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第143話 ヘル姉現る


「さ〜食べてくれ!旨いからよ!」

 

 テーブルに置かれたのはモ◯ハンでる巨大な骨付き肉な盛りに盛った野菜のサラダ、そして直径一メートル位ある鍋にスープ、しかも一人一皿、ここは巨人の国か?


 ハクは皿を並べ終えるとエプロンを脱ぎ椅子に座る。


「いっただきまーす!」

「ちょ!待てーい!」

 俺はここに来てようやく止めた。


「どうした?冷めないうちに食べようぜ」

 ハクは気にしていないけど、流石に俺が気になって食事なんか出来るか!


「ハク、服を着ろよ!エプロン脱いだらマッパじゃないか、それに今更だけど人になれるのかよ」


「何だよ!いっぺんにどうでもいいだろ」

「よかねぇ〜よ!チラチラ気になって仕方がない」

 大きくはないが小さくもないそれが視界に入ればどうしても反応してしまう。ラッキーとか思う面もあったけど食事をしながらはダメだ!


「ん〜なんだよ。面倒くさい奴だな。悪いが服とか無いんだわ」


「なんでエプロンがあるのに服がないんだよ!」

「あぁ、あれなコイツの趣味だ」


 ハクはニキに指を指す。


「ニキ、おまえ……」

「何なのだ?タクト」

 ニキはすでに骨付き肉にかぶりついて話を聞いていない。いつもながらの食いしん坊ぷりだ。



「あ〜もうなんでも良いからこれを着てくれ」

 俺は速攻でワンピースを買い着させる。


「お!これ可愛いじゃん。動きやすいし最高!」

 ハクが駄々をこねて来てくれないかと思ったが意外とあっさりと受け入れてくれた。これでやっと落ち着いて食べれる。


 ハクの作った料理は美味しかった。大味ではあると思ったけど、これだけ豪快な料理ならこの味付けは良いと思い食べたが、量が物理的に無理だ。申し訳ないけど残してしまい。それをニキがペロリと平らげる。


 食事を終え、この後どうするのかと尋ねる。


「ヘル姉にどう説明して穏便にすませるか、発言をしくると首が吹っ飛びかねないからな。ニキ分かっているんだろうな」


「ハク、任せておけ俺には秘策があるのだ。ヘル姉を上手く躱すのだ!」


「ニキが何を考えているか知らないが、私を巻き込むな!お前のおかげでいつも関係ないのにぶっ飛ばされる身にもなれ」


 ワーワーと言い合いをする二人、一番関係ない自分としては勝手にしてほしいと思う。


 しばらく待っても一向に言い合いが終わらない。まだまだ時間がかかりそうなので、外に出て少し見て廻ることにした。


 周りは殺風景なものだった。しばらく歩いても何も無い。ここがダンジョン最深部ならお宝の一つでもあると思ったけどガッカリだ。結局ただ歩いていただけ、でも歩いている間ずっと気になっていた物があった。


『巨大な門』ここに来てすぐに気にはなったけど、ハクが言っていたが触るのは危険らしい。あの世に繋がっているなら当たり前かも知れないな。


 巨大な門を見上げていると……「ゴトン……ギィー」

と大きな音を立て門が開いてしまった。


 ヤバいヤバい何でだ!

 俺はどうすればいいか分からずあたふたしていると門から女性が出て来る。


 ザッザッっと足音を鳴らし……


 その女性はかなり奇抜な見た目だった。

 髪は長く腰のあたりまで伸ばし半分が青くもう半分が赤い、それに合わせて目の色も同じように違う。オッドアイと言うやつだ。さらに変わっているのが服装、あれはセーラー服じゃないか?しかもスカートが長く昭和時代のスケバンみたいだ!?


「おい!お前…何見てんだ!」


 あ!……絡まれた。

 ハク以上に鋭い眼光、一瞬に何かに貫かれたかと思うほどの衝撃。


「べ、べつに門見てただけです」

 俺は……ビビってしまった。

 不良に絡まれた学生の様な反応をする。


「あ!なんだと、言い訳してんじゃねぇ!見てたかって言って!……ま~いい、それより聞きたいことがある。ニキの野郎が戻ったって聞いたが、アイツどこに居る!」


 あ!……この人もしかして………


「えっと……あの家の中に居ます。呼んで来ましょうか」

 

 居ない。女性は消えていた。

 俺が指を後方にあるニキ達が居る家に指を差し、ほんの少し彼女から目を離しただけなのに……そして1秒後、後方から爆発するような音と「ニキーここかーー」と言う怒鳴り声が聞こえた。後ろを振り向くとニキ達が居る家が木っ端微塵に上空に吹き飛んでいる。


 俺は「はぁーー!?」と目を見開き驚き、そして見続ける。


 女性は振り下ろした体勢で、吹き飛んだ先を見る。何かを見つけたのか?ニヤリと笑うと再び忽然と消え、上の方から「ゲェ!」と聞こえたので見上げると、女性に首を絞められているニキがいた。



「よぉ〜会いたがったぜ〜二〜キ〜」

「ヘルねぇ〜……まずは話を…」

「あ〜はなし…いいぜ!話な!……じゃ〜拳で語ろう」

「ちょ!待つのだー!」

 

 女性の拳はニキの頭を撃ち落とす様に落ち、ニキは急落下、真っ直ぐに地面に落ち、痛みで転げ回っている。


「のぉーー頭が割れたのだーー!」


「そのくらいで割れるか愚弟が!いつもいつも少しは反省しろ!」

 

「ぐへぇ〜」

 女性はニキの腹を踏みつけて動きを止めた。


「おい!ハク、さっさと出て来い!」

 身体がピリピリするほどの大声に反応したハクはかなり離れた瓦礫の下から「はいー」と声をだし直立に立ち上がり、目にも止まらぬ速さで女性の下に移動した。


「よし来たな!ハク説明しろ」

「ヘルねぇー了解しました!」

 ビシッと敬礼をしてハクは包み隠さず説明をする。


…………▽


「ニキ、覚悟は出来てるんだろうな!何回言っても聞かないヤツは、姉ちゃんとしてしっかりと身体に教え込んでやらないとな」

 女性は拳を振り上げだ。


「アババババババババ」

 ニキはガクぶるでまともに喋れていない。

 仕方ないヤツだな〜


「反省しろや!ニキ」

 拳を振り下ろした。


……『空間障壁』………「ガンッ」


「おい!どう言うつもりだぁ!邪魔するってことは覚悟は出来てるんだろうな〜オイ!」


 俺はニキの前に空間障壁を張り、女性がニキを殴るのを邪魔した。


「うん、ま〜なんと言いますか、……ニキは友達なんでそれ以上やらないで下さい」


「お〜…タクト〜」

 うるうるとした目線をこちらに向けるニキ、しかし俺はそれを見る余裕が全くない。


 身体をまともに動かせなくなる凄まじい圧力、それを受けた俺はすでにライオンの前にいるバンビの如く足を震わせていた。


あ〜オレ、死んだかも……


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