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第141話 新たなる脅威?


『空間破砕』


 巨大なドリルと化した右腕を魔物に叩き込む!


 何の感触も無かった。


 だけど間違いなく魔物は倒した。


 何故なら魔物は叩き込んだ腹を中心に渦を巻くように切れ目が入り、そして跡形もなく空間に飲み込まれていった。


 空間破砕……その力はその名の通り空間を破壊する。

 

 空間は破壊されると元に戻ろうとする性質がある。

 金属のプレートが空間を切るように破壊し、破壊された空間は元に戻ろうとして近くにある物を巻き込みながら縮み収縮した。


 つまり今の攻撃は破壊とその余波によって魔物を消し飛ばしスキルなんだ。


 ………こぇ〜……やっぱりと言うべきか、その名の通り危険な道具、コイツも使い所を気をつけないといけないな。


「やるじゃないか!男だぜ!タクト」

 ガシッと嬉しそうに肩を組むアポロン、日頃は冷静かつ少しサバサバしているが、実は内心熱い男、特に格闘技、さらに死闘ともならば滾るらしい。


「なんとか倒せたよ。今回はマジで怖かったよ」

 ガクッと項垂れる。


「ふ〜ん、それにしては一撃で倒したわね〜。本当は余裕だったんでしょ!私に隠し事とか許さないんだからね!フンッ」


 

 頬が少し赤い気がするが、拗ねてるのかデレてるのか分かりにくいな〜。面倒だからこう言うときはハッキリしてほしんだけど。これだからツンデレは……


「流石はタクトちゃんね!あんなの倒すなんて、でも跡形もなくなく消えちゃったわね」


「なぁ!?……しまった色々素材が〜!勿体な〜」

 俺は肩を落とし落胆する。

 俺だけの強敵だ。角とか牙とか……高く売れたんだろうな〜。


「ま〜命あっての物だねよ!誰も死ななくって良かったわ。それにしてもあんな化物がこの階に居るならもう出た方がいいかしら、私の記憶ではあんな魔物は居ないはずなんだけど〜」


「さっきの奴は迷子だ」

 

 ん!……突然声が聞こえた。かなり近かったが、そこには誰もいない。


 見えない敵、マズイな〜、ここはそんなスキルを持った魔物までいるのか!


 俺は体勢を低く取り、周りを警戒する。


「ん?……………」

 俺の目の前に……ニョロニョロとした生物がいる。


「う、うなぎ?」


「違うわボケ!よう見んかい!」


 ツッコミと共に尻尾で攻撃される。

 う〜頬が痛い。


「何だこいつ!魔物なのに喋りやがった!?」

「気をつけなさい。小さいからって油断しちゃダメ!言葉を操る魔物は危険よ!」


 アポロンとジェーさん戦闘態勢を取り、ノルンは何故か目を輝かせている。


「そんなにジーっと見られると落ち着かな〜」

 一瞬、心臓が止まったかと思った。

 それほど強く…速い…殺気をこの小さな魔物が放ったとしたら、間違いなく強い!


 魔物が首を長く伸ばし、辺りを見渡す。

 一体何を探しているんだ!


「いつまで遊んでいるんだよ!すぐに帰って来るんじゃなかったのか!ニキ」


 …………ニキ……ニキの知り合い?

 

 俺も周りを見渡すが、いつの間にかニキは居なくなっていた。


「ニキ……どこ行ったんだ?」

 

「アイツ逃げたか?……いや…アイツのことだ。面白いことがあれば離れないはず、………つまりそこだ!」


 魔物は尻尾を恐ろしい速さで動かし傍の石を百メートル近く離れた大岩に向けて飛ばした。


 石は大岩を貫通し何かに当たる音と「ぐはぁ」と叫ぶ声が聞こえた。


 その声の主はもちろんニキだった。


「あ〜痛った。何だよ!気がついてたなら、石を飛ばさずに呼べなのだ!ハク」


「うるせぇ〜んだよ!仕事サボりやがって、文句いってるんじゃねぇ〜よ!」


 ニキは後ろ足でポリポリと頭を掻き、トコトコとこちらに歩いて来た。


 ニキはジャンプして俺の頭にへばりつく。


「重いぞニキ!……それでこちらさんはニキの知り合いみたいだけど、どちら様?」


「コイツはあれだ。いわゆる幼馴染ってやつなのだ!昔っから口がうるさくって堪らないなのだ」


 はぁ〜とため息をつく。


「お前が毎度不真面目だから、言いたくなくても言ってるんだよ!ヘル姉にしばかれたいのか!」


「んなわけあるかぁ!死んでしまうのだ!」


「そうなりたくなかったら、さっさと帰って来い。いつバレるかこっちはヒヤヒヤもんなんだからな」


「ハク……俺の代わりに怒られておいてなのだ」


「いやだし通用するか!」


 頭の上で言い合いはやめてほしい。

 大体何の話か、こっちはさっぱりだ!


「おい!ニキ、イマイチ事情が飲み込めないぞ。説明してくれ」

 

「ん!ん〜説明なのだ……」

 ものすごく喋りたくなさそう。


「はぁ〜、ニキはここで働いてたんだよ。ほとんど寝ていただけだけどな」


「働いてた?ニキが?……何の仕事を?」


「ガーディアン……俺はこの下に行かせない為の門番の役割を与えられた。……つまらなかったのだ」


「それでもコイツも我慢してやってたんだけどな。ある時、チョイと厄介な物を盗まれた」


「あの時は焦ったのだ!まさか俺を出し抜くとはなかなかやる奴なのだ!」


「言い訳するな!お前が寝てたからだろうが!もちろんそいつにはかなり厄介なスキル持ちではあっただろうけど、お前が起きてたらそんなことにはなってないからな」


「ん!?……もしかしてそれってアンディか?」


「そうなのだ、アイツなのだ!その辺のお宝ならどうでも良かったのに、アイツよりにもよってダンジョンを維持する宝玉を盗んだのだ」


「おかげで、こっちはえらい目に遭ったぞ。一応五つあるうちの一つだったから、なんとか結界の維持が出来たけど、俺がどれだけヘル姉を誤魔化したか……もしもバレてたかと思うと震えがとまらねぇ〜よ!」


「だよな〜なのだ!」


「おい!お前のせいだからな!反省しろよ」


 ニキがツッコミと言う攻撃を受け吹き飛ぶ。


「それで、ニキ達は何のために結界なんて、魔王でも封印してるのか?」


「違うのだ。封印してるのは人じゃない。入口なのだ」


「へぇ〜入口、どこに繋がる入口なんだ?」


「ん〜、こっちの奴らから言うとあの世とか地獄とか言う場所なのだ」


 ニキは笑って言ってるけど、それがマジならあんまり笑えない気が……


 俺達は呆然と立ち尽くすのだ。


……………………………………………………………


名称∶ドリル

分類∶工具

属性∶空間

攻撃力∶☓☓☓☓☓

性能∶空間破壊に万物を破壊する。

   空間に穴を開けることが可能

   魔力量により回転速度を上げることが可能

   魔力量により効果範囲を上げることが可能

   リーチは短い

  (取り扱い注意)

……………………………………………………………


 

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