いと聞く。これが依存症と言うやつか、おかげで助かったけど……


「タクト助かったのだ!俺の予想通り、タブレットは色々なものが出て来て羨ましいのだ」


「そりゃ〜どうも、それよりニキ隠せ、ぶらぶらさせるな」


 俺は早速タブレットで服を購入しニキ渡すと面倒くさそうに着替えた。


「着替えたのだ!」


「良し!それでこの後はどうする?」


「そうだな……まずは宝玉を戻して結界を張り直さないと、ハク〜移動をよろしくなのだ!」


「まったくお前は……仕方ない」

 

 俺達はハクの力で再び瞬間移動し、元々宝玉が収められていた六十階層に飛んだ。


………▽


 カコッと宝玉を台座に収める。

 ハクがその後、宝玉に魔力を込めると魔力陣が無数に展開され地面や天井に広がる。


 ダンジョンが震えた。まるで生き物のように脈動する。俺はそれをドキドキしながら見守っていた。


「ふぅ〜完了だ!結界自体はこれで僅かな綻びもなくなった。これで私も安心して寝れる」


 話によると宝玉が盗まれた後、ハクがそれに代わり結界の維持をしていた。そのため休むことが出来ず困っていたとのこと、それならアンディから宝玉を取り戻した時点でニキは帰るべきだった。この辺にニキの自由ぷりが垣間見える。


「それじゃ〜私は戻ってしばらく寝る。お前はしっかりと門番を務めろ!いいな!」


「イヤなのだ!」


「なにーお前な〜」


 ニキの言葉にハクが頭を抱える。


「どう言うことだニキ」


「俺はタクトとしばらく地上で遊ぶのだ!だからしばらく頼むのだ〜」


「頼むのだ〜って、お前な〜またヘル姉にどやされるぞ!それに巻き込まれる私の身にもなれ」


「大丈夫なのだ!タバコがあればなんとかなるのだ」


「それは〜……確かに!それじゃ〜ここはどうするんだよ」


「問題ないのだ!そもそもここまで来れる冒険者なんてほぼ居ないに等しいし、それに変わりを用意するのだ!それなら文句ないのだ」


 ニキの影から巨大な黒い狼が飛び出た。


「コイツに宝玉を守らせる。きっと俺よりもしっかりと守ってくれるのだ」


「それはそれで最初からやっとけよバカ!わ〜ったよ!仕方ないお前は結構頑固だからな。言っても聞かないか、しばらくは許してやるよ」


「やったーなのだ!ハクはやっぱり優しいのだ〜」

 ニキはハクに抱きつき、ハクは満更でもないご様子、この二人って……付き合ってたりするのかな?


「それじゃ〜帰るか」

「ちょっと待つのだ!せっかくだから魔物を倒してお金を稼ぐのだ」

「あ〜それは良いけど、ニキここって……」

「大丈夫なのだ!この階層には魔物はいないけど上の階にたくさんいるから安心しろなのだ!今回はタクトにたくさん助けられたからお礼に俺が魔物を倒して大金持ちになるのだ〜」


 ウキウキ顔でニキは歩きだす。

 どうもギャップがすごい。見た目がイケメンの青年なのに中身は少年って感じだ。なんか勿体ないかも。


 上の階層(59階層)に上がると、すぐに魔物が集まって来た。


「ヤバいぞ!ニキ、コイツらは!?」

 集まって来た魔物は下層で遭遇した謎のオーガ、あの時かなり苦戦した魔物が十数匹は居る。こんなの相手に出来るか!


「ラッキーなのだ!いつもはこんなに集まって来ないのに、結界を形成した魔力に呼び寄せられて集まったのだ」


「ニキヤバいぞ!コイツらこの間の魔物だ!ジェーさんですら見たことのない新種の魔物だぞ」


 そこにハクが話に混ざる。


「タクト、そいつは新種でもなんでもないぞ。そいつはドラゴンオーガ、この階層には前から居る。変わった進化をしたよな〜コイツ、元はドラゴンなんだけどな」


 ドラゴンオーガ?

 あれ?俺達った確かオーガドラゴン討伐の依頼を受けたんだよな〜。もしかして名前の間違いか?いやでもジェーさんも違うって言っていたわけだし訳が分からなくなってきた。


 俺が依頼の件で頭を悩ませていると、


「それじゃ〜チャチャとやってくるのだ!」

 ニキが低い姿勢を取り突撃するつもりだ。


「待て!ニキ、あの数は相手にするのは無謀だ!ここは逃げるぞ!」


「ま〜タクト大丈夫だからお前は見ていろ」

 

 俺がニキを止めようと踏み出すと、ハクが俺の肩に手を置き止める。

 俺はそれを振り切り進もうとするがビクともしない。そしてニキは飛び出してしまった。


 戦いは一分にも満たなかった。


 戦いは一言で言えば圧倒的、ニキは一切魔物に攻撃を許るさず、糸を縫うように走り魔物を切り裂いて行った。


 なんとなく話の流れからニキが只者ではないと思っていたけど、愛らしいいつものニキの姿を思うとイマイチ信用出来たかった。だけど目の前でこんな光景を見せられれば信じるしかない。ニキが恐ろしく強いことを………


「はぁ〜終わったのだ!タクト素材が傷まないように全部首を切り落としたのだ!えらいのだ!」


「お〜えらいえらい……」

 物騒なことを言っているが中身は可愛いままのニキ、出来れば人の姿から早く犬に戻ってほしい。今も頭を撫でて欲しかったようで、頭をこちらに下げて撫でることを要求、でも人の姿だと意味が分からん!早く戻れ!


 ドラゴンオーガを回収、これだけ集まればそれなりにお金にはなるはず、これは意外と連れてこられて正解だったかも知れないな。


 俺達はハクと別れの挨拶をしてみんなの下へ戻ることにした。


 戻った先ではすぐにみんなと合流することが出来た。

 みんなは俺とニキが下層に戻ることを信じて待っていてくれた。俺は今までの経緯を説明、ドラゴンオーガを大量に倒したことで目的を達成出来ると判断した俺達はダンジョンを出ることにした。


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